冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

新しい家族

「ばぶー。」


目の前に赤ん坊。

年の離れた弟。


拍子抜けする。


なんだよ、なんだよもおー。


「可愛いでしょう！お父様似の赤毛に茶色の瞳なのよぉ。」



「可愛いでしょう、じゃないでしょう！なんで教えてくれないんだよ！」
こっちは本当に、どうやってお願いしようか考えてたのに！

というか、貴族の噂にすらなってないって。

本当にうちの家族ときたら！


「だってねぇ、あなた、第二王子殿下や騎士団長様に重用されるようになってから、ずっとこちらに帰ってこないし、大活躍で目立ってたじゃない？釣書の山が凄くなってもう、めんどくさくなって。社交も控えてたのよ！あなたが男同士で結婚するっていうから、第二夫人目当ての釣書もすごいのよぉ⁉せっかくだから弟が産まれたことをしばらく内緒にしたら、警戒したほうがいいお家を炙りだせていいかしら？って思って！」

ほほほ、とエメラルダは笑っている。


「オズボーン伯爵はいい人だったんだが、娘があんなんだっただろ？いい人と結ばれてほしいから、釣書に応えるのはもう懲り懲りだなって。そうしたら、こんなに素敵なお嫁さんを連れてくるなんて。ハロルド殿下、うちはこんな感じでびっくりしたかもしれませんが、まぁ、いざとなればちゃんとしてますんで。これからよろしくお願いします。」

「新しいお家は、旧辺境伯家とうちの間に区画整理して一つの街をつくりながら、それぞれの領地を繋ぐ道も整備した中央に建てているわ。オーレム陛下とジニアル殿下からあなたたちへの結婚祝いですって。私たちは子育てもあるし、このままここで暮らすから、サニー様と一緒にそちらで生活するといいわね。でも、しょっちゅう遊びに行っちゃうからよろしくねっ。」



カイザーのご両親は二人とも素敵な人で。

２人の優しさが身に染みた。



領地で採れた新鮮な食材で出された食事もおいしくて、いっぱいお話して、僕たちは王都に帰った。