無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

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第05章 浮遊大陸編

01 調査

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 調査から数日後、蓮太はここらで一度瓦礫の中から発見した物について整理しようと、二人を廃ビルの前に集めた。

「ゴミばっかりじゃねーか!?」

 二人はとにかく珍しい物や自分が知らない物をかき集めていた。

「ゴミじゃない。これ、綺麗な丸いガラスの玉!」
「ビー玉だよ!」
「見て下さい! ここを押しただけで火が!」
「百円ライターだ!」
「ならもうこれしか! じゃん!」

 ターニアが鞄から取り出した物。それは古くから伝わるボードゲーム。

「ってオセロじゃねぇか!」
「「オセロ?」」

 蓮太は二人に遊び方を教えてやった。それが間違いの始まりだとも知らずに。

「もう一回!」
「ふふふっ、良いですよ。ではまた私が黒ですね」
「私も黒が良い!」
「遊んでんじゃねぇぇぇぇぇっ!?」

 二人はオセロにドハマリしていた。探索そっちのけで朝から寝る時間までひたすら勝負を繰り返していた。今のところラフィエルの勝率百パーセント。ターニアの知力では遠くラフィエルに及ばないらしい。だが考えてみると二人は何を探して良いかもわからないため、最初からアテにならないのだ。

「はぁぁ……ま、良いか。二人の仲を深めるにはゲームが丁度良いかもな。適当に遊んどきな」

 そして蓮太は再び探索に戻った。

「ふむ……。いよいよもってこの浮遊大陸はおかしいな。地球の物が多すぎる。だがまぁ……俺は別に地球人至上主義じゃねぇし、宇宙は広い。ここが宇宙のどこかは知らないが……似たような文明がないとも言いきれないしな。ただ似ているだけ、そう思うとしよう」

 そうしていくつもの建物の瓦礫を撤去し、探索開始から一ヶ月が経過した頃、蓮太は瓦礫の下からパスコード入力式の金庫を発見した。

「って何桁だよこれ! ヒントぐらいくれよ!」

 近くの瓦礫を撤去するが、ヒントらしきものは何一つ発見できなかった。

「……力任せが壊すか? いや、もしトラップがあれば中身はバラバラ、これは悪手だな……。仕方ない、スキルで中身を取り出すか」

 蓮太は金庫の上面に右手を置き、左手を下に向けスキルを使った。

「【アポート】」

 これは任意の場所にある物体を左右の手を使い移動させるスキルだ。蓮太の試みは見事に成功し、左手から金庫の中身が地面に転がった。

「これは……日記か? 電子デバイスもあるな。どれ、とりあえず日記から読んでみるか」

 蓮太はその場に椅子を出し、腰掛けながら日記に目を通していった。

──この世界に来て一年が経った。私達の理論はやはり正しかった。この世界はいくつもの並列世界で構成されている。その世界の間には次元の壁があり、私達は大陸ごとその次元を越えようとした。だが、次元を越える際、次元ホールに落ち、私達は全く別の次元へと飛ばされてしまった。次元ホールに落ちた事で次元跳躍装置は次元ホール底へと消えてしまった。そして今ある素材での復元は困難となり、私達はこの不思議な世界で暮らす事にした──

「ふむ。やはりこの大陸は別の世界から来たのか。だが次元を越える際のトラブルで目標としていた場所には行けなかったって事になるな」

 蓮太は片手にコーヒーを持ち、再び日記に目を落とした。

──この世界に来てから二年が経った。この一年で私達は多くの不思議な現象と遭遇した。まず、私達は現地人と接触を試みた。だが翻訳機を通しても私達の言葉は全く通じず、私達の言葉も一切通じなかった。そればかりか、いきなり刃で斬りつけられ、杖の先から火や岩を出し攻撃された。この不思議な攻撃は私達の技術でもまったく理解できなかったが、身を守るためやむなく撃退した。あちらも私達の武器は見た事がなかったのか、驚き戸惑っていた──

