龍の鱗が運んできた幸運

鈴の凛

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幻の龍の鱗が運んできた幸運

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幻の龍の鱗を見つける冒険に出た、少女ルリ。

何でも幻の龍の鱗は不治の病をも治すことができる幻のアイテム。

母親の病を治す為に旅に出たルリは、旅の途中、傷だらけの青年ヒスイと出会い、二人は共に旅をすることになる。

「アンタは俺の命の恩人だ。龍の鱗を探す旅をするなら、俺が護衛をしてやる」

龍の巫女からの信託を受け、海の割れ目にある祠を見つけた二人。

その祠にいたのは、まだ子供の龍だった。

子供の龍を連れ、旅をする二人。子供の龍は、親の龍の匂いがわかるのか行きたい方向があるようだ。

子龍の行く方向にひたすら着いていく二人。ようやく辿り着いたのは森の奥深くにある朽ち果てた神殿。その奥にいたのは衰弱し虫の息をした龍だった。

二人は森に生えている回復作用のある薬草を片っ端から取ってきては龍に与えた。衰弱し、キズを負っていた龍の治療をし、回復を待つ二人。

意識を取り戻し、体調の落ち着いた様子の龍に子龍が寄そう。龍は二人に感謝を伝えるようにお辞儀をし、口先で自らの鱗を剥がし一枚ずつ渡すと、羽根を広げ空を飛んでいった。

その姿を静かに見送る二人。その後二人はルリの故郷に行き、無事に母の病を治す。

何故かルリの故郷にやってきたヒスイは
「ルリ、俺の嫁になってくれないか?必ず幸せにする!」

「貴方、まだ使ってない龍の鱗があるんでしょ?それを売り捌いたら大金になるし、わざわざアタシを嫁にしなくても…」

ヒスイの告白にしどろもどろに話すルリに

「この鱗を売った金は村での生活に必要なものを買う予定だ。まずは、家と畑は絶対に必要。あとはルリが家事をしやすいように竈と暖炉、それに生活用品も……」

どうやらヒスイはヒスイでお金の使い道が決まっているようだ、が論点はそこではない。

「だから、アタシが貴方の命の恩人でも義理は果たしたはずでしょ?旅が終わったから護衛もしなくていいのよ?自由にしていいって言ってるのに」

「俺はルリの側にいる。一生をかけて恩を返すんだから、覚悟しとけよ」

幻の龍の鱗がくれたのは病を治す薬と厄介な恋人だった。
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