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「ご先祖様、わたくし遺言を遂行いたします。」
わたくしは、学舎の公爵家専用ルームで古びた書物を手にご先祖様に宣言します。
ついに、当家に長きに亘って言い伝えられた “スキトメ“ が出現しました。
100年に亘り、当家の執務室に厳重に保管されていたこの書物を開示する時が来たのです。
影に 丁重かつ慎重に ヒロイン様をサロンルームにお招きするよう命じ、報告を待ちます。
”スキトメ“
それは3代前当主の娘が残した 国家を揺るがす凶事の呪い の呼び名です。
娘は当時王太子の婚約者でした。しかし、この王太子は婚約者である娘を裏切り男爵家愛妾の子と婚姻。
実はこの婚姻には裏があり、王家の調べで当家娘の冤罪が立証されたのですが、直系がこの王子しかおらず
多大なる賠償と引き換えになされた因縁の婚姻でした。
王家から元婚約者娘への側妃着任打診もありましたが、娘は嫌がり聖なる洗礼を受け
生涯を神に仕える修道女となりました。
当家はその後、第二の王家と呼ばれるほどに力をつけ常に王家を監視。
それは、修道女になった娘の手紙から端を発した監視でした。
修道女は
【将来 王太子妃殿下のような方がお生まれになります。その方がまた今回のような凶事を起こせば
国が揺るぎ民が不幸になることは必然。
第二の王家となった当家の責務は、それをいち早く察知し回避すること。
同封の書をその方にお渡しして “スキトメ“ とお伝えすれば、必ずやご理解いただけます。
そして助けを求められたら、全力でお助けしなさい。それは国家安念に必ず繋がります。】
という手紙を残しました。
その遺言を守り当家は王家を監視、 ”スキトメ“ が起こらぬよう、情報を集めるため影を育てました。
そして今代、ついに“スキトメ“が起こる事態を発見。
わたくしがヒロイン様の説得の任に就きました。
わたくしは別に婚約者の王子殿下をお慕いしているわけではなく、責務として妃教育を受けていました。
公爵家と婚約した王子殿下ならば、後ろ盾も十分ですし王太子位は確実。のちの国王は決定事項。
ならば王妃になるのが我が人生。幼き頃からそう自分に言い聞かせ精進してきましたので
その努力を無に帰す事は極力回避したい。
それに当家に生まれたわたくしのような紺髪の娘は、修道女からのお告げを夢見ることがあり
わたくしも修道女が断罪された近辺の夢を見ています。
直近の夢は
薄桃髪のかわいらしい娘を腕に抱える金髪の王子。周りには3人の紫・黒・茶髪の側近たち。
対峙した紺髪の娘が、「やっぱだめだったか・・・ストーリー強制力恐ろしす」と呟く
というものでした。
言葉の意味は解りませんが、恐ろしいことは解ります。わたくし以外の夢見の娘は1度見るだけだった
ようですが、わたくしは王命の婚約を賜った5歳の頃から執拗に夢を見ています。
まるで将来のわたくしの姿を暗示しているようで、不安が募り不眠になってきたところにこの知らせ。
どんどんと夢の内容と酷似していくヒロイン様と王子殿下達のご様子に、疑惑は確信となりました。
断罪回避のため、必死の覚悟で説得にあたります。
作戦は、まず修道女の書き記した物をヒロイン様にお渡しします。
実はこの書物、なんとも難解な 絵かも文字かもわからぬもの で書かれています。
当家の者でもこの書物を解読することはできず、内容が全く分かりません。
当家宛の修道女の手紙から想像するに、何か説得するようなことが書かれているのでしょう。
中身を見ていただかなくては始まりませんので、当時の正しき歴史の説明も必要です。
受け取りを拒まれそうになったら”スキトメ”を唱えます。
修道女曰く、これを伝えればご理解いただける とのこと。神に祈りながら唱えましょう。
これでだめなら・・・影にヒロイン様を羽交い締めさせ、目の前に晒し無理やり開示。
本当なら読み上げたいのですが、読めません。ご先祖様、読めるものをお書きください。
その後、無事お読みいただけたら 今後のご相談をし
ご希望であれば修道院にお連れし匿うことにしましょう。
よし!これで計画は完璧です。あとは、心を落ち着かせ相手に圧をかけぬよう細心の注意で事に挑みます。
影から≪サロンルームに入室された≫と連絡が来ましたので
そっと裏通路から入り、説得開始です!
