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第05章 浮遊大陸編
06 火竜バーン
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蓮太は静かに二人の様子を観察していた。蓮太には水竜は本気でイラついているが、火竜はそれほど本気で相手をしているようには見えなかった。そして気付いた。
「ああ、なるほど。火竜、お前水竜の事好きなんだろ」
「え?」
《は、はぁっ!? こら人間っ! いきなりなに気持ちわりぃ事言ってやがる! ってかなんでここに人間がいるんだよ!?》
火竜は目に見えて慌てていた。そしてどうにか話をずらそうと無理矢理蓮太の話題へとシフトしていく。だが水竜はそれを阻止した。
「え~? あんた私の事好きだったの?」
《ち、ちげぇよドブス!》
「でも残念ねぇ~。私自分より弱い奴に興味ないし。私の事は諦めてねぇ~」
水竜はニマニマと笑い、火竜はプルプルと震えていた。
《テメェェェェェッ人間ゴラァァァッ! お前のせいで俺がバカにバカにされたじゃねぇか!!》
「ガキだなぁ~。お前のそれは照れ隠しだろ? 好きな女の子にイタズラして気をひくアレと同じだ」
《だからちげぇって言ってんだろうがっ! 俺が好きなのは光竜だっ!》
それを聞いた水竜はさらに笑った。
「えぇぇぇっ!? あんたあんな真面目っ娘が好きなの!? 自分はゲスな癖に~? あははははっ」
《だ、誰がゲスだこの野郎っ!》
「あんたよ、あんた。口は悪いわ、素行は悪いわ……おまけに頭も悪いじゃないの。姉さんとは真逆じゃない」
《それが良いんだよっ! 光竜は俺にないものを全部持ってんだ……。お前は出涸らしだがな》
「誰が出涸らしよっ!」
どうやら光竜は水竜の姉らしい。
「なるほど。水竜は好きな相手の妹だったのか。ならなおさら仲良くした方が良いんじゃねぇの? もし光竜と結婚したら水竜の兄になるんだからな」
《け、結婚!? お、俺と光竜が……うへへ……うへへへへ……》
「うわ……気持ちわるっ。あんな兄なんていらないわ。姉さんにはちゃんと言っておこ」
《……はっ! ち、ちょっと待てよ水竜様。俺が全部悪かった! もう二度とバカにしないからなんとか仲をとりもってくれっ!》
「嫌よ。あんたが兄なんて。鏡見て出直せば?」
《ぶっコロ!》
「やんのかオラァッ!」
放っておくとすぐに険悪になってしまう。
「話はわかった。火竜」
《あぁん?》
「俺がなんとかしてやろうか?」
《な、なにっ!?》
「ちょっ!? なに言ってんのあんた!?」
水竜は耳を疑い、火竜は物凄い勢いで食いついてきた。
《な、なんとかできるのかよ?》
「当たり前だ。俺はモテるからな。落とした女の数なんぞ覚えてもいねぇ。お前が俺の仲間になるならなんとかしてやるよ」
《人間の仲間に……。……だめだ》
「なんでよ?」
釣り上ざる寸前、火竜は一気に冷静さを取り戻した。
《人間の仲間にはならねぇ。人間はすぐに裏切るし、俺達をこんな場所に閉じ込めたのも人間だ。そこのバカはあんたに負けたんだろ? 俺を仲間にしたいなら俺と戦って勝て。負けたら仲間になってやるよ》
「勝てば良いんだな?」
《ああ。もちろん本気で殺りにいく》
するとそこに水竜が割って入ってきた。
「ちょっと、私が先に戦うんだから邪魔しないでくれる?」
《あん? お前、ここで俺に勝てる気でいんのか? ここは俺のフィールドだ。相性なんざ関係ねぇ。蒸発させんぞ》
「上等っ!」
だがその戦いを蓮太が止める。蓮太は水竜に命じた。