「へぇ~。見た事がない武器ねぇ。もしかして銃とか? いや、次元を越えるだけの科学力があるなら銃より凄いものかも知れないな。ワンチャンビームサーベルとか? スター──おっと、続き続き」

──現地人との遭遇から半年、ようやく翻訳機に現地人の言葉がほぼ全て登録された。密かに設置した集音マイクで日常会話を拾い、パターン化し、私達の言語に当て嵌めた。そこから私達は現地人に悪魔の種族、つまり魔族と呼ばれている事がわかった── 

「ま、魔族!? ちょっと待て……。なら俺が殲滅した奴らはこの大陸の子孫だってのか!? つまり……魔族は人間……?」

 珍しく蓮太が慌てていた。背中に冷たい汗を感じつつ、蓮太はさらに日記を読み進める。 

──この世界に来てから十年が経過した。この十年で私達の中から不思議な力を持つ子ども達が次々と産まれた。ある者はありえない速度で動き回り、またある者はその身をいくつかに分ける。子ども達に尋ねるとある日突然頭に声が響き、不思議な力を使えるようになったそうだ。私達はそれを特殊な力、【スキル】と名付け、研究を進めていった。そしてついにスキルを電子デバイスに移す事に成功した。そしてそのスキルを複製し、他人ですインストールする手段を確立した──

「スキルのインストール……? 付与スキル……いや、これは全くの別物だな。ゲームでいえばスクロールみたいなもんか。こいつらマジやべぇな」

──だがそれがいけなかったのか、現地人が躍起になり私達の技術を手に入れようとしてきた。そこで私達は大陸を空に浮かべる事にした──

「現地人との戦か。まさか浮遊大陸が生まれた原因が戦とはな……。どこの世界でも人間の欲は果てしないな」

──私達は現地人を撃退しつつ、反重力装置とミラージュシールドの構築に取り掛かった。理論自体はあるが、必要となる物資が圧倒的に不足していた。困り果てた私達は現地人の言葉からこの世界にはダンジョンといわれる無限に物資が手に入る迷宮の存在を知った。中でも有名なダンジョンが天地を貫く迷宮だった。私達はその迷宮を私達の世界でも神の世界へと繋がる塔として有名だった塔から名前をとり、この迷宮をバベルの塔と名付け、地下に潜った──

「いやいや、待て! バベルの塔は地球の話だろ? それじゃあ何か? 魔族の祖先は地球人って事か!?」

 蓮太はさらに読み進める。

──いよいよ必要な物資が揃った。だが、ここで迷宮の果てまで潜った調査団から、迷宮の果てに広大な土地が広がっていると報告があった。私達は迷った末、空に浮かぶチームと、迷宮の果てを開拓するチームに分かれた。そして私はこの大陸と共に空へと浮かび上がったが、今思うと地下に向かった方が良かったかもしれない。空は魔獣の巣窟だった。巨大な空を飛ぶトカゲが見えないはずの私達に攻撃をしてきた。私達は持てる力を全て駆使し、このトカゲに抗ったが徐々にその数を減らされていった。そして私達は最後の手段とし、大陸中央に疑似ダンジョンを作り、多くの犠牲を払いながら巨大なトカゲ達をそこに封じ込めた──

「おいおい……、じゃああのビルはダンジョンで中には竜がいんのか!?」

─入り口が開かなければ巨大なトカゲは外に出てこられないだろう。外観はただの装飾であり、扉がダンジョン空間を繋ぐキーとなっている。この日記もここまでにしよう。いつかこの大陸へと戻ってくるだろう子孫にこの日記を託す。決して塔の扉は開けないで欲しい──

 ここで日記は終わった。蓮太は日記と共に手に入れたカードキーをアイテムボックスに収納した。

「……ふむ。見なかった事にしようか。あの扉さえ開かなければ竜が世に放たれる事はない。次元を越えるような者達を追い詰めた竜は絶対に外に出さないようにしなきゃな」

 日記を見た蓮太はさらに封印を強化するため、ビルへと向かうのだった。 
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