無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

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第06章 竜界編

03 蓮太、怒る

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 水竜と闇竜が無惨にもなぶられている頃、火竜達は扉の前でひたすら様子を窺っていた。

《火竜、中の様子はどうだ?》
《……いやぁ……。アニキパネェわ……。母ちゃんヒィヒィいってるわ》
《なに? 戦っているのか!?》
《おぉ……。せいきの大バトルよ》  
《なんかイントネーションおかしくない?》

 それから数時間後。

《あ、母ちゃん負けたみたいだわ》
《な、なんだとっ!? 主は無事なのか!?》
《ああ、今母ちゃんを介抱してる》
《そ、そうか》

 そして室内では。

《これでお前は俺の女な》
《ふふふっ、こんなので私に勝ったつもりなの? まだまだ足りないわ……》
《前払いって言っただろ? 続きは全竜をボゴってからな》
《あぁん、私が殺りに行こうかしら》

 そんな時だった。

《アニキィィィッ! た、大変だっ!》
《あん? ちょっ、どうしたっ!》

 突然扉が開き火竜と地竜がボロボロになった水竜と闇竜を抱えて入ってきた。蓮太は慌てて水竜達に駆け寄り回復魔法を施す。

《レンタ~……っ、全竜……ぶっ殺してきてっ!》
《はぁ?》
《私達の傷は……全竜にやられた傷で……》
《なんだと? 全竜はお前らの父親だろ? あんな死にかけになるまでやるもんなのか!?》

 すると光竜が口を開いた。

《やりますよ、あのクズなら。水竜、何をされたか全部話してみて》
《うん……》

 水竜は全竜に言われた事、された事を全て語った。そして話を聞く内に蓮太から殺気が撒き散らされていった。

《野郎……ぶっ殺したらぁぁぁぁっ!》
《ア、アニキがキレた!?》
《当然だろう。あ奴は自らを慕う水竜を瀕死になるまで痛めつけ、愛した闇竜をここまで傷つけられたのだ。怒って当然だ》

 蓮太はゆらりと立ち上がる。取り乱す事はなくなったが、怒りの炎が燻っていた。

《無竜》
《は、はい!?》
《あんたの旦那……今から殺してくるわ。文句ねぇよな》
《あ、はい。私はもう……》

 その母の変化に闇竜は何があったか一瞬で察したが、今の蓮太にはとても何か言える雰囲気ではなかった。

《ダーリン、帰ってきたら聞きたい事あるから……ちゃんと帰ってきてね》
《ああ。行ってくる》

 蓮太は一人殺気を撒き散らしながら部屋を出た。

《はぁっ……はぁっ! な、なにあの殺気! 部屋の中が重苦しかったわっ》
《母ちゃん、あれがアニキだ》
《え?》

 火竜に続き地竜が口を開く。

《主は敵に回すと全竜より危険な男だ。味方には甘いがな》
《……そうみたいね。とてもさっきまでと同一人物とは思えないわ》

 そこで闇竜から追及が入った。

《お母さん? 私達が傷だらけにされてる時に……お母さんは私のダーリンとナニしてたのかな?》
《えっ!? や、やぁねぇ……。ナニもなかったわよ?》
《嘘。お母さんからダーリンの匂いするもん! ベッドからもっ!》
《ほ、ほほほほほっ。ち、ちょっと男女のバトルを……》
《許せない……! ダーリンが帰ってきたら私も同じだけしてもらうんだからっ!》
《え? それだけ? 昔のあなたなら怒り狂って相手を殺しに行かなかった?》

 闇竜は言った。

《私は変わったの。ダーリンから真の愛を教えてもらってね。だから許す……けど一番は私じゃなきゃダメなのっ!》
《そ、そう。わ、私は何番目でも良いわ。夫婦になるには彼は若すぎるもの》
《なら私は二番目で》
《光姉も!? ダーリン! そんなとこだけ全竜にそっくりなんだからぁぁぁぁぁっ!》

 闇竜がそう叫んでいる頃、蓮太は全竜の間へと通じる扉の前に立ち、今その扉を豪快に蹴りで破壊していた。

《ようクズ野郎。殺りにきたぜ》
《あぁん? 誰だテメェ》
《ひぐぅぅぅっ!》

 全竜は抱えていたメス竜を放り投げベッドに腰掛ける。

《ああ、もしかしてお前がクソガキらが言ってた奴か? おい、もう抱いたんだろ? 俺様のガキは美味かったか?》
《うるせぇよ。クセェ口開いてんじゃねぇぞゴラ》
《アァッ!? テメェ……》

 蓮太は首を鳴らしながら部屋の中央へと進んでいく。そして中央で全竜に向かい中指を立てた。

《お前の全てを奪ってやる。無竜はすでに俺の女だ。後はお前の地位を奪い、俺がここの王様だ。無竜からお前を殺す許可はもらっている。お前の命は今日この日に終わる。懺悔しな》
《アァッ!! テメェ……何上からモノ言ってやがる! 誰にモノ言ってっかわからしてやらぁぁぁぁっ!》

