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皆が生きやすい社会になってくれたら
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「んー。」
執務室で、首をまわしながら、サザエルは伸びをした。
ふと、施設を見渡すと、職員たちが親身に子どもたちに勉強を教えたり、一緒に遊んだりしている。
障がいがあるせいで捨てられた子どもたちもいて、そういった子どもたちは施設の中で生活しているから、すっかり職員を親のように慕う子もいる。
ここまで長かったなぁ。
感慨深い。
戦争で怪我をしたりして障がいを負ってしまう戦士は目にしても、生まれつきの障がいを持っている人に出会うことはなかなかない。
平民や貧しい者なら、間引きされたり捨てられるから、生きられない。
裕福な家庭でも、恥と思って一生閉じこめてしまう。
そんな社会だから、障がいを持った人に出会えないのだということに、ある日僕は気づいた。
僕は、マナと知り合ったからこそ、気づくことが出来た。
世の中はまだまだ障がいを差別する人が多い。
この施設の職員も、分かっているようで、根本は分かってなかった。
だから、マナを傷つけたのだから。
アイス様は全員解雇しろ!って言ってたけど、一番ひどくて反省の色もなく、みなを扇動していた職員以外は解雇しなかった。
どんなに本人が差別しないように頭の中では考えていたって、今の社会の一般的な感覚として、障がいを悪いものだと思い込んでいる人の方が多いのだから、挿げ替えたところで同じことの繰り返しだ。
今いる職員は、実際に目が覚めたみたいで、今ではちゃんと子どもたちに向き合ってくれている。
前は、うわべだけのやさしさだったけれど。
マナや障がいを持った子どもたちと接しているうちに、だんだん、わかってくれたのだと思う。
「サザエル先生、マナ、またくる?」
マナに絵を習っていた子どもが僕に尋ねた。
「うん、来るよ。今、赤ちゃんが産まれたばかりだから来られないけど、もう少ししたら来たいって言ってたよ。」
やったあ!
はにかむ子どもの腕は短い。
腕の代わりに、足で絵を描くのだ。
みんなできないこともあるけど、その分人より出来ることもある。
自信をもって生きていける力を、みんなにつけてあげたい。
そんな子どもたちの将来のお仕事はどんなのがいいのかなぁ。
どういう会社を興そうか、目下マナと相談して検討中なのだ。
執務室で、首をまわしながら、サザエルは伸びをした。
ふと、施設を見渡すと、職員たちが親身に子どもたちに勉強を教えたり、一緒に遊んだりしている。
障がいがあるせいで捨てられた子どもたちもいて、そういった子どもたちは施設の中で生活しているから、すっかり職員を親のように慕う子もいる。
ここまで長かったなぁ。
感慨深い。
戦争で怪我をしたりして障がいを負ってしまう戦士は目にしても、生まれつきの障がいを持っている人に出会うことはなかなかない。
平民や貧しい者なら、間引きされたり捨てられるから、生きられない。
裕福な家庭でも、恥と思って一生閉じこめてしまう。
そんな社会だから、障がいを持った人に出会えないのだということに、ある日僕は気づいた。
僕は、マナと知り合ったからこそ、気づくことが出来た。
世の中はまだまだ障がいを差別する人が多い。
この施設の職員も、分かっているようで、根本は分かってなかった。
だから、マナを傷つけたのだから。
アイス様は全員解雇しろ!って言ってたけど、一番ひどくて反省の色もなく、みなを扇動していた職員以外は解雇しなかった。
どんなに本人が差別しないように頭の中では考えていたって、今の社会の一般的な感覚として、障がいを悪いものだと思い込んでいる人の方が多いのだから、挿げ替えたところで同じことの繰り返しだ。
今いる職員は、実際に目が覚めたみたいで、今ではちゃんと子どもたちに向き合ってくれている。
前は、うわべだけのやさしさだったけれど。
マナや障がいを持った子どもたちと接しているうちに、だんだん、わかってくれたのだと思う。
「サザエル先生、マナ、またくる?」
マナに絵を習っていた子どもが僕に尋ねた。
「うん、来るよ。今、赤ちゃんが産まれたばかりだから来られないけど、もう少ししたら来たいって言ってたよ。」
やったあ!
はにかむ子どもの腕は短い。
腕の代わりに、足で絵を描くのだ。
みんなできないこともあるけど、その分人より出来ることもある。
自信をもって生きていける力を、みんなにつけてあげたい。
そんな子どもたちの将来のお仕事はどんなのがいいのかなぁ。
どういう会社を興そうか、目下マナと相談して検討中なのだ。
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前作 元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される はこちらhttps://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/22544245
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