冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

陛下と騎士団長と

「リチャード！二人っきりだ。二人っきり！」


「そうですね。というかハニュ様にバレていたんですね…。」


スワン陛下には辺境伯家から嫁いだちゃんとした王妃がおり、息子も二人いる。

王妃教育も優秀な成績で済ませた、才女で非の打ち所がない。
息子二人も優秀で仲がよい。


きちんと大事にしてはいるけれど、愛は別にある。


それは、騎士団長のリチャードに。



「久しぶりに……。リチャードに愛されたい…♡」

「どのくらい向こうにいられますかね。」



「国政は王妃に任せておけば当面大丈夫だ。うちは、攻められてもミサイルやらなにやらで防衛できるだろう。返り討ちもボタン一つで簡単だ。ハニュにあうという理由で１週間、は長いかな！？」


「１週間くらいなら大丈夫だと思います。会議もするとかいってましたが、残りの時間は視察と称して旅行しましょう！」



「わくわくしてきた！」


陛下の仮面を貼り付けるのは、しんどいんだからね！










スワン陛下の王妃の趣味は、ボーイズラブの春画を描いたり、物語を書くことである。

こっそりペンネームで陛下と騎士団長の秘密の恋愛の物語を書いていて、結構売れている。

まさか本当にそういう仲とは知らずとも、王妃は夫が家にいなかったり、必要以上に自分の構ってこないことに不満はない。


何故なら、王妃はあまりそういうことに関心がなかったから。

自分がエッチなことをするよりも、男同士のエッチな本を書くことが好きだ。

でも、夫や息子や周りの目があると書きづらい。


『置いていく』と聞かされて、心の中でガッツポーズをする。
そういう嫁であった。