 全竜は座ったままの状態から一瞬で蓮太の前まで移動してきた。

《グアッ!? テ、テメェェェェェ……ッ!》
《ふん、雑魚が》
《チィッ!》

 蓮太は距離を詰めて来た全竜が攻撃に移る前に、重い一撃を腹にめり込ませていた。全竜はたまらず後ろに下がり距離を取ろうとする。だがそれをただで見逃す蓮太ではない。

《なっ!?》
《頭が留守だぜ、オラヨォォォッ!!》
《ガァァァァッ!? ガッ──》
《オラオラ、次は腹だ! 内臓ぶちまけろやオラッ!》
《グホッ──ガァッ! クソガキがっ!》
《おっと》

 蓮太は後退した全竜の頭を床に叩きつけ、水竜がされたように腹を蹴りあげてやった。しかしそこは全竜、なんとか蓮太の打撃に耐え、足を掴もうとした。だが蓮太はそれを読み、空中に飛ぶと、そのまま全竜の頭を踏みつけてやった。

《ガァァァァッ! テメェ! 誰の頭踏んでっかわかってんだろうなぁぁぁぁぁっ!》
《あぁ? わかってんよ。種をばら蒔く事しか能がないトカゲ野郎の頭だろ? ここは踏み潰しても中身が詰まってなさそうだ》
《──っざけんじゃねぇぇぇっ! 【ドラゴニックオーラ】!!》
《ちっ!》

 全竜から黄金色のオーラが吹き出す。蓮太はそのオーラにより弾き飛ばされた。

《舐めやがって……。テメェは楽には殺さねぇ……。なぶり殺してクソガキらの前で食い千切ってやらぁぁぁっ!》
《はん、俺はごめんだな。お前なんか食ったら腹を下しそうだ。クソ不味そうだしな》
《っせぇぇぇぇぇっ!! 喰らえっ! 【竜の咆哮】!!》

 全竜は両手を竜の形にし、そこから大出力の光線を放ってきた。

《跡形もなく砕け散れやぁぁぁぁぁぁっ!》
《なぶり殺しにするんじゃねぇのか? バカだな【リフレクション】》
《んなっ!? グァァァァァァァァァッ!?》

 蓮太は向かってきた光線をそのまま全竜に向け跳ね返してやった。そして全竜は自らの攻撃で左肩から先をを吹き飛ばされていた。

《クソがぁっ! 【再生】!!》
《ほう》

 全竜はスキルを使い失われた部分を復活させた。

《ハッハー! 勝ったと思ったか? んな甘い相手じゃねぇんだよ!》
《再生か。なら……もっと破壊してもまだ大丈夫そうだな。おら、踊れ》
《あ? ぐぁっ!?》

 蓮太は左手の指を銃の形にし、回復した全竜の左腕に向けて攻撃を放った。回復したはずの全竜の腕は再び消えた。

《い、今何しやがった!》
《あ~? まさか見えなかったとか? 強い強~い全竜様がんな事ねぇよな? おら》
《がぁっ!?》

 今度は左膝が何かに貫かれた。そして右肩、右膝と次々に何かに貫かれていく。

《な、何か飛ばしてやがるな……。恐ろしく速い何かをっ!》
《まぁだ見えてないみたいだな。ま、当然か。これは不可視の合成魔法だからな》
《なん……だと?》

 全竜はなんとか再生を使い再び立ち上がった。

《全属性合成魔法【ネオ】だ。竜になったおかげでようやく使えるようになった。さて、見えない攻撃をどこまで躱わせるか試してみるか?》
《ク、クソがぁっ! どうせその指先から飛ばしてんだろうがっ! 動き回ってれば当たらねぇっ!》
《だから言ってんだろ? 踊れってな。ほらほら、当たると死ぬぜ》
《チィィィィィィッ!!》

 全竜は一つの場所に留まらないよう、縦横無尽に室内を駆け回る。攻撃に移ると不可視の魔法が飛んでくるため、逃げる事しかできなかった。

《くそがぁぁぁぁぁっ! 見えねぇ攻撃なんぞ卑怯だぞっ!》
《卑怯? はっ、まさかクズのお前から卑怯なんて言葉が飛び出すとはな。負けそうになると卑怯者呼ばわりか。ナニと同じで小物だなぁオイ》
《だれが小物だゴラァァァッ!》
《さて、そろそろ終わりにしようか。いつまでもバカの相手なんかしてらんねぇからな。死ね》
《なっ!? 右……だと……》

 蓮太は右手から不可視の魔法を放ち、全竜の額を貫いた。額を撃ち抜かれた全竜は力なく床に落ちた。

《逆になんで左手しかないと思ったんだ? やはりバカだな。消えちまいな。【ダークフレア】》
《ち、ちきしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!》

 漆黒の炎が全竜の身体を包み、やがて全てを焼き尽くした。

《……雑魚だったなぁ。あんな雑魚より闇竜の嫉妬の方が万倍怖いわ。さて、どう言い訳すっかなぁ……》

 蓮太は全竜を消し、無竜の部屋へと戻るのだった。
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