本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら

文字の大きさ
上 下
18 / 23

王命による結婚 4

しおりを挟む
14日目

 ヒミコ、おはよう。さて、今日は西の平原のボスの猪:ガイア・レイア・バロゥフと戦いに行こう。その前にご飯を食べよう。使う食材は『ジャガイモ』のみ。ジャガイモを薄くスライスし、油をたくさん入れたフライパンの中でパリパリのなるまで揚げていく。挙がったジャガイモにシオの実、コショウの実をつぶした物を振りかけて完成。
---------------------
ポテトチップス
ランク1
カテゴリー:【料理】
耐久度:60
品質:標準品質
効果:満腹度+10%
   アタック+1
解説:パリパリっとしたジャガイモの味が絶品
----------------------
 おお、効果にステータスアップがついた。これが【料理】スキルの効果か。どうやらこのステータスアップ:料理バフは一種類しか付けられない。しかし満腹度は回復するし料理バフについては選択可能だそうだ。

 さてガイア・レイア・バロゥフ対策のためにあるスキルをレベル上げして挑戦だ。


「見つけた」

 西の平原のアプリの樹のいる場所でガイア・レイア・バロゥフがアプリの実を食べていた。装備よし、場所探しも良し、作戦準備も良し。さあ行こうか、ヒミコ。

 僕はまだ気づいていないガイア・レイア・バロゥフに向けて矢を構える。まずは普通の攻撃でダメージが入るか確認だ。

シュッ

 僕の放った矢はガイア・レイア・バロゥフに当たるがわずかなダメージエフェクトだけで。そしてガイア・レイア・バロゥフはアプリの実を食べるのをやめ、こちらに意識を向けた。

「ブォォォォ」
「よしまずは例の場所まで逃げながらどんな攻撃が通用するか見るよ」
「コン!」

 ガイア・レイア・バロゥフは僕らの方向にすごいスピードで突っ込んできた。僕はある場所へ向けて必死に走ったが、どうやらガイア・レイア・バロゥフのスピードの方が速く少しずつ近づいて来た。

 ガイア・レイア・バロゥフは追尾機能が高く、走りながら少しずつ方向を変えてもすぐに修正してきた。なのである一定の距離までガイア・レイア・バロゥフが近付いて来たらその場で振り返りガイア・レイア・バロゥフと相対します。
 
そして【ステップ】込みの全力横飛びでガイア・レイア・バロゥフの突進を回避します。ガイア・レイア・バロゥフの突進には衝撃波を周りに与えるため、完全に回避が出来ずダメージをくらいますが、ガイア・レイア・バロゥフが僕を抜き去ると急ブレーキした後、方向転換し再度突進をしてきます。この急ブレーキをした時に自分が使える火、風、土、光の魔法を使い攻撃してみた。どうやらどの属性の魔法も効いているようだ。

 といってもわずかのダメージなため、すかさず突進してくる。このまま急ブレーキの隙をついて攻撃すれば勝てそうな気がするが、おそらくグレータ―ポイズンスパイダーみたいに形態変化が合るかもしれないから、今のうちにいろいろ試しておこう。

 僕は魔法で攻撃するのを辞めて回避に専念してある場所に誘導する。

(よし、ここ!)

作戦第1弾発動。僕がガイア・レイア・バロゥフの突進をよけるとガイア・レイア・バロゥフは急ブレーキを踏みつつ方向を変えようとするがその足元の地面がなくなった。そしてガイア・レイア・バロゥフはそのまま穴に落ちていった。

 今回の落とし穴は土魔法を使ってガイア・レイア・バロゥフの背丈の二倍はあるように掘った。さてこのまま落ちたままならいいんだが。しかしうまくはいかなかった。落とし穴に近づこうとしたときいきなり落とし穴の地面が浮き上がりガイア・レイア・バロゥフが穴から出てきた。ガイア・レイア・バロゥフの身体にはわずかに魔力が巡っていた。

(わお、魔法使えるんだね。だったら最後の作戦のために場所の移動だ)

 僕はまたガイア・レイア・バロゥフを引き連れ今度は森の中を走り出す。ガイア・レイア・バロゥフは木々を粉砕しながら僕を追ってくる。そして5分後着いたのは周辺に緑の生えていない岩場だ。

