上 下
40 / 66

レベリング

しおりを挟む

「はぁはぁはぁ…危ないところだった。」

脱出石エスケープロックを使用したことにより俺は絶望的な状況から抜け出すことができた。
しかし俺の体はボロボロだ。あれほどの激戦だったのだ。装備も一度見てもらった方がいいだろう。

とりあえず街に戻り回復しようと思う。
それにしても今回は本当に危なかった。
もしあと一撃でも食らっていたら、もし1秒でも脱出石エスケープロックを使用するのが遅かったら。考えるだけで寒気がする。

やはり当初の予定通りダンジョンでレベリングをするべきだ。今の俺にはここは早すぎたようだ。

とりあえず回復するために宿屋へ行こうと思う。
宿屋の後はギルドで盗賊のクエスト完了報告と盗賊についての調べ物だ。


「ここが宿屋か。そういえば来るの初めてだな。」

GKMを始めて今回が初めての宿屋だ。
宿屋はお金を払い、休憩することでHP.MP共に満タンになる施設だ。
もちろんだが、RPGゲームのように泊まると1日過ぎるなどそういったことはない。

「いらっしゃい…ってボロボロじゃないのか!早く休みなさい!」

「は、はい!」

恰幅の良い宿屋の女将さんに怒られ、急いで部屋に入る。

部屋はベットと机が置いてあるシンプルな部屋だ。
ベットで一度横になるとHP.MPが即座に満タンになる。
今はかなり疲れているためすぐに横になるとしよう。

「はぁ…疲れた。」

ベットに横になると癒され、回復していくのがわかる。

目を瞑ると先程までの光景が浮かんでくる。
俺は圧倒的に力が足りなかった。
体力も、力も、技も、素早さも。なにもかもあそこでは足りなかったのだ。

それを補うにはやはりレベルと装備とスキルだ。
俺は目を開け、横たわったまま特技図鑑スキルブックを開く。

「結構取れそうなスキルいっぱいあるな。よし、スキルを会得しながらレベリングだ。」

とりあえずここを出て準備を整えるため、ギルド、鍛冶屋へと向かう。
お金にも余裕がある。ギルドでの飯はいいものを食おうと思う。

ギルドに入るといつもと同じくとてもいい匂いが立ち込めている。
このまま食事をするために【幻想猫ケットシーの戯れ】に行きたい気持ちを抑え、クエストカウンターへ向かう。

「うーんダンジョン内の討伐系はあまりないか…今回はクエスト受けなくていいか。」

ダンジョン内のクエストであったのはスライム討伐などの下位のモンスター討伐や薬草などの採取系だった。
特にいいクエストもないためクエストを受けずにレベリングに集中しようと思う。

「こんにちは。クエスト報告に来ました。」

「はい!【盗賊の討伐】クエストですね。こちらが報酬になります。」

「ありがとうございます!それと盗賊団について聞きたいんですけど何かわかりますか?」

「[影の者]についてですね。ですが申し訳ございません。現在我々ギルドが持っている情報はほぼ皆無なのです。わかっていることは盗賊団の名前と団長の他に4人の副団長がいることくらいです。お役に立てず申し訳ございません。」

なるほど。情報は自分で集めろということか。シークレットクエストといったところか。

「ありがとうございます。ではまた!」

次は鍛冶屋だ。
今回の戦闘で傷ついたであろう装備の点検と新たな装備を作る素材の確認だ。
いつものように隠されている扉を開け、奥へと入る。

「おぉ、君か。今度はどうしたんじゃ?」

「ちょっと激しい戦闘があったので装備の点検と新しい装備のための素材を聴いとこうと思って。」

「どれどれ。…こりゃ酷い。これなら新しいものを作った方がいいレベルじゃぞ。どうしたらこうなるんじゃ。」

「ゴブリンの本拠地アジトへ行ったらまんまと騙されてしまって…。」

「そうか。それは気の毒じゃったな。じゃがこれを元に戻すとしたら半日はかかってしまうの…。」

半日か…一刻も早くレベリングをしたかったが装備がないのなら仕方ない。妥協して安い剣を買ってももったいないだけだ。
草原でスキル会得でもしとくか。

「そうですか…。じゃあお願いします。」

「急いでるのか?」

「はい。レベル上げを早くしたくて。」

「レベリングか…。レベルを上げるだけでいいんだな?」

スキルも会得したいが今一番優先していることはレベリングだ。
グラムズが何か引っかかるようなことを言っているが、どういうことだろうか。

「はい…でもどうしてですか?」

「レベリングだけなら面白いことがあるが、試してみるか?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界を【創造】【召喚】【付与】で無双します。

FREE
ファンタジー
ブラック企業へ就職して5年…今日も疲れ果て眠りにつく。 目が醒めるとそこは見慣れた部屋ではなかった。 ふと頭に直接聞こえる声。それに俺は火事で死んだことを伝えられ、異世界に転生できると言われる。 異世界、それは剣と魔法が存在するファンタジーな世界。 これは主人公、タイムが神様から選んだスキルで異世界を自由に生きる物語。 *リメイク作品です。

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。 βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。 そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。 そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する! ※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。 ※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください! ※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫
ファンタジー
 両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。 冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。 最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。 それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった… そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。 小説家になろう様でも投稿しています。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

世界最強の強くてニューゲーム

ゼクト
ファンタジー
とある男はあるゲームが大好きだった。 そんな男が、画面に映し出された確認ボタンの内容を一切見ないで、始めてしまったことによって始まる、1つの物語… ある事情から世界で一番このゲームをやりこんでいる男による、その世界での最強物語、ゲームとの違いも感じる中で彼はいったい何を目指すのだろうか? R15は保険

その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜

蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。  しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。  だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。  アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。  実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。  その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。  なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。  無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。  アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。

処理中です...