冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

初めてのプレゼント

友人と婚約者は違う。


ジニアルの一挙一動にドキドキする。

あまりにも締まりのない顔になっていないか心配だ。


私に王子妃教育があると聞かされて、子犬のようにしょんぼりしていた。

きっと、申し訳ないって思っているんだろうな。


でも大丈夫。
貴族同士の勢力図なら、公爵家の当主教育で大体は頭に入っているし、おさらいと他国の王族や有力貴族のことを追加で学べばいいのだろうし。

それに、ジニアルは王太子から外れたと言っても、帝国の血を引く王子。
帝国の手前、王位継承権や王族としての地位を捨てるわけにいかないのも分かってる。
公爵として臣籍降下するとしても、『殿下』という肩書をもったまま、分家のような形で公務を継続するのだ。

だから、同じ公爵だからと言って、ソルジャー家に入るわけにもいかない。


オーレム様の即位後も、ジニアルは内政を中心に仕事をする。
ただの王子妃なら、慰問活動や公式行事に参加するくらいで、それほど仕事もないから、私はソルジャー家の当主としての仕事も並行できる。

………そして、ゆくゆくは、私たちの子が。





うううう。恥ずかしい！

そういえば、男同士ってどんな風にやるんだろう。

あれ？でもお母さまが私はお母さまと同じ特別な体だと仰っていた。

………どうするんだろう。


初夜までにムダ毛も綺麗にしておきたいし、肌もなるべく整えたいし、もうちょっと女性化が進めばいいと思う。

こんなムッキムキの可愛くない体は幻滅されちゃうと思う！




一緒に廊下を歩き、彼の執務室まで来た。

私はこれから騎士団へ。

彼の執務室の窓から、騎士団の厩舎が見える。


「……ジニアルっ。」


彼の服の裾を掴んだ。



「なあに？」


「これ……。」


ジニアルのために作ってた、刺繍のハンカチ。



「いつも、可愛いもの集めてくれてありがとう。」

「刺してくれたの？ありがとう！」



彼は凄く喜んで。

嬉しいな。