「アクア、邪魔するな」
「な、なによ!?」
「自分でもわかってんだろ。ここじゃお前はアイツに勝てない」
「か、勝てるし!」
「勝てねぇよ。お前の力でここのマグマ全部冷やせるか? それができてない時点で負けてんだよ」
水竜も気付いているからこそ、強く出てこなかった。
《ふ~ん、あんたマジでそいつ従えてんだな。つー事はあの湖でそいつに勝ったわけ?》
「まぁな」
《……そうかい》
そう言った火竜の表情は少しだけ笑っているようだった。
《んじゃあ……戦るか。光竜との仲をとりもってもらわなきゃならねぇから一応加減はするが……死ぬなよ?》
「ふっ、傷一つでも付けられたら誉めてやるよ」
《くくくくっ、俺を甘く見すぎだっ!!》
一気に緊張感が高まる。蓮太は水竜を離れた場所に移動させ、火竜と対峙し、拳を構える。
《あん? お前武器は?》
「今回はスキルと魔法だけで戦う。武器は使わない」
《ほ~う、よく考えてんな。お前、あのバカより楽しめそうだ。ガッカリさせんなよっ!》
この場で火竜に接近戦を挑むバカは水竜くらいだ。火竜は最初マグマの中から現れたのだ。つまり接近するとマグマの海に引きずり込まれるか、マグマの総攻撃を食らうことになりかねない。そこに火竜単体の力も加わる。相手のフィールドで戦うという事はこういう事だ。
《まずは様子見だ。食らいなっ!》
火竜はマグマの上に移動し、左右に両腕を伸ばした。
《捕まえろ、マグマハンド!!》
「うげ……マジかよ」
マグマの中から十本の腕が生えてきた。
《捕まったら終わりだ。オラッ躍りなっ!》
「ふん、付き合ってやるか」
蓮太は空中に浮かび、迫りくるマグマの腕を器用に躱わしていく。しかも躱わすと同時に一本ずつ腕を氷魔法で冷やし、土魔法で破壊していった。
《ほ~う、器用な真似すんなぁ。左右の手で違う魔法放てんのか》
「まぁな。こんなんじゃ俺には勝てねぇぞ?」
《どうだかな。ほれ、追加だ》
火竜は指を動かし、消えたマグマの腕を補充してきた。
《マグマがある限りこの攻撃は無限に続くぜ? お前の魔力はいつまでもつかな?》
「じり貧だな、だが捕まるわけにはいかないし……ちょっと冷やすか」
蓮太は火竜とマグマハンドが直線上に並ぶように動き、地面に立つ。そして火竜に向かい両手を突き出した。
「凍えて眠れ、【アブソリュート・ゼロ】! 風よ舞い上がれ、【サウザンドストーム】!」
《ちょっ、なんだそりゃっ!?》
蓮太の両腕から絶対零度の冷気と暴れ狂う嵐のような風が放たれる。その二つが前方で混じり、火竜は絶対零度の風に襲われた。
《や、やべぇっ!》
火竜は蓮太の技を躱わすためにマグマの海へと潜った。だが蓮太の放った絶対零度の風は一瞬でマグマを冷やし、岩の塊へと変えてしまった。
「ちょっと! そんなのできるなら最初からやりなさいよね! 暑かったんだからっ!」
「知らんがな。ちょっと黙ってろ」
蓮太は火竜が潜った先から目を離さない。これくらいで倒せる相手なら苦労はしない。冷えたマグマは表面だけだ。あの下には今もマグマの海が存在している。
《……ぬぉぉぉぉっ、らぁぁぁぁぁぁっ!!》
冷えて岩になった地面がひび割れ、再びマグマが噴き出してきた。その穴から火竜が飛び出してくる。
《あぶねぇなぁ~……。あんなの食らったら冷凍保存されちまうぜ》
「よく躱わしたな。だが、お前のフィールドはほぼ消えた。これでイーブンだ。さあ、続きをやろうか」
《上等よっ! マグマが消えたくらいで勝てると思うなよっ!》
そう言い、火竜は全身から火を噴き出す。そして蓮太に向かい殴りかかってきた。