薄桃髪でかわいらしいお顔立ちのヒロイン様。氷姫と呼ばれるわたくしとは対照的な満面の笑顔。
無垢な感じも庇護欲がそそられ、天真爛漫とはこの方のことを言うのでしょう。
王子殿下他側近の方々のご寵愛の賜物で、身に着けている品も男爵位と合わず高級な物ばかりです。
黄金に贅沢な彫金があしらわれたバングル。濃紫のアメジストのついた髪留め。
黒いオニキスで出来た可愛らしい猫のブローチ。
手には高級カーフの茶のバッグ。有名デザイナーの一点物のようです。
しかし バングルは太く可愛らしさに欠け、濃紫の派手な髪留めは薄桃髪には少々似合わず、
黒猫のブローチは可愛らしいですが制服には浮いてしまい
バッグは少女が学舎に持ち込むには不釣り合い。あれでは教科書が入りません。
自分の髪色を身につけさせ恋仲を主張したいのでしょうが、チグハグな印象が否めません。
うっ、首を傾げ何も知らない幼女のようなお顔で質問されましたが
影からの報告で、ヒロイン様が「”スキトメ”じゃん」と入学当初呟いたとありますので、
この呪いはご存じなはず。
それがどれほどの凶事かはご存じないのかもしれません。冷静に対応しなくては・・・
なかなか手強い。”スキトメ”をご存じなくせに、それをあざとい仕草で誤魔化されました。
当家に伝わる修道女の予言もお話しましょう。
やっと、手に取っていただけました。内容ご理解いただければよいのですが・・・
あら?解読できるようです。どんどんお顔が大変なことになっていきます。
・・・最後には顔色が青を通り越し白に。ガタガタ体も震えています。
ここで、当家に助力の用意があることをお伝えましょう!
やりました。わたくしやり遂げました。ついにヒロイン様を説得出来ました。
ヒロイン様に、
断罪は3日後の卒業パーティーで行われるはず。それまでに逃げないと大変なことになる。
と大泣きで、逃走の協力を依頼されました。
急ぎ方々に影を出し、避難開始。修道院に匿い、ヒロイン様ご実家男爵家に置手紙を仕込み
教室に置いてきた荷物も回収させ、いらないもの(身に着けている高級な品や
頂き物の無駄に装飾のついた物)は今後のヒロイン様のために当家で換金し、
金銭を修道院にお持ちいただきました。
少々動きが急でしたので、
金髪金瞳の王子は、
当家の誘拐関与を疑い、ヒロイン様の言った通り、卒業パーティーでわたくしを誘拐犯と断罪。
しかし物証・証人ともになく、ただただ婚約者と公爵家にありもしない罪を着せた上
≪前々王による不義の償いのために結ばれた王命の婚約を、身勝手に破棄しようとした≫
と陛下に激怒され、婚約は白紙撤回。王位継承権剥奪。
第2王子殿下が王太子殿下に指名され、王子は隣国の女王の第4夫(男妾)になられました。
隣国女王は若く美形な男性がお好きだそうで、ずいぶん執着されましたが、
次の男妾をお迎えになられた頃には、王子への寵愛が薄れ
後宮から出ることもかなわず、寂しくお過ごしとのことです。
紫髪紺瞳の宰相長男は、
王子と共に断罪を決行。公爵家への伯爵家嫡男の不義に、貴族會が処分を要求。
じつは伯爵家も前々嫡男が”スキトメ”に関わっており、
長男が 当時を反省した家訓 を嫌がって婚約者を決めていなかったため、
この断罪事件と人格の悪さを理由に廃嫡。
次男が後継になり、それを逆恨みした長男が次男暗殺を計画するも侍従にあっさり裏切られ
幽閉という名の監禁。その後、毒殺されましたがその死は隠匿されています。
黒髪黒瞳の騎士団長子息は、
騎士としての職務を放棄しヒロイン様を捜索。いつまでも職務に付かないので騎士団入団を取り消され
騎士団長家からも追放。一人子息だったので、騎士団長家は本家辺境伯家より養子を迎えました。
本人は、追放されても愛を貫きヒロイン様を捜索。執念でヒロイン様を発見。
修道院に突撃しましたが、聖騎士に排除され接触できないため、付きまとう不審者となり迷惑行為を
続けました。しかし、ヒロイン様の幸せそうな姿に意気消沈したところを
