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魔族襲来編
魔族襲来
しおりを挟む俺たちは作戦通り早朝にミトラシティの鐘の前に集合した。
だがなぜか他の冒険者があまり見当たらない。
昨日の作戦会議のメンバーで見当たるのはギルドマスターだけだ。
「やっときたか。他の奴らはもうセクバウドへ向かっている。既にセクバウドで下級の魔物が現れてきたらしい。」
なるほど。時間通りにきたがみんなはもっとはやくきていたようだ。
下級の魔物が現れ始めているということは強い魔物や魔族が現れるのも時間の問題だ。
「わかった。俺もすぐに向かう。」
「頼む。相手は魔族だ。くれぐれも気をつけて戦闘に当たれ。」
「了解した。それとこれを残っている冒険者に配っておいてくれ。」
「これは…?」
「本当に危なくなった時に空に投げてくれ、そうすると赤い光が漂って救援の印になる。」
これは昨日の夜のうちに作っておいたものだ。
もし一人で対処できない敵が現れた場合、空いている人がすぐに助けに行けるように作っておいた。
「なるほど。これはありがたい。」
「じゃあ俺たちは向かう。」
「あぁ頼んだ。既に勇者パーティーやSSランク冒険者はついてるところだろう。」
そうか。ならかなり飛ばして行かないとだな。
「フェル、おいで。」
「ワン!!(おはようございます!)」
「上位付与」
俺はフェルに速度上昇の付与と抵抗無効の付与をかける。
「フェル!いけ!」
「ワォォォン!!」
付与を施したフェルの速度は凄まじく周りの景色がどんどん変わって行く。
セクバウドまでにいくつか小さな村などがあったがどこも冒険者が避難誘導を行なっている。
フェルのお陰であっという間にセクバウドまでつくことができた。
だが…
「避難は完了しているが…酷いな。」
村人は一人もおらずいるのは冒険者のみだったが街は魔物に荒らされ、噂に聞いていた綺麗な街とは程遠い姿になってしまっていた。
街の中心付近には魔物が現れる亀裂がかなりの大きさで開いている。
だが結界で塞いでいたはずだがなぜこんなにもはやく結界が破れてしまったのだろう。
「ギュオォォォォ!!」
「そこそこ強いのも出てきたか…」
時間が経つにつれ強い魔物が出てくるため、すでに幾人かの冒険者は疲労している。
俺はとりあえず体制を整えるために魔物を一掃する。
「みんな、雑魚を一掃しろ。」
「わん!ぷるぁ!了解!」
フェルは戦場を駆け巡り魔物を噛み、爪で切り裂き、ベルは多数のスキルを駆使し、魔物を葬り去り、ハナビは魔法を構築し、遠距離から狙撃を行う。
「よし。冒険者のみんな!一度体制を立て直す!」
「た、助かった!」
俺たちが空間の亀裂から離れ体制を立て直すと亀裂がさらに大きくなり強力な魔物を従えた人物が現れる。
「あ?あんなに魔物を送ったってのに一体もいないじゃねぇか。」
「魔族か?」
「あ?あぁ!俺様は四天王の爆炎の支配者パブロだ!」
魔族にもランクがあることは知っていたがいきなり四天王クラスが出てくるとは…
とりあえず魔族の力を図るという意味では都合が良い。
「そうか。なぜお前たちはこちらに攻撃を仕掛けてくる?」
「何言ってやがる。先に仕掛けてきたのはそっちだろうが!」
こちらから先…?どう言うことだ?
「こちらが先に仕掛けただと?」
「忘れもしねぇ。この間人間がいきなりこっちにきて暴れたんじゃねぇか!」
どういうことた?
この魔族の男が言っていることが本当かわからないが少し詳しく調べまでみる必要がありそうだ。
「そうか。だがこちらもそう簡単にやられるわけにはいかない。」
「そうかよ!なら力ずくで従えてやる!」
パブロが体に焔を纏い戦闘態勢に入る。
そして体を丸め魔力を溜める。
「やばい!ハナビ!」
「わかってるわよ!」
「私の最大防御!【天使の守り】!」
瞬時にハナビに指示を出し障壁を張ってもらう。ハナビが構築できる最高硬度の障壁だ。
「地獄の業火!!」
それと同時にパブロも高火力の魔法を発動し、辺り一面真っ白な光に包まれる。
ドォォォォォォォォォン!!!
俺は白い光が止み目を開ける。
「ハナビ大丈夫か?」
「な…なんとかね…。でも一気に魔力使いすぎたから休ませて…」
「あぁ、助かった。ありがとう。」
なんとかハナビのおかげでパブロの攻撃を防ぐことができた。
だが、辺りは以前の姿とは変わり全てが溶け、何もない平野になってしまった。
「お、俺たち無事なのか?」
「あ、あぁあいつのおかげだ。」
どうやら冒険者たちも無事らしい。
だが相手がここまで強いとなると早めに対処しないとまずそうだ。
「はぁはぁ、なんで生きてやがる!」
「そんな簡単にやられてたまるか。」
「くそ!焔の追跡者!」
パブロが追尾式の焔の弾を複数作り出し俺に撃ち込む。
俺は一匹狼を抜きそれを切り裂き消滅させる。
「なっ…」
「反撃開始だ。」
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