(よし、ついた。さあ、作戦第2弾:真っ向勝負だ。行くよヒミコ)

 そう、作戦第2弾・・・というか作戦ではないけどここからはガイア・レイア・バロゥフとの真っ向勝負だ。ここなら火も使えるから火も気も全力で戦える。まずはこれ。
 
 僕は【マジックバック】から1本のやくひんを取り出す。そしてガイア・レイア・バロゥフの突進を躱すと投げつける。薬品はガイア・レイア・バロゥフに当たるとガラスが割れ中身の紫色の液体がガイア・レイア・バロゥフに降りかかる。

 ガイア・レイア・バロゥフは気にせずに突進してくるが先ほどよりは動きが鈍くなっている。どうやら『低級毒ポーション』の効果で毒状態になったようだ。僕は動きが鈍くなったガイア・レイア・バロゥフに向かって大毒蜘蛛のナイフを構え

「【ダブルスラッシュ】」

 ガイア・レイア・バロゥフの突進を躱した僕は【ダブルスラッシュ】を叩きこむ。なかなかいいダメージが入った。ガイア・レイア・バロゥフは少しよろけると僕に向かって巨大な牙を振り回す。僕は【ステップ】で距離を取り躱すとすかさずヒミコが【狐火】でガイア・レイア・バロゥフを攻撃する。

 ガイア・レイア・バロゥフは余りの威力でたたらを踏み後退すると周囲に魔法陣が生まれ多数の岩の塊が形成された。その岩の塊は僕とヒミコを襲ってくるため急いで避けた。しかし避けた反動で動けなくなっている僕に向かってガイア・レイア・バロゥフは突進してきた。

(さすがに避けれない)

ドンッ

 僕はガイア・レイア・バロゥフの直撃を受け吹きとばされた。しかし直前に大毒蜘蛛の盾を構えたためダメージは削れたが、今ので400近くのダメージを受けた。さっきの落とし穴で思ったけどやっぱり魔法使ってくるんだ。だったら最後の作戦を発動しよう。

 僕は岩場を背にしてガイア・レイア・バロゥフから距離を取る。今までの突進の威力と急ブレーキの距離から考えてこのあたりだろう。僕に向けて突進してくるガイア・レイア・バロゥフを僕は【ステップ】で回避する。上空へ向けて。【ステップ】+ジャンプでガイア・レイア・バロゥフを飛び越えるとガイア・レイア・バロゥフはそのまま壁に激突した。そして

「ブオオオオォ」

 その巨大な牙が壁に突き刺さり抜けないでいた。

 よしっ、やっぱり突き刺さったな、その牙。

「【ダブルスラッシュ】」
「【強打】」
「【強蹴】」
「【正拳突き】」

 僕とヒミコはガイア・レイア・バロゥフの様子を見ながら脚の踏みつけに気を付け土の装甲や毛皮がない腹に向けて攻撃を加える。そして牙が外れそうになると腹から飛び出て距離を取った。

 ガイア・レイア・バロゥフはどうにか壁から牙を抜くとこちらをにらみ込んでくる。その牙には全体的にひびがはいっている。あの牙の感じあと一回が限度かな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる

仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。 清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。 でも、違う見方をすれば合理的で革新的。 彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。 「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。 「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」 「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」 仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

待鳥園子
恋愛
―――申し訳ありません。実は期限付きのお飾り婚約者なんです。――― とある事情で王妃より依頼され多額の借金の返済や幼い弟の爵位を守るために、王太子ギャレットの婚約者を一時的に演じることになった貧乏侯爵令嬢ローレン。 最初はどうせ金目当てだろうと険悪な対応をしていたギャレットだったが、偶然泣いているところを目撃しローレンを気になり惹かれるように。 だが、ギャレットの本来の婚約者となるはずの令嬢や、成功報酬代わりにローレンの婚約者となる大富豪など、それぞれの思惑は様々入り乱れて!? 訳あって期限付きの婚約者を演じているはずの塩対応令嬢が、彼女を溺愛したくて堪らない脳筋王子様を悪気なく胸キュン対応でオーバーキルしていく恋物語。

美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました

葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。 前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ! だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます! 「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」 ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?  私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー! ※約六万字で完結するので、長編というより中編です。 ※他サイトにも投稿しています。

【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される

えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
 リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。  お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。  少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。  22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

処理中です...