《食らいなっ! 【バーンナックル】!!》
「おっと」
肘から炎が噴き出し拳が超加速した。躱わした拳は冷えて固まった地面に突き刺さる。
《見えてんの?》
「丸見えだな。それより……抜けんのそれ?」
《……ちょっと待て》
「待てんなぁ~」
《お、おいっ! 待てって! あっ、ちょ──んぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?》
蓮太は拳が肘まで地面に突き刺さり抜けなくなっていた火竜をひたすら降参するまでボゴった。
「ははははっ、俺のアイスナックルの味はどうだ? 効くだろう?」
《ぐはぁぁぁっ!? ひ、冷えるぅぅぅぅっ! 殴られたところが凍っていくぅぅぅぅぅっ!?》
「オラオラオラオラァァァァァァァァ!!」
水竜はその光景を目の当たりにし、ドン引きしていた。
「酷すぎるわぁ……。無抵抗の相手に飛び乗ってボコボコに……。あ、降参したわね」
たまらず火竜は白旗を上げた。
《降参だ降参っ! 俺の負けだっ!》
「ふむ、まだやれんだろ? 簡単に諦め過ぎだぜ火竜」
《お前相手にこれ以上やっても勝てる気がしねぇの!》
火竜の降参を受け、蓮太は火竜の背から降りた。火竜はまだ余力を残してはいるが、これ以上戦ったとしても勝ちの目がないと自覚し、降参を口にしたのである。
《なんだこの人間……、消えた魔法はバンバン使うわ一撃一撃は重いわ……、本当に人間かよ》
「一応人間のつもりだ。さて、火竜。俺はお前に勝った。今から俺達は仲間で良いな?」
《ああ、負けた俺はあんたに従うよ。【人化】!》
火竜は水竜同様人化した。人化した火竜は身長百八十、真っ赤な髪をリーゼント風味にした細マッチョのヤンキーだった。
「なぁ、俺にも名前をくれよ」
「名前? そうだなぁ……ならさっきの技からとってバーンはどうだ?」
「バーンか、オーケーだ。んじゃ俺は今からバーンだ。よろしくな、アニキ」
こうして蓮太は火竜をも味方につけるのだった。
「ああ、なるほど。火竜、お前水竜の事好きなんだろ」
「え?」
《は、はぁっ!? こら人間っ! いきなりなに気持ちわりぃ事言ってやがる! ってかなんでここに人間がいるんだよ!?》
火竜は目に見えて慌てていた。そしてどうにか話をずらそうと無理矢理蓮太の話題へとシフトしていく。だが水竜はそれを阻止した。
「え~? あんた私の事好きだったの?」
《ち、ちげぇよドブス!》
「でも残念ねぇ~。私自分より弱い奴に興味ないし。私の事は諦めてねぇ~」
水竜はニマニマと笑い、火竜はプルプルと震えていた。
《テメェェェェェッ人間ゴラァァァッ! お前のせいで俺がバカにバカにされたじゃねぇか!!》
「ガキだなぁ~。お前のそれは照れ隠しだろ? 好きな女の子にイタズラして気をひくアレと同じだ」
《だからちげぇって言ってんだろうがっ! 俺が好きなのは光竜だっ!》
それを聞いた水竜はさらに笑った。
「えぇぇぇっ!? あんたあんな真面目っ娘が好きなの!? 自分はゲスな癖に~? あははははっ」
《だ、誰がゲスだこの野郎っ!》
「あんたよ、あんた。口は悪いわ、素行は悪いわ……おまけに頭も悪いじゃないの。姉さんとは真逆じゃない」
《それが良いんだよっ! 光竜は俺にないものを全部持ってんだ……。お前は出涸らしだがな》
「誰が出涸らしよっ!」
どうやら光竜は水竜の姉らしい。
「なるほど。水竜は好きな相手の妹だったのか。ならなおさら仲良くした方が良いんじゃねぇの? もし光竜と結婚したら水竜の兄になるんだからな」
《け、結婚!? お、俺と光竜が……うへへ……うへへへへ……》
