上 下
67 / 96

オズボーン伯爵家

しおりを挟む
「そうか、そなたは責任をとるか。」


グレイシャス王国の玉座には、オーレム陛下が座る。


前国王は離宮に引っ込み、慰問や慈善活動に精を出し、国政に関しては息子二人に移譲していた。


オーレムの前には、オズボーン伯爵が膝をついていた。


「そなたの商才はずば抜けていた。この国が豊かになったのも、伯爵いてこそ。長い間、ありがとう。」


「勿体ないお言葉。それで私の後はこちらの娘婿に伯爵位をと思っております。」


オズボーン伯爵の隣には、長女のエリス、その婿で侯爵家次男の立場から婿入りしたレオが控えている。



「レオ=オズボーンです。誠心誠意、この国が豊かになるよう努めてまいります。」

寄り添いあうエリスとレオは、仲の良い夫婦だ。
次女のために騒動もあったが、レオは変わらずエリスを励ました。

エリスは亜麻色の髪の清楚な美女で、ことさらに華やかというわけではないが、優しくしっかり者の娘で、ふとした時に出るおっちょこちょいが可愛らしい女性だった。

政略結婚だったが、今ではレオの方がエリスを愛しており、エリスのお腹はふっくらとして、後継の誕生も近い。




「ハロルドの婚礼のための品のいくつかをそちらの商会からとるように言っておこう。私が言わなくてもそのつもりではないかとは思うが。突然変異というか……。なんというか。そちらが悪いわけではない。伯爵が責任を一身に受けるのならば、それで禊も済んだとみなそう。」




「はっ。」



これから伯爵は、レオだ。
エリスと2人、うまくやるだろう。


城を出て、レオは誠心誠意、義父を心配した。

「お義父さま。私はまだまだ未熟です。そばについて、いろいろご教示ください。」


「ありがとう……。」



目から涙がこぼれる。




早くに妻を亡くし、仕事ばかりにかまけ、次女の教育を誤った。



これから私に出来ることは、あの娘が他人様に迷惑をかけないよう、見張ることである。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

宰相閣下の絢爛たる日常

猫宮乾
BL
 クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

黒髪黒目が希少な異世界で神使になって、四人の王様から求愛されました。

篠崎笙
BL
突然異世界に召喚された普通の高校生、中条麗人。そこでは黒目黒髪は神の使いとされ、大事にされる。自分が召喚された理由もわからないまま、異世界のもめごとを何とかしようと四つの国を巡り、行く先々でフラグを立てまくり、四人の王から求愛され、最後はどこかの王とくっつく話。  ※東の王と南の王ENDのみ。「選択のとき/誰と帰る?」から分岐。

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...