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第04章 魔族殲滅編

02 いざ、魔族との戦いへ

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 魔王はついに聖なる武具を触媒にバベルの塔を封印した。それはすぐにシルファから蓮太へと報告された。本当にエルフの情報収集能力には感謝しかない。

「わかった。ありがとうシルファ」
《はい。レンタ様、どうか無事にお戻り下さいっ》
「ああ」

 そして未だ眠ったままのロキは外し、レーナとターニアを部屋に呼び出撃の時が来たことを告げる。

「そう……ですか。兄は間に合いそうにありませんね」
「大丈夫だ。最初から数には入れていないからな。むしろ守りながら戦わなきゃならなくなりそうで、いない方がありがたいくらいさ」
「い、一応人類最強の勇者なんですけどね」
「それはナーザリーの中だけでの話だろ。世界は広いんだ。勇者じゃなくても強い奴なんて沢山いるだろう。ただ、魔族を相手に戦えないってだけだ」
「……そうですね。レンタ様、どうか魔族を倒して無事に戻ってきて下さいね」
「ああ。ターニア」

 蓮太はレーナと話を終えターニアを見る。ターニアはただこくりと頷くだけだった。

「よし、じゃあそろそろ行くよ。もし俺が魔王を倒せなかったらロキに後を任せる。なるだけ魔族の数は減らして魔王は弱らせておくからさ」
「伝えておきましょう」

 そして蓮太は宿の窓から姿を消しつつ空へと浮かび上がり、魔族の本拠地であるナーザリー方面に向け飛んでいった。

「ターニア、何も言わなくて良かったの? あなた達……その……」
「大丈夫。私達にはもう言葉はいらない。それと、話題は今から魔物を狩りに行く。最近戦ってなかったから」
「ああ、戦うの好きだったものね。気を付けて」
「ん」

 そして蓮太に続きターニアも宿を出た。

「いざ、合流地点へ! レンタなら一瞬で終わらせかねない。急がなきゃ」

 ターニアはあらかじめ話し合って決めていた合流地点へと向け移動を開始した。二人の合流地点はクロスロード王国から東に進んだ先にあるインディー公国にある砂漠地帯だ。砂漠なら植物もなく、エルフ達に悟られる事もない。この砂漠で蓮太は魔王討伐後にターニアと合流し、そのまま浮遊大陸へと向かうつもりだった。

「楽しみ。レンタ、頑張る!」

 そうしてターニアが未来を楽しみに合流地点へと向かっている頃、空を飛びナーザリーに向かった蓮太はすでに魔族へと攻撃を始めていた。

《ま、魔王様! 非常事態です!》
《何事だ》
《そ、それが!》

 玉座に座り髑髏を盃に酒を飲む魔王の下に焼け焦げた魔族が飛び込んできた。

《なに? いきなり爆発が起きて巻き込まれただと?》
《はっ。星が七つ以下の魔族はその爆発で消し炭に。星七つの私ですら片腕を失う始末……っ》
《その爆発は一度だけか?》
《い、いえ……。この本拠地から一番離れた場所にいる魔族の所から円状に幾度となく爆発が繰り返し起きており、少しずつこの城に近付いてきているようであります!》

 魔王は髑髏の盃を握り粉砕しながら立ち上がった。

《それは攻撃だろうが!! 爆発魔法を放った者はどうした!!》
《そ、それがどこにも見当たらず……》
《なんだと?》
《私も、他に生き残った魔族も誰一人として敵の姿を捉えられておりませんっ》
《この……役立たずがぁぁぁぁぁぁっ! もういい、役立たずは死ね》
《そ、そん──がぁっ!? ま……お……ぐふっ》

