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ユニットミーティング
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「おっ。なぁ、BL営業的なのもありなんじゃね? この路線でいくかロ……ッ、ぐ」
「二度とボクに触れるな! 半径五十センチ以内に近寄るなこのケダモノ!!!」
ドッと鈍い音がして、鳩尾の辺りを抑えたイチカが机に突っ伏すようにして蹲る。殴り合いのじゃれ合いなんて、ニコはこれまでしたことがない。そんな風に気心知れた相手がいることは、とても羨ましいことだ。
「二人ってすごく仲が良いんだね」
ぽつりと零せば、隣のミカドがぴくりと肩を震わせた。
「……ニコにはそう見えるんだ?」
「え? うん」
「……」
すっとミカドの瞳が細くなる。どういう表情かわからなかったけれど、それを微笑みと受け取って、ニコは「羨ましいな」とはにかんだ。
「あ……僕たちもどんな内容にするか決めないとだよね。色々考えてみるね」
「あーね。ゲーム配信にするっていっても、俺たちやってるゲームの系統も違うし……あ、そうだ。マネさん、社内用じゃないアプリで個人的にメッセのやり取りってしていい感じ?」
「ああ、同じユニット内だし構いません。申請書も必要ないですよ。ただ、情報漏洩だけは絶対に気をつけてください」
これは所属する事務所によっても異なることだと思うけれど、ここインフィニティライブでは、基本的にライバー同士の連絡もスタッフとの連絡も、社内で指定されたビジネス用アプリを使うことが推奨されていた。
ただし、仕事上、他の事務所のライバーと交流する機会もあるので、申請をすればそのアプリを使わない個人的なやり取りも可能になっている。
今まで、メンバーとはずっとアプリ内で連絡を取り合っていて、特に不都合も感じていなかった。
「あいあい、おっけー。んじゃニコ、ID交換しよ」
今回も、てっきりそうなると思っていたニコは、ミカドの提案に少しばかり反応が遅れる。
「あ、う、うん……!」
「ん? もしかして、俺と連絡先交換するのやだった?」
「えっ、ううん! 違う、全然違うよ! この事務所入って誰かと個人的なID交換するの初めてだったから……ちょっと、びっくりっていうか、舞い上がっちゃったのかも……」
もじ、と手にしたスマートフォンの画面を袖口で撫でると、ミカドは「うっ」と声を詰まらせて、勢いよく顔を逸らした。
「ミカドくん?」
「あー……やば。いや、なんでもない」
お互いのIDを登録して、挨拶代わりにスタンプを送り合う。今日まで仕事以外でまともに話したこともなかったのに、プライベートな連絡先の中にミカドの名前があるのが、なんだか不思議だった。
「あの、改めてよろしく」
おずおずと手を差し出してみる。
「ん。よろしく」
緊張に震えてしまった手を、ミカドの手が握る。しなやかに見えた彼の手は、以外と大きく男らしかった。
「二度とボクに触れるな! 半径五十センチ以内に近寄るなこのケダモノ!!!」
ドッと鈍い音がして、鳩尾の辺りを抑えたイチカが机に突っ伏すようにして蹲る。殴り合いのじゃれ合いなんて、ニコはこれまでしたことがない。そんな風に気心知れた相手がいることは、とても羨ましいことだ。
「二人ってすごく仲が良いんだね」
ぽつりと零せば、隣のミカドがぴくりと肩を震わせた。
「……ニコにはそう見えるんだ?」
「え? うん」
「……」
すっとミカドの瞳が細くなる。どういう表情かわからなかったけれど、それを微笑みと受け取って、ニコは「羨ましいな」とはにかんだ。
「あ……僕たちもどんな内容にするか決めないとだよね。色々考えてみるね」
「あーね。ゲーム配信にするっていっても、俺たちやってるゲームの系統も違うし……あ、そうだ。マネさん、社内用じゃないアプリで個人的にメッセのやり取りってしていい感じ?」
「ああ、同じユニット内だし構いません。申請書も必要ないですよ。ただ、情報漏洩だけは絶対に気をつけてください」
これは所属する事務所によっても異なることだと思うけれど、ここインフィニティライブでは、基本的にライバー同士の連絡もスタッフとの連絡も、社内で指定されたビジネス用アプリを使うことが推奨されていた。
ただし、仕事上、他の事務所のライバーと交流する機会もあるので、申請をすればそのアプリを使わない個人的なやり取りも可能になっている。
今まで、メンバーとはずっとアプリ内で連絡を取り合っていて、特に不都合も感じていなかった。
「あいあい、おっけー。んじゃニコ、ID交換しよ」
今回も、てっきりそうなると思っていたニコは、ミカドの提案に少しばかり反応が遅れる。
「あ、う、うん……!」
「ん? もしかして、俺と連絡先交換するのやだった?」
「えっ、ううん! 違う、全然違うよ! この事務所入って誰かと個人的なID交換するの初めてだったから……ちょっと、びっくりっていうか、舞い上がっちゃったのかも……」
もじ、と手にしたスマートフォンの画面を袖口で撫でると、ミカドは「うっ」と声を詰まらせて、勢いよく顔を逸らした。
「ミカドくん?」
「あー……やば。いや、なんでもない」
お互いのIDを登録して、挨拶代わりにスタンプを送り合う。今日まで仕事以外でまともに話したこともなかったのに、プライベートな連絡先の中にミカドの名前があるのが、なんだか不思議だった。
「あの、改めてよろしく」
おずおずと手を差し出してみる。
「ん。よろしく」
緊張に震えてしまった手を、ミカドの手が握る。しなやかに見えた彼の手は、以外と大きく男らしかった。
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