密かに実家の騎士団長家に捕縛され、地下牢に投獄後生涯幽閉が決定しました。
神教には手を出してはいけない。貴族の常識です。
茶髪茶瞳の商家長男は、
王都筆頭商家であったにもかかわらず、長男が貴族家に納品すべき商品を
ヒロイン様にお渡ししていたことが、当家の買い取った商品を調べて発覚。
王子や子息から贈られていた物はほぼ商人子息が用立てており、
後々商家を王家御用達、宰相・騎士団専属にするための賄賂になっていました。
注文先の貴族家には【非常に上級なものを揃えているため時間がかかる】と虚言を吐いていました。
もともと次男を番頭に、長男をお飾りにするつもりでしたが、迷惑者はいらぬと追放。
長男は自分の商才に自信ありと商売を始めましたが、未納品事件の内容が
貴族内で大々的に広まっていたため、「詐欺師から物は買わない」とどの貴族家からも締め出され
多くの我楽多を抱え、起死回生を胸に隣国に渡りました。
しかし隣国女王の注文品もヒロイン様に渡していたことが知られ、隣国商人に雇われた破落戸に襲われ
行方不明。たぶんもう命はないでしょう。
わたくしは、王子からの断罪を受けた後、王家から正式に謝罪を受け第2王子殿下と婚姻。
長年続けた王妃教育も無駄にならず、誠実・温和ではありますが、王としての威厳も兼ね備えたこの方と
婚姻でき幸せに過ごしています。ヒロイン様とは、お手紙で近況をお伝えする仲になりました。
先日、ヒロイン様からお手紙が二通届きました。
一通には、近況と【同封した手紙を修道女の手紙と一緒に公爵家で保管してほしい】とあり
もう一通には、修道女の手紙と同じように難解な絵?文字?が羅列されていました。
公爵家は今後も王家の監視を続け、来るべき”スキトメ”に備えることを家訓とし
わたくしは、今後生まれる王家の子孫が”スキトメ”に合わぬようしっかり教育しようと心に誓いました。
そういえば、ヒロイン様のお手紙に祝福の呪いが書かれておりました。
”スキトメ”顕現時に唱えるとよいそうなので、子々孫々言い伝えます。
”じゃ、ガンバ!”
わたくしは、学舎の公爵家専用ルームで古びた書物を手にご先祖様に宣言します。
ついに、当家に長きに亘って言い伝えられた “スキトメ“ が出現しました。
100年に亘り、当家の執務室に厳重に保管されていたこの書物を開示する時が来たのです。
影に 丁重かつ慎重に ヒロイン様をサロンルームにお招きするよう命じ、報告を待ちます。
”スキトメ“
それは3代前当主の娘が残した 国家を揺るがす凶事の呪い の呼び名です。
娘は当時王太子の婚約者でした。しかし、この王太子は婚約者である娘を裏切り男爵家愛妾の子と婚姻。
実はこの婚姻には裏があり、王家の調べで当家娘の冤罪が立証されたのですが、直系がこの王子しかおらず
多大なる賠償と引き換えになされた因縁の婚姻でした。
王家から元婚約者娘への側妃着任打診もありましたが、娘は嫌がり聖なる洗礼を受け
生涯を神に仕える修道女となりました。
当家はその後、第二の王家と呼ばれるほどに力をつけ常に王家を監視。
それは、修道女になった娘の手紙から端を発した監視でした。
修道女は
【将来 王太子妃殿下のような方がお生まれになります。その方がまた今回のような凶事を起こせば
国が揺るぎ民が不幸になることは必然。
第二の王家となった当家の責務は、それをいち早く察知し回避すること。
同封の書をその方にお渡しして “スキトメ“ とお伝えすれば、必ずやご理解いただけます。
そして助けを求められたら、全力でお助けしなさい。それは国家安念に必ず繋がります。】
という手紙を残しました。
その遺言を守り当家は王家を監視、 ”スキトメ“ が起こらぬよう、情報を集めるため影を育てました。
そして今代、ついに“スキトメ“が起こる事態を発見。
わたくしがヒロイン様の説得の任に就きました。
わたくしは別に婚約者の王子殿下をお慕いしているわけではなく、責務として妃教育を受けていました。