 魔王は指先から黒い光を放ち魔族の額を貫いた。頭を黒い光で貫かれた魔族は絶命し、その場で砂に変わった。

《ふん、まぁ良い。地上の魔族は我だけで良い。我さえいれば人間なぞどうにでもなるわ》

 そして魔王は再び玉座に腰を下ろし酒を飲むのだった。

 一方その頃蓮太はというと。

「はははは、魔族クソ雑魚じゃん」
《《 》》

 蓮太は姿を消したまま空を旋回しつつ、地上に向け火魔法と神聖魔法を合成した魔法【ホーリーボム】で絨毯爆撃を行っていた。先ほどのように助かった魔族はたまたま爆心地から離れた場所にいただけの事だ。一度は避けられたとしても二度目はない。蓮太は【生命反応探知】を使い、一匹残さず魔族を駆除していった。

《な、何が起きているんだ!? 俺達は何に攻撃され──ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!?》
《何の爆発なんだよこれぇぇぇっ!? 地下に爆弾でも埋まって──どぅはぁぁぁぁぁっ!?》
《じ、地獄だ……。仲間がどんどんわけのわからない爆発で消えていく……。ま、魔王様はなぜ助けてくれな──ひぃぁぁぁぁぁぁっ!?》

 魔族に対する慈悲などありはしない。そしてナーザリーには森も必要ない。森があれば全てシルファ達にバレてしまう。

「すまんな、植物達よ。これも俺が自由になるためだ、許せ。フハハハハハハハハハッ!」

 蓮太は逃げ惑う魔族を見て御満悦だった。そして再び魔王の下に報告が入る。

《魔王様! 魔族達をここに避難させて下さいっ!》
《ならぬ。避難より先にやることがあるだろうが! 爆発の原因はわかったのか?》
《わ、わかっておりません……》
《情けない。それでも魔族かっ! そのようなテイタラクだから魔王までのしあがれんのだ貴様らは。さっさと戻り原因を突き止めんか!》
《……はっ》

 魔族は苛立ちを隠し玉座の間を出た。

《クソがっ!! 今外がどうなっているかもわからずに酒ばかり……! なんであんな奴が魔王なんかにっ! あんな奴のために死ぬしかないのかっ!》

 バベルの塔が封印された事で魔族達は帰りたくても帰れない。傷付いた魔族はその身体を引きずりながらも城の外に出た。

《あ……あぁ……。そ、そんな……。あれだけいた同胞が……》

 蓮太はたっぷりと時間を掛け入念に絨毯爆撃を終えていた。城から見える景色は無。一面更地と化していた。

「城から出てきたお前が魔王……ってわけでもないか。星の数が足りんな」
《な……。そ、そうか! 貴様が爆発の正体かっ! 何者だっ!》
「何者か。そんなのお前が知る必要なくね?」
《な、なにっ!? それはどういう──》

 蓮太は右手の人差し指を魔族に向ける。

「だって今死ぬから。【ホーリーレイ】」
《ぐあぁぁぁぁっ!?》

 蓮太の指先から白い光が放たれ、魔族の肩を貫いた。

《こ、これは……! 白い光……だとっ! し、神聖魔法に攻撃手段はなかったはず……!》
「それは間違いだ。他の奴らが使えるレベルになかっただけの話だ。残りはお前と城の中にいる数人だな」
《探知も使え──ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!》

 再び白い光が走り魔族の両膝が貫かれた。

《ぐっ──ぐぅぅぅぅぅぅぅっ!!》
「そうそう。負けてる奴はそうでなきゃ。偉そうに突っ立ってんじゃねぇよ」
《ぐぬぅぅぅっ!! 人間に遊ばれるくらいなら……自ら死ぬわっ!! ぐっ──がぁぁぁぁぁぁぁっ!!》

 魔族は自ら胸にあったコア、人間でいえば心臓を取り出し、握り潰した。

《こ、これで……俺は……負けてないっ! ぐふっ──》
「自決したか」

 コアを失った魔族は砂となり消えた。

「さて、残りの反応は五つか。内四つがこっちに向かってきてんな。ならここで待つか」

 蓮太は城の前に椅子を出して座り、四つの反応を待つのだった。
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