冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

竜鳴躍

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やっちまったぁああああああああ!

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はっ。


好きって言われて嬉しくなって、つい。


つい



ちゅっ  って唇にキスをしてしまった………!!!!


なんていうことだ。


僕は痴漢だったのか。



好きって言葉には、いろんな意味があるんだ。
フォートが、『そういう意味』で言ったとは限らないじゃないか!!!!



フォートを見ると、とてつもなく困ったような顔をして固まっている。


僕とフォートは背の高さがあまり変わらないから、ちょっと顔を近づけるだけで、チュっとやれてしまうのだ。



ごめんね、ごめんね!



「すっ…すまない。好きだと言われて嬉しくて……。」



「あっ  あの 殿下は女性が苦手になったと伺いました。もしかして……。」




「すまない。男性を性的対象にしているというわけではないんだ。フォートのことが…、好きなんだ。胸が苦しくて、切なくて、何をしたらフォートが喜んでくれるだろうか、といつも君を笑顔にすることばかり考えている。もしかしたら初めて恋というものをしているのかもしれない。」



思い切って告白をしてしまった。


フォートの顔は赤くなって。

それでもまだ、戸惑いの中で青くなっていった。




「………気持ち悪い、と思う。安心してくれ。もう誓ってこんなことはしないから。友人としてでいいから、これからも変わらず傍にいてほしいんだ。」


ああ。やらかしてしまった。


もう、泣きそう。





「………殿下っ。 私は公爵家の長男です。我が家には幼い妹が一人おりますが、男は私だけ。家督を継がなければなりません。」


フォートは困った顔の中に、少しアイスブルーの瞳に星を散らしたように潤んでいるように見えた。




彼も僕のことを少しは好いてくれていたのなら嬉しい。

だけど、本当に困るのだろう。

困らせたくはない。




「大丈夫、ずっとお側におります。」



そう言ってくれるのが、嬉しかった。
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