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レベリング
しおりを挟む「はぁはぁはぁ…危ないところだった。」
脱出石を使用したことにより俺は絶望的な状況から抜け出すことができた。
しかし俺の体はボロボロだ。あれほどの激戦だったのだ。装備も一度見てもらった方がいいだろう。
とりあえず街に戻り回復しようと思う。
それにしても今回は本当に危なかった。
もしあと一撃でも食らっていたら、もし1秒でも脱出石を使用するのが遅かったら。考えるだけで寒気がする。
やはり当初の予定通りダンジョンでレベリングをするべきだ。今の俺にはここは早すぎたようだ。
とりあえず回復するために宿屋へ行こうと思う。
宿屋の後はギルドで盗賊のクエスト完了報告と盗賊についての調べ物だ。
「ここが宿屋か。そういえば来るの初めてだな。」
GKMを始めて今回が初めての宿屋だ。
宿屋はお金を払い、休憩することでHP.MP共に満タンになる施設だ。
もちろんだが、RPGゲームのように泊まると1日過ぎるなどそういったことはない。
「いらっしゃい…ってボロボロじゃないのか!早く休みなさい!」
「は、はい!」
恰幅の良い宿屋の女将さんに怒られ、急いで部屋に入る。
部屋はベットと机が置いてあるシンプルな部屋だ。
ベットで一度横になるとHP.MPが即座に満タンになる。
今はかなり疲れているためすぐに横になるとしよう。
「はぁ…疲れた。」
ベットに横になると癒され、回復していくのがわかる。
目を瞑ると先程までの光景が浮かんでくる。
俺は圧倒的に力が足りなかった。
体力も、力も、技も、素早さも。なにもかもあそこでは足りなかったのだ。
それを補うにはやはりレベルと装備とスキルだ。
俺は目を開け、横たわったまま特技図鑑を開く。
「結構取れそうなスキルいっぱいあるな。よし、スキルを会得しながらレベリングだ。」
とりあえずここを出て準備を整えるため、ギルド、鍛冶屋へと向かう。
お金にも余裕がある。ギルドでの飯はいいものを食おうと思う。
ギルドに入るといつもと同じくとてもいい匂いが立ち込めている。
このまま食事をするために【幻想猫の戯れ】に行きたい気持ちを抑え、クエストカウンターへ向かう。
「うーんダンジョン内の討伐系はあまりないか…今回はクエスト受けなくていいか。」
ダンジョン内のクエストであったのはスライム討伐などの下位のモンスター討伐や薬草などの採取系だった。
特にいいクエストもないためクエストを受けずにレベリングに集中しようと思う。
「こんにちは。クエスト報告に来ました。」
「はい!【盗賊の討伐】クエストですね。こちらが報酬になります。」
「ありがとうございます!それと盗賊団について聞きたいんですけど何かわかりますか?」
「[影の者]についてですね。ですが申し訳ございません。現在我々ギルドが持っている情報はほぼ皆無なのです。わかっていることは盗賊団の名前と団長の他に4人の副団長がいることくらいです。お役に立てず申し訳ございません。」
なるほど。情報は自分で集めろということか。シークレットクエストといったところか。
「ありがとうございます。ではまた!」
次は鍛冶屋だ。
今回の戦闘で傷ついたであろう装備の点検と新たな装備を作る素材の確認だ。
いつものように隠されている扉を開け、奥へと入る。
「おぉ、君か。今度はどうしたんじゃ?」
「ちょっと激しい戦闘があったので装備の点検と新しい装備のための素材を聴いとこうと思って。」
「どれどれ。…こりゃ酷い。これなら新しいものを作った方がいいレベルじゃぞ。どうしたらこうなるんじゃ。」
「ゴブリンの本拠地へ行ったらまんまと騙されてしまって…。」
「そうか。それは気の毒じゃったな。じゃがこれを元に戻すとしたら半日はかかってしまうの…。」
半日か…一刻も早くレベリングをしたかったが装備がないのなら仕方ない。妥協して安い剣を買ってももったいないだけだ。
草原でスキル会得でもしとくか。
「そうですか…。じゃあお願いします。」
「急いでるのか?」
「はい。レベル上げを早くしたくて。」
「レベリングか…。レベルを上げるだけでいいんだな?」
スキルも会得したいが今一番優先していることはレベリングだ。
グラムズが何か引っかかるようなことを言っているが、どういうことだろうか。
「はい…でもどうしてですか?」
「レベリングだけなら面白いことがあるが、試してみるか?」
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