「うわ……気持ちわるっ。あんな兄なんていらないわ。姉さんにはちゃんと言っておこ」
《……はっ! ち、ちょっと待てよ水竜様。俺が全部悪かった! もう二度とバカにしないからなんとか仲をとりもってくれっ!》
「嫌よ。あんたが兄なんて。鏡見て出直せば?」
《ぶっコロ!》
「やんのかオラァッ!」
放っておくとすぐに険悪になってしまう。
「話はわかった。火竜」
《あぁん?》
「俺がなんとかしてやろうか?」
《な、なにっ!?》
「ちょっ!? なに言ってんのあんた!?」
水竜は耳を疑い、火竜は物凄い勢いで食いついてきた。
《な、なんとかできるのかよ?》
「当たり前だ。俺はモテるからな。落とした女の数なんぞ覚えてもいねぇ。お前が俺の仲間になるならなんとかしてやるよ」
《人間の仲間に……。……だめだ》
「なんでよ?」
釣り上ざる寸前、火竜は一気に冷静さを取り戻した。
《人間の仲間にはならねぇ。人間はすぐに裏切るし、俺達をこんな場所に閉じ込めたのも人間だ。そこのバカはあんたに負けたんだろ? 俺を仲間にしたいなら俺と戦って勝て。負けたら仲間になってやるよ》
「勝てば良いんだな?」
《ああ。もちろん本気で殺りにいく》
するとそこに水竜が割って入ってきた。
「ちょっと、私が先に戦うんだから邪魔しないでくれる?」
《あん? お前、ここで俺に勝てる気でいんのか? ここは俺のフィールドだ。相性なんざ関係ねぇ。蒸発させんぞ》
「上等っ!」
だがその戦いを蓮太が止める。蓮太は水竜に命じた。
「アクア、邪魔するな」
「な、なによ!?」
「自分でもわかってんだろ。ここじゃお前はアイツに勝てない」
「か、勝てるし!」
「勝てねぇよ。お前の力でここのマグマ全部冷やせるか? それができてない時点で負けてんだよ」
水竜も気付いているからこそ、強く出てこなかった。
《ふ~ん、あんたマジでそいつ従えてんだな。つー事はあの湖でそいつに勝ったわけ?》
「まぁな」
《……そうかい》
そう言った火竜の表情は少しだけ笑っているようだった。
《んじゃあ……戦るか。光竜との仲をとりもってもらわなきゃならねぇから一応加減はするが……死ぬなよ?》
「ふっ、傷一つでも付けられたら誉めてやるよ」
《くくくくっ、俺を甘く見すぎだっ!!》
一気に緊張感が高まる。蓮太は水竜を離れた場所に移動させ、火竜と対峙し、拳を構える。
《あん? お前武器は?》
「今回はスキルと魔法だけで戦う。武器は使わない」
《ほ~う、よく考えてんな。お前、あのバカより楽しめそうだ。ガッカリさせんなよっ!》
この場で火竜に接近戦を挑むバカは水竜くらいだ。火竜は最初マグマの中から現れたのだ。つまり接近するとマグマの海に引きずり込まれるか、マグマの総攻撃を食らうことになりかねない。そこに火竜単体の力も加わる。相手のフィールドで戦うという事はこういう事だ。
《まずは様子見だ。食らいなっ!》
火竜はマグマの上に移動し、左右に両腕を伸ばした。
《捕まえろ、マグマハンド!!》
「うげ……マジかよ」
マグマの中から十本の腕が生えてきた。
《捕まったら終わりだ。オラッ躍りなっ!》
「ふん、付き合ってやるか」
蓮太は空中に浮かび、迫りくるマグマの腕を器用に躱わしていく。しかも躱わすと同時に一本ずつ腕を氷魔法で冷やし、土魔法で破壊していった。
《ほ~う、器用な真似すんなぁ。左右の手で違う魔法放てんのか》
「まぁな。こんなんじゃ俺には勝てねぇぞ?」
《どうだかな。ほれ、追加だ》
火竜は指を動かし、消えたマグマの腕を補充してきた。
《マグマがある限りこの攻撃は無限に続くぜ? お前の魔力はいつまでもつかな?》
