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第03章 バハロス帝国編
14 大戦の前に
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いよいよドワーフ達とエルフ達の合コンが明日に迫った。一応開催場所には合コン会場セッティング前に一度訪れている。後はエルフを連れていくだけなのだが、そのエルフ達が問題だった。
「お前らさぁ、もうちょっとテンション上げるとかないわけ?」
「「「「……スン」」」」
エルフ達のテンションは急下降しており、今は最低値を爆進中だった。
「何が悲しくてチビでヒゲで土臭いドワーフと合コンしなきゃならないんですか」
「そうですよ~。私達はレンタ様しか見えてないんですよ?」
「レンタ様は私達がドワーフに汚されてもよろしいのですか!?」
「汚され……って。なぁ、ただ集まって食事して酒飲むだけじゃんか。何がそんなに不満なんだよ」
「「「「不満しかないですっ!」」」」
蓮太が選んだエルフは蓮太がまだ御手付きしていないエルフ達だった。
「わかった、なら今回のミッションを上手くこなしてくれたら褒美を出す!」
「褒美? いったい何を……」
「何でもだ。可能な限り望みを叶えてやる。ああ、妻にしてくれってのはナシでな。シルファとリージュを何とか説得できるなら構わないけど」
「「「「無理です……」」」」
エルフ達は妻の座こそは諦めたものの、急にやる気を上げてきた。
「わかりました! 一晩我慢すれば願いが叶うなら喜んで向かいましょうとも! ね、みんな?」
「「「「もちろんですっ!」」」」
「あ、ああ。ありがとうな。じゃあ明日の昼にまたここに集合で」
「「「「「はいっ!」」」」」
今回合コンに参加するドワーフは各鉱山の親方衆に棟梁を加えた八人だ。こちらも綺麗どころを八人用意して向かう。結果はどうあれドワーフの棟梁はセッティングさえしてくれたら後は自分らで何とかすると言っていたので後の事は彼らに委ねるとしよう。
そして翌日正午、蓮太は八人のエルフを引き連れヴェスチナとエンドーサの国境線上にある海の見える小高い丘に転移で向かった。
「「「「ようこそ合コン会場へっ!」」」」
「「「「……なに……これ」」」」
会場は悪趣味全開だった。テーブルや椅子は全て金。皿には白磁に金の模様を施され、箸はプラチナ製。ドワーフの頭は想像のはるか斜め上をいっていた。
「棟梁……なんだこの有り様は……」
「おうっ、レンタ! 見てくれよ、これ全部俺達が作ったんだぜ! 使った鉱石は全部自前よ。すげぇだろ?」
これはつまりアレだ。自分達は金持ってるアピールだ。見た目の厳つさを財力でカバーしようと頑張って考えた結果なのだろう。
だがこれは完全に悪手だ。ドワーフ達はエルフの事など何も考えてはいなかった。
「私もう帰りたいんだけど」
「え?」
「せっかくの良い景色が台無しよね」
「な、なぜ!?」
「私達をお金で買うつもりなの? 安く見られたものね」
「ち、違うぞいっ! これはワシらの技術力の高さをだな……」
「レンタ様、無理です。帰らせて下さい……」
「「「「な、なぜだぁぁぁぁっ!?」」」」
ドワーフ達は本気でわかっていないらしい。蓮太は頭を抱え落ち込むドワーフ達に言った。
「あのなぁ……、エルフ達は森で暮らす種族なんだぞ? 鉱石やら金にはこれっぽっちも興味を示さないんだ」
「……はっ! そ、そうか!」
「お前らのした事はただの金持ち自慢だ。金があれば偉いのか? 違うだろ。仕方ないから俺が見本を見せてやる。その足りない頭でよ~く見ておけ」
そう言い、蓮太は次々とドワーフ達が準備したテーブルや椅子、食器をアイテムボックスに放り込み、代わりに一瞬で木を加工した自然見溢れる優しい雰囲気をその場に創り出した。
「さすがレンタ様だわっ、私達が求めていたのはコレよっ」
「うんうん。これなら景観もバッチリだね!」
「木の優しい手触り、これ持ち帰りたいですね~」
喜ぶエルフ達を見て蓮太はドワーフに向き直った。
「は?」
「「「「お見逸れしましたぁぁぁぁぁっ!」」」」
向き直るとドワーフ達は涙を流し土下座をしていた。
「レンタさんが作り上げたこの空間はワシらには無理だっ!」
「レンタ……さん?」
「おおっ、ワシらはいつの間に頭まで固くなっちまってたらしい……。レンタ様のお陰で目から鱗が落ちましたぜ!」
「レンタ様!?」
「しかも一瞬でこれだけの物を作り出しちまうなんてよ……、負けたぜ。俺達の棟梁はあんただ、レンタ様!」
「と、棟梁!? 何言ってんのお前ら!?」
ドワーフ達は物造りなら誰にも負けない自負があった。だがそれはいつの間にか自分よがりになり、視野を狭めていたらしい。
