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オズボーン伯爵家
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「そうか、そなたは責任をとるか。」
グレイシャス王国の玉座には、オーレム陛下が座る。
前国王は離宮に引っ込み、慰問や慈善活動に精を出し、国政に関しては息子二人に移譲していた。
オーレムの前には、オズボーン伯爵が膝をついていた。
「そなたの商才はずば抜けていた。この国が豊かになったのも、伯爵いてこそ。長い間、ありがとう。」
「勿体ないお言葉。それで私の後はこちらの娘婿に伯爵位をと思っております。」
オズボーン伯爵の隣には、長女のエリス、その婿で侯爵家次男の立場から婿入りしたレオが控えている。
「レオ=オズボーンです。誠心誠意、この国が豊かになるよう努めてまいります。」
寄り添いあうエリスとレオは、仲の良い夫婦だ。
次女のために騒動もあったが、レオは変わらずエリスを励ました。
エリスは亜麻色の髪の清楚な美女で、ことさらに華やかというわけではないが、優しくしっかり者の娘で、ふとした時に出るおっちょこちょいが可愛らしい女性だった。
政略結婚だったが、今ではレオの方がエリスを愛しており、エリスのお腹はふっくらとして、後継の誕生も近い。
「ハロルドの婚礼のための品のいくつかをそちらの商会からとるように言っておこう。私が言わなくてもそのつもりではないかとは思うが。突然変異というか……。なんというか。そちらが悪いわけではない。伯爵が責任を一身に受けるのならば、それで禊も済んだとみなそう。」
「はっ。」
これから伯爵は、レオだ。
エリスと2人、うまくやるだろう。
城を出て、レオは誠心誠意、義父を心配した。
「お義父さま。私はまだまだ未熟です。そばについて、いろいろご教示ください。」
「ありがとう……。」
目から涙がこぼれる。
早くに妻を亡くし、仕事ばかりにかまけ、次女の教育を誤った。
これから私に出来ることは、あの娘が他人様に迷惑をかけないよう、見張ることである。
グレイシャス王国の玉座には、オーレム陛下が座る。
前国王は離宮に引っ込み、慰問や慈善活動に精を出し、国政に関しては息子二人に移譲していた。
オーレムの前には、オズボーン伯爵が膝をついていた。
「そなたの商才はずば抜けていた。この国が豊かになったのも、伯爵いてこそ。長い間、ありがとう。」
「勿体ないお言葉。それで私の後はこちらの娘婿に伯爵位をと思っております。」
オズボーン伯爵の隣には、長女のエリス、その婿で侯爵家次男の立場から婿入りしたレオが控えている。
「レオ=オズボーンです。誠心誠意、この国が豊かになるよう努めてまいります。」
寄り添いあうエリスとレオは、仲の良い夫婦だ。
次女のために騒動もあったが、レオは変わらずエリスを励ました。
エリスは亜麻色の髪の清楚な美女で、ことさらに華やかというわけではないが、優しくしっかり者の娘で、ふとした時に出るおっちょこちょいが可愛らしい女性だった。
政略結婚だったが、今ではレオの方がエリスを愛しており、エリスのお腹はふっくらとして、後継の誕生も近い。
「ハロルドの婚礼のための品のいくつかをそちらの商会からとるように言っておこう。私が言わなくてもそのつもりではないかとは思うが。突然変異というか……。なんというか。そちらが悪いわけではない。伯爵が責任を一身に受けるのならば、それで禊も済んだとみなそう。」
「はっ。」
これから伯爵は、レオだ。
エリスと2人、うまくやるだろう。
城を出て、レオは誠心誠意、義父を心配した。
「お義父さま。私はまだまだ未熟です。そばについて、いろいろご教示ください。」
「ありがとう……。」
目から涙がこぼれる。
早くに妻を亡くし、仕事ばかりにかまけ、次女の教育を誤った。
これから私に出来ることは、あの娘が他人様に迷惑をかけないよう、見張ることである。
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