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新人冒険者編
油断大敵
しおりを挟む「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」
闘技場に入るとものすごい声援と熱気が伝わってきた。
やはり闘技場で有名な街とだけあってかなりの人数が集まっている。
「おい!新人!死ぬんじゃねぇーぞー!」とか「[熊の尻穴]は最高だったぞ!」とか様々な声援が飛んでくる。
[怪力の穴熊]があまり人気では無いらしく俺のことを応援してくれている人が多いらしい。
俺が中心で観客に手を振っていると逆側の待機場から[怪力の穴熊]が出てきて、俺たちは中央で会話を交わした。
「よぉ、逃げずにやってきたみたいだな。さっさとぶち殺してやるよ。」
「こちらこそお前らが逃げないか心配だったよ。なんせこんなに人数を連れてこないと不安らしいしな。」
そう、こいつらはギルドにいた時の5人だけではなく、同じクランの他メンバーも連れてきたらしい。
ちなみにクランとは15人以上の冒険者の集まりで[怪力の穴熊]は30人以上の中型クランとして有名らしい。
「ふん。お前のことをたっぷりいたぶってやろうと思ってな。別に人数に制限はされてなかったし7人ほど連れてきてやったよ。」
全く、せこい奴らだ。顔も汚い上にやることも汚いとは…
だが前衛と後衛のバランスの良い構成で来ているところを見るとただのバカだと思っていたがさすがBランククランだ。
「そうか、お手柔らかに頼むよ」
「そう簡単に終われると思うなよ。死なない程度にいたぶってやる!」
そしてコロッセオに魔力で声を拡大したのか大きい声で開戦の合図がする。
「これより、Bランククラン[怪力の穴熊]とFランク冒険者[タイム]の決闘を開始します!はじめ!」
司会の合図が終わると[怪力の穴熊]の魔法隊の3人が一斉に詠唱を始め攻撃を仕掛けてきた。
「炎の矢」
「氷の矢!!」
「雷の矢!!」
三属性の魔法の矢が一斉に俺めがけて飛んでくる。それを相殺するため土魔法の[土の弾]をぶつける。
魔法と魔法の衝突で土煙が起こり周囲が見えなくなる。
「おりゃぁぁ!!」
その瞬間リーダー格の男がその中から大きな斧を持って襲いかかってきた。
俺はそれを気配察知で躱した……と思ったが肩に浅く貰ってしまった。
「なぜだ?避けたはずだが…」
《気配察知の熟練度が一定に達しました。》
そう。俺は完全に避けたのだ、なのに何故か攻撃を食らってしまった。
斧自体になんらかの細工が施されているのだろう、
「ふっ、それはこの古代武器のおかげだ。この斧は攻撃時、風魔法を周りに纏い、周囲も切り裂くのだ。」
そういうことか、これは気をつけないとまずいな。
それに古代武器か…
「そうか。自ら手の内を明かすとはさすが馬鹿だ。教えてくれてありがとな。」
馬鹿、という言葉に反応したのか[怪力の穴熊]達は怒り攻撃を仕掛けてくる。
「お前ら!一斉に叩くぞ!」
「「了解!」」
リーダー格の男の他の前衛2人が剣を持って3人で仕掛けてくる。
前衛二人の後ろから魔法が飛んでくるため前衛だけでなく魔法の対応もしなくてはいけない。
「これはまずいな。」
魔法と近距離の攻撃の嵐。いくらか攻撃を食らってしまい。俺は後退する。
「さすがはBランククランか…」
俺は少しこいつらを侮っていたようだ。
俺は魔力を自分の体にコーティングするようし、出血を止める。
「ふっ、調子に乗っていたがその程度か。Fランクで喧嘩を売るとどうなるのか見せしめにしてやる!」
そうして、また[怪力の穴熊]の魔法隊の猛攻が俺を襲う。それを今度はわざと煙が起きるよう、炎と水の魔法で相殺する。
「やったか?」
闘技場が煙に包まれ俺の状態がよく見えなくなり、俺の安否がわからなくなる。
シーーン…
俺の安否を確認するため会場が静まり返る。
そして…
「その台詞はフラグって言うんだぜ。さぁ、反撃の時間だ。」
静寂を破るように煙の中から俺の声が発せられた。
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