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息子さんを僕に下さい……じゃなくて
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翌朝。
父は領のワインを積み、ともに城へ向かうことになった。
ああ、どうしよう。
まずは陛下に謁見する。
「よく来た。フオーゼ公爵。ジニアルから聞いているよ。あの子と親しくしてくれて、私たちも感謝している。後継者候補からは脱落したが、あの子の母親は帝国の王女だ。今でもあの子を推すきな臭い動きはある。逆に排斥せんとする動きもな。妃もあの子も望んではいないが。騎士団長は元々あの子の側近候補だった。そばでいてくれるだけで抑止力になるだろう。」
陛下に先に殿下は根回ししていたようだ。
それにしても、そんなに危ういお立場だったなんて。
「は。殿下は必ずお守り致します。」
私がそう傅けば、父は嬉しそうだった。
「騎士団長!」
ジニアル殿下が入ってくる。
「公爵も今回は私の我が儘で申し訳ない。陛下、部屋を案内しても?」
ドキリとする。
だが、目が大丈夫だと言っていた。
誘われた部屋は、執務室の一室ではなく、殿下の自室の向かいだった。
側近用に用意されていた部屋らしい。
飾り気は少ないが機能的で充分な広さの部屋に父は満足して、帰っていった。
「ありがとうございます。殿下。」
「気にしないで。どちらもフォートの部屋だからね。好きに使い分けて。」
ああ。
優しい笑顔。
この人を守りたい。
「好きです。殿下。」
思わず出た言葉に自分で驚いて戸惑う。
そして
気が付いたら、殿下の 唇が唇に触れていた。
父は領のワインを積み、ともに城へ向かうことになった。
ああ、どうしよう。
まずは陛下に謁見する。
「よく来た。フオーゼ公爵。ジニアルから聞いているよ。あの子と親しくしてくれて、私たちも感謝している。後継者候補からは脱落したが、あの子の母親は帝国の王女だ。今でもあの子を推すきな臭い動きはある。逆に排斥せんとする動きもな。妃もあの子も望んではいないが。騎士団長は元々あの子の側近候補だった。そばでいてくれるだけで抑止力になるだろう。」
陛下に先に殿下は根回ししていたようだ。
それにしても、そんなに危ういお立場だったなんて。
「は。殿下は必ずお守り致します。」
私がそう傅けば、父は嬉しそうだった。
「騎士団長!」
ジニアル殿下が入ってくる。
「公爵も今回は私の我が儘で申し訳ない。陛下、部屋を案内しても?」
ドキリとする。
だが、目が大丈夫だと言っていた。
誘われた部屋は、執務室の一室ではなく、殿下の自室の向かいだった。
側近用に用意されていた部屋らしい。
飾り気は少ないが機能的で充分な広さの部屋に父は満足して、帰っていった。
「ありがとうございます。殿下。」
「気にしないで。どちらもフォートの部屋だからね。好きに使い分けて。」
ああ。
優しい笑顔。
この人を守りたい。
「好きです。殿下。」
思わず出た言葉に自分で驚いて戸惑う。
そして
気が付いたら、殿下の 唇が唇に触れていた。
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