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新人冒険者編
【召喚】と【付与】の力
しおりを挟む俺は風魔法を使い、煙を吹き飛ばす。
煙が晴れ、俺の姿が現れる。
「【召喚】フェル、おいで」
俺の横に魔法陣が展開され、フェルが呼び出される。
「ワン!」
ザワザワ…
「おい、あいつ【魔獣使い】かよ。久々に見たわ」
「いや、【召喚】って言ってたぞ。【召喚士】じゃないのか?」
「おい、【召喚士】なんて初めて聞いたぞ。なんなんだ?」
「知らないのか!?【召喚士】って大昔の勇者召喚の勇者の職業だぞ!」
「まじかよ!あいつなにもんだ?」
どうやら【召喚】を使う人は【召喚士】と呼ばれているらしい。
それに勇者召喚か…気になるな。
「ははっ、その白狼に何ができるっていうんだ?フォレストウルフと対して変わらない大きさじゃないか。」
意外にもフェルには大して驚いてないらしい。
だがまぁいい。蹂躙してやる。
「いくぞ。【付与】フェル!」
俺が【召喚】と【付与】を色々と試しているうちに【召喚】も魔法だから【付与】できるのでは?と思い、試して見たらできてしまった。
フェルを纏う効果は[攻撃力上昇][素早さ上昇]だ。
「「「す、すげぇ…」」」
今の俺の姿はフードのついた純白のロングコートを着ている姿だ。
ただ、能力が上がったことにより存在感も圧倒的に増し、観客は俺の姿に驚いているようだ。
そして[怪力の穴熊]達も俺のした事に驚愕を隠せないようだ。
「お、おい!お前ら!狼狽てるんじゃねぇ!どうせ大した事ない!」
「【付与】」
さらに俺は速度を上げるため雷を纏う。
自らに各属性を[付与」すると
[火魔法]攻撃力上昇
[雷魔法]素早さ上昇
[水魔法]回避率上昇
[土魔法]物理耐性上昇
[風魔法]魔法耐性上昇
ということがわかった。
《付与の熟練度が一定に達しました。》
《魔力操作の熟練度が一定に達しました。》
「さぁ、行こうか」
フェルを纏い、さらに雷を纏った事により、俺の強さは増大する。
上がった速さを生かし[怪力の穴熊]のリーダー格に肉薄し、蹴り飛ばす。
「なっ…」
リーダー格の男はこの速さに反応できず、増大された威力のこもった蹴りをモロにくらい、吹っ飛ぶ。
《熟練度が一定に達しました。》
《格闘術を獲得しました。》
「お、おい、みえたか?」
「いや、何が起こったのかさっぱりだ」
「ふむ、あやつなかなかやるな」
俺の行動に反応できない人が大半だが、何人かは反応できているようだ。
上位ランクの冒険者か何かだろう。
「ぐっは…」
「くそっ…」
俺は勢いそのまま[怪力の穴熊]を圧倒していく。
リーダーがやられたことによりみんな体が強張り、動きが鈍くなっている。
そして最初に吹っ飛ばしたリーダー格の男の前に行き剣を抜いた。
「終わりだな。」
「くっくそ!」
俺は剣をリーダー格の男に剣を下ろした。
カキンッ!!!
「それ以上はやめてもらおうか。」
突然俺の目の前に大剣を持った大男が現れ、俺の剣を止める。
「誰だ」
「[怪力の穴熊]クランマスターであり、Sランク冒険者のベアーだ。ちなみにお前がリーダーだと思っていたやつはAランク冒険者のゴビという。今回はこちらの負けでいい。もうやめてもらおうか。」
ふむ、あのイキっていたやつがリーダーじゃなかったのか。
俺が蹴散らした[怪力の穴熊]のメンバーたちが起き上がりリーダーの男に頭を下げた。
「「「リ、リーダーすいやせん。」」」
「あぁ、この頃調子に乗っていたお前たちにはいい刺激になったんじゃないか。これからは気をつけるように。」
「は、はい。」
あいつらが頭を下げるなんてさすがだな。
それにあいつらと比べてクランマスターは意外と真面目なようだ。
「お、おい。[怪力の穴熊]のクランマスターが出てきたぞ。」
「滅多に出てこない[穴熊]が自ら出てくるとはな…」
ふむ。クランマスターの二つ名が[穴熊]だからクラン名が[怪力の穴熊]なのか…
「そうだな。こちらもお前と戦うのは少々手こずりそうだし辞めておこう。」
「ふっ、俺に勝つ気でいるのか。まぁいい、いつか捻ってやる。」
実際こいつと戦ってみるのもありかもしれないがこちらもかなりの痛手を負う可能性があるため今回はやめておくことにした。
「そこまで!!勝者Fランク冒険者タイム!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!」」」
司会が試合終了を告げ、会場が声援で包まれる。
Aランク率いる7人対名もなきFランク冒険者が戦うことも今までなかっただろうがそれでもFランクが勝ったことは前代未聞だろう。
会場のみんなもお祭りの様に騒いでいる。
俺は雷の纏を解き、フェルを[召喚獣の部屋]に戻し、[コロッセオ]を後にした。
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