耳が聞こえない公爵令息と子爵令息の幸せな結婚

竜鳴躍

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幸せな結婚式

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公爵家の結婚式にはこじんまりとしたガーデンパーティには、ホーリーランド家や施設職員など、二人に縁のある人たちが招かれた。

滅多にお近づきになれない高位貴族や王太子に、招待客は初めソワソワしていたが、フランクな一家にすぐに緊張は解けたようだ。

王太子もいるのだから、警備はしっかりしているが、物々しくなって萎縮されないように、警備も招待客に紛れている。



公爵家の広い庭には、季節の花々が咲き乱れる。

前公爵夫人のクリスの趣味で、長年かけて造成した庭園は、美しい花園になった。


そこに祭壇を作り、赤いカーペットを引き。

公爵家の屋敷から、兄のアヴニールにエスコートされて出てくるのは、まるで絵本のお姫様のような可憐なマナ。



父親のアイスが本来ならエスコートをするが、足が悪いので、祭壇の近くで待機している。

アヴニールは父親にバトンタッチすると、短い距離を杖をつきながら、二人で祭壇に向かっていく。


王子様のような、サザエルが待つ祭壇へ。



母親のクリスは涙を零し、父親も目にうっすら涙を浮かべる。



『愛』を示す異国の言葉で『マナ』とつけた、末息子。

体が弱くて、大人になれないかもしれなかった我が子が、大人になって、愛する人と結ばれる日を迎えた。


長兄のアリスは神父役。

2人に祝福を。


この日のために帰国したジュリエッタお姉さまとその夫、サウス王国のロメオ陛下が用意したブーケを手に持って、マナとサザエルは指輪を交換する。

お互い目の色が青いから、石は同じだが、マナはプラチナ、サザエルはゴールドだ。


ジュリエッタがマナのために焼いたウエディングケーキに、二人で入刀する。


ラスティがウエディングソングを歌い、みんなが二人を祝福した。






パーティが終わり、リボンをつけた公爵家の馬車に乗って、二人はホーリーランド家へ向かう。


今日から、マナ=クレイソンじゃない。

マナ=ホーリーランドなのだ。

なんだかこそばゆい。


マナは、隣のサザエルを見上げる。


マナの視線に気づいて、サザエルもマナを見た。


馬車の中で、二人は、キスをした。





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