「じり貧だな、だが捕まるわけにはいかないし……ちょっと冷やすか」
蓮太は火竜とマグマハンドが直線上に並ぶように動き、地面に立つ。そして火竜に向かい両手を突き出した。
「凍えて眠れ、【アブソリュート・ゼロ】! 風よ舞い上がれ、【サウザンドストーム】!」
《ちょっ、なんだそりゃっ!?》
蓮太の両腕から絶対零度の冷気と暴れ狂う嵐のような風が放たれる。その二つが前方で混じり、火竜は絶対零度の風に襲われた。
《や、やべぇっ!》
火竜は蓮太の技を躱わすためにマグマの海へと潜った。だが蓮太の放った絶対零度の風は一瞬でマグマを冷やし、岩の塊へと変えてしまった。
「ちょっと! そんなのできるなら最初からやりなさいよね! 暑かったんだからっ!」
「知らんがな。ちょっと黙ってろ」
蓮太は火竜が潜った先から目を離さない。これくらいで倒せる相手なら苦労はしない。冷えたマグマは表面だけだ。あの下には今もマグマの海が存在している。
《……ぬぉぉぉぉっ、らぁぁぁぁぁぁっ!!》
冷えて岩になった地面がひび割れ、再びマグマが噴き出してきた。その穴から火竜が飛び出してくる。
《あぶねぇなぁ~……。あんなの食らったら冷凍保存されちまうぜ》
「よく躱わしたな。だが、お前のフィールドはほぼ消えた。これでイーブンだ。さあ、続きをやろうか」
《上等よっ! マグマが消えたくらいで勝てると思うなよっ!》
そう言い、火竜は全身から火を噴き出す。そして蓮太に向かい殴りかかってきた。
《食らいなっ! 【バーンナックル】!!》
「おっと」
肘から炎が噴き出し拳が超加速した。躱わした拳は冷えて固まった地面に突き刺さる。
《見えてんの?》
「丸見えだな。それより……抜けんのそれ?」
《……ちょっと待て》
「待てんなぁ~」
《お、おいっ! 待てって! あっ、ちょ──んぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?》
蓮太は拳が肘まで地面に突き刺さり抜けなくなっていた火竜をひたすら降参するまでボゴった。
「ははははっ、俺のアイスナックルの味はどうだ? 効くだろう?」
《ぐはぁぁぁっ!? ひ、冷えるぅぅぅぅっ! 殴られたところが凍っていくぅぅぅぅぅっ!?》
「オラオラオラオラァァァァァァァァ!!」
水竜はその光景を目の当たりにし、ドン引きしていた。
「酷すぎるわぁ……。無抵抗の相手に飛び乗ってボコボコに……。あ、降参したわね」
たまらず火竜は白旗を上げた。
《降参だ降参っ! 俺の負けだっ!》
「ふむ、まだやれんだろ? 簡単に諦め過ぎだぜ火竜」
《お前相手にこれ以上やっても勝てる気がしねぇの!》
火竜の降参を受け、蓮太は火竜の背から降りた。火竜はまだ余力を残してはいるが、これ以上戦ったとしても勝ちの目がないと自覚し、降参を口にしたのである。
《なんだこの人間……、消えた魔法はバンバン使うわ一撃一撃は重いわ……、本当に人間かよ》
「一応人間のつもりだ。さて、火竜。俺はお前に勝った。今から俺達は仲間で良いな?」
《ああ、負けた俺はあんたに従うよ。【人化】!》
火竜は水竜同様人化した。人化した火竜は身長百八十、真っ赤な髪をリーゼント風味にした細マッチョのヤンキーだった。
「なぁ、俺にも名前をくれよ」
「名前? そうだなぁ……ならさっきの技からとってバーンはどうだ?」
「バーンか、オーケーだ。んじゃ俺は今からバーンだ。よろしくな、アニキ」
こうして蓮太は火竜をも味方につけるのだった。
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