公爵家と婚約した王子殿下ならば、後ろ盾も十分ですし王太子位は確実。のちの国王は決定事項。
ならば王妃になるのが我が人生。幼き頃からそう自分に言い聞かせ精進してきましたので
その努力を無に帰す事は極力回避したい。
それに当家に生まれたわたくしのような紺髪の娘は、修道女からのお告げを夢見ることがあり
わたくしも修道女が断罪された近辺の夢を見ています。
直近の夢は
薄桃髪のかわいらしい娘を腕に抱える金髪の王子。周りには3人の紫・黒・茶髪の側近たち。
対峙した紺髪の娘が、「やっぱだめだったか・・・ストーリー強制力恐ろしす」と呟く
というものでした。
言葉の意味は解りませんが、恐ろしいことは解ります。わたくし以外の夢見の娘は1度見るだけだった
ようですが、わたくしは王命の婚約を賜った5歳の頃から執拗に夢を見ています。
まるで将来のわたくしの姿を暗示しているようで、不安が募り不眠になってきたところにこの知らせ。
どんどんと夢の内容と酷似していくヒロイン様と王子殿下達のご様子に、疑惑は確信となりました。
断罪回避のため、必死の覚悟で説得にあたります。
作戦は、まず修道女の書き記した物をヒロイン様にお渡しします。
実はこの書物、なんとも難解な 絵かも文字かもわからぬもの で書かれています。
当家の者でもこの書物を解読することはできず、内容が全く分かりません。
当家宛の修道女の手紙から想像するに、何か説得するようなことが書かれているのでしょう。
中身を見ていただかなくては始まりませんので、当時の正しき歴史の説明も必要です。
受け取りを拒まれそうになったら”スキトメ”を唱えます。
修道女曰く、これを伝えればご理解いただける とのこと。神に祈りながら唱えましょう。
これでだめなら・・・影にヒロイン様を羽交い締めさせ、目の前に晒し無理やり開示。
本当なら読み上げたいのですが、読めません。ご先祖様、読めるものをお書きください。
その後、無事お読みいただけたら 今後のご相談をし
ご希望であれば修道院にお連れし匿うことにしましょう。
よし!これで計画は完璧です。あとは、心を落ち着かせ相手に圧をかけぬよう細心の注意で事に挑みます。
影から≪サロンルームに入室された≫と連絡が来ましたので
そっと裏通路から入り、説得開始です!
薄桃髪でかわいらしいお顔立ちのヒロイン様。氷姫と呼ばれるわたくしとは対照的な満面の笑顔。
無垢な感じも庇護欲がそそられ、天真爛漫とはこの方のことを言うのでしょう。
王子殿下他側近の方々のご寵愛の賜物で、身に着けている品も男爵位と合わず高級な物ばかりです。
黄金に贅沢な彫金があしらわれたバングル。濃紫のアメジストのついた髪留め。
黒いオニキスで出来た可愛らしい猫のブローチ。
手には高級カーフの茶のバッグ。有名デザイナーの一点物のようです。
しかし バングルは太く可愛らしさに欠け、濃紫の派手な髪留めは薄桃髪には少々似合わず、
黒猫のブローチは可愛らしいですが制服には浮いてしまい
バッグは少女が学舎に持ち込むには不釣り合い。あれでは教科書が入りません。
自分の髪色を身につけさせ恋仲を主張したいのでしょうが、チグハグな印象が否めません。
うっ、首を傾げ何も知らない幼女のようなお顔で質問されましたが
影からの報告で、ヒロイン様が「”スキトメ”じゃん」と入学当初呟いたとありますので、
この呪いはご存じなはず。
それがどれほどの凶事かはご存じないのかもしれません。冷静に対応しなくては・・・
なかなか手強い。”スキトメ”をご存じなくせに、それをあざとい仕草で誤魔化されました。
当家に伝わる修道女の予言もお話しましょう。
やっと、手に取っていただけました。内容ご理解いただければよいのですが・・・
あら?解読できるようです。どんどんお顔が大変なことになっていきます。
・・・最後には顔色が青を通り越し白に。ガタガタ体も震えています。
ここで、当家に助力の用意があることをお伝えましょう!
やりました。わたくしやり遂げました。ついにヒロイン様を説得出来ました。
ヒロイン様に、
断罪は3日後の卒業パーティーで行われるはず。それまでに逃げないと大変なことになる。
と大泣きで、逃走の協力を依頼されました。
急ぎ方々に影を出し、避難開始。修道院に匿い、ヒロイン様ご実家男爵家に置手紙を仕込み
教室に置いてきた荷物も回収させ、いらないもの(身に着けている高級な品や
頂き物の無駄に装飾のついた物)は今後のヒロイン様のために当家で換金し、
金銭を修道院にお持ちいただきました。
少々動きが急でしたので、
金髪金瞳の王子は、
当家の誘拐関与を疑い、ヒロイン様の言った通り、卒業パーティーでわたくしを誘拐犯と断罪。
しかし物証・証人ともになく、ただただ婚約者と公爵家にありもしない罪を着せた上
≪前々王による不義の償いのために結ばれた王命の婚約を、身勝手に破棄しようとした≫
と陛下に激怒され、婚約は白紙撤回。王位継承権剥奪。
第2王子殿下が王太子殿下に指名され、王子は隣国の女王の第4夫(男妾)になられました。
隣国女王は若く美形な男性がお好きだそうで、ずいぶん執着されましたが、
次の男妾をお迎えになられた頃には、王子への寵愛が薄れ
後宮から出ることもかなわず、寂しくお過ごしとのことです。
紫髪紺瞳の宰相長男は、
王子と共に断罪を決行。公爵家への伯爵家嫡男の不義に、貴族會が処分を要求。
じつは伯爵家も前々嫡男が”スキトメ”に関わっており、
長男が 当時を反省した家訓 を嫌がって婚約者を決めていなかったため、
この断罪事件と人格の悪さを理由に廃嫡。
次男が後継になり、それを逆恨みした長男が次男暗殺を計画するも侍従にあっさり裏切られ
幽閉という名の監禁。その後、毒殺されましたがその死は隠匿されています。
黒髪黒瞳の騎士団長子息は、
騎士としての職務を放棄しヒロイン様を捜索。いつまでも職務に付かないので騎士団入団を取り消され
騎士団長家からも追放。一人子息だったので、騎士団長家は本家辺境伯家より養子を迎えました。
本人は、追放されても愛を貫きヒロイン様を捜索。執念でヒロイン様を発見。
修道院に突撃しましたが、聖騎士に排除され接触できないため、付きまとう不審者となり迷惑行為を
続けました。しかし、ヒロイン様の幸せそうな姿に意気消沈したところを
密かに実家の騎士団長家に捕縛され、地下牢に投獄後生涯幽閉が決定しました。
神教には手を出してはいけない。貴族の常識です。
茶髪茶瞳の商家長男は、
王都筆頭商家であったにもかかわらず、長男が貴族家に納品すべき商品を
ヒロイン様にお渡ししていたことが、当家の買い取った商品を調べて発覚。
王子や子息から贈られていた物はほぼ商人子息が用立てており、
後々商家を王家御用達、宰相・騎士団専属にするための賄賂になっていました。
注文先の貴族家には【非常に上級なものを揃えているため時間がかかる】と虚言を吐いていました。
もともと次男を番頭に、長男をお飾りにするつもりでしたが、迷惑者はいらぬと追放。
長男は自分の商才に自信ありと商売を始めましたが、未納品事件の内容が
貴族内で大々的に広まっていたため、「詐欺師から物は買わない」とどの貴族家からも締め出され
多くの我楽多を抱え、起死回生を胸に隣国に渡りました。
しかし隣国女王の注文品もヒロイン様に渡していたことが知られ、隣国商人に雇われた破落戸に襲われ
行方不明。たぶんもう命はないでしょう。
わたくしは、王子からの断罪を受けた後、王家から正式に謝罪を受け第2王子殿下と婚姻。
長年続けた王妃教育も無駄にならず、誠実・温和ではありますが、王としての威厳も兼ね備えたこの方と
婚姻でき幸せに過ごしています。ヒロイン様とは、お手紙で近況をお伝えする仲になりました。
先日、ヒロイン様からお手紙が二通届きました。
一通には、近況と【同封した手紙を修道女の手紙と一緒に公爵家で保管してほしい】とあり
もう一通には、修道女の手紙と同じように難解な絵?文字?が羅列されていました。
公爵家は今後も王家の監視を続け、来るべき”スキトメ”に備えることを家訓とし
わたくしは、今後生まれる王家の子孫が”スキトメ”に合わぬようしっかり教育しようと心に誓いました。
そういえば、ヒロイン様のお手紙に祝福の呪いが書かれておりました。
”スキトメ”顕現時に唱えるとよいそうなので、子々孫々言い伝えます。
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