「レンタ様、これから我らはあんたに従う。さあ、こっからは祝いの席だ。すまんかったな、エルフの嬢ちゃん達よ。今日から我らもレンタ様に従う仲間だ。食い物や酒はたんまり用意してある。そっちでは落胆させねぇんで今日は我らとレンタ様の関係を祝福してっちゃくれねぇかい」
ドワーフの棟梁がそう頭を下げると帰る気満々だったエルフ達も気を許したようだ。
「私達は野菜とか果物に目がないけど」
「お、おおっ。新鮮な食材を揃えてるぜ!」
「海鮮とかもあるのかしら?」
「もちろんでさ! 朝揚げた超新鮮なやつがあらぁっ」
「お酒はあまり得意じゃないんだけど……」
「それなら蜂蜜酒がありますぜ! アルコール度数も低いやつを用意してまさぁ~」
「お前ら……、なぜそこにだけ力入れてんだ……」
そうして合コンは蓮太の棟梁就任の祝いの場へと変わり、大いに盛り上がった。
「いやぁ~、初めて店で見た時からタダモンじゃないとは思ってたんすよ~」
「そうそう。二日連続で大金使って女の子持ち帰ってさ~」
「「「「……は?」」」」
エルフ長い達の耳がピクリと反応した。
「聞いたら一晩中ヤられたらしいぜ?」
「マジかよ、あっちも化け物だな、はははは」
「「「「……レンタ様?」」」」
エルフ達が怖い。笑ってはいるが頭の上に怒りのマークが見える。
「しかしまぁ……、レンタ様なら今までの人間のように我らを奴隷の様に扱うこともないだろうしな。そこんとこエルフはどうなんだい? エルフ達も人間には酷い扱いを受けていただろう?」
蓮太は心の中で「ナイス棟梁!」と叫んでいた。
「確かに。レンタ様は私達を救い、世界に再び世界樹をもたらしてくれましたからね。それと、私達の国エルフィリアには同じく苦しい思いをした獣人の方々もいらっしゃいます。レンタ様は私達亜人と獣人の救世主なのです」
「救世主……か。人間はどうにも我ら人間以外の種族を下に見がちだからな。どうやらレンタ様は他の人間とは一味も二味も違うようだ。レンタ様、改めて我らドワーフ一同をよろしく頼む」
「ああ。今後は労働に見合った対価を支払うようにノイシュタットの奴らに言っておくよ。あいつらは人間だがまだ話のわかる人間だからな。悪いようにはしないさ」
「……助かる。近い内にヴェスチナの大使に会いに行こう。だが勘違いするでないぞ? 我らが従うのはレンタ様にだ。もちろん……女どももな」
「おいっ! そこで余計な事を言わなくても良いんだよっ!」
「「「「「ガハハハハハハッ!」」」」」
「「「「「レンタさまぁぁぁぁ……?」」」」」
こうしてドワーフとエルフの邂逅は終わり、なぜか蓮太がドワーフの棟梁になった事で話がまとまった。後日エルフ達に子を求められたが、そこは上手く誤魔化した。
そして合コンから三日後。
「ノルン殿、我らドワーフはこれよりレンタ様を棟梁とし、貴国の要請に従う事とする。ただし、レンタ様の承認なき要請には応えられぬ。それでも良いか?」
「も、もちろんです! これで私も肩の荷がおりました。いやあ、さすがレンタ様です。ありがとうございました」
「ああ。ではドワーフに対する要請は俺がエレン第二王子から受け、納得したものをこちらに送る。ノルン殿、これからもよろしく頼みますよ」
「ははっ!」
そうしてヴェスチナの人間関係を良好なものとし、蓮太はエレンへ報告に向かった。
「そうか、やってくれたか」
「ああ。ドワーフの働きにはしっかり対価を支払ってくれ」
「もちろんだ。私はヴェスチナの奴らとは違うからな。ご苦労だった、レンタ」
「はいよ」
ドワーフの件が片付きエレンはようやく安心したようだ。
「それでレンタ。お前はこのままこの国にいてくれるのか?」
「いや……」
蓮太はナーザリーにいる魔族の大群について語った。
「ま、魔王だと!? 魔王といえば歴史書にも記されている大魔族じゃないか! それが今この世界にいるのかっ!?」
「ああ。魔王の目的はもうわかっている。魔王は人間を糧に自分の力を増そうとしている」
「糧……。そうだな、私達人間にはどうしようもない」
「ああ。だから俺は勇者と協力して魔王を倒しに行く。このまま何もせずにいたら世界は滅んでしまうからな。滅んだ世界じゃゆっくりのんびりもできねぇし」
エレンは泣きそうな表情を浮かべ席を立つ。
「無茶だ。いくらレンタが強いといっても魔王が相手じゃ……」
「余裕だっての。何せ俺は真なる勇者らしいからな。サクッと魔王をぶっ殺してくるわ。エレン、しばらく離れるが泣くなよ?」
「バ、バカかっ! 誰が泣くかっ! けど……行くなら死ぬな……。必ず戻って来い、レンタ」
「ああ、上手く殺るよ」
そして蓮太はノイシュタット城を出た。
「おっし! これで死亡フラグ立っただろ。後は軽く魔王と魔族を殲滅して俺は死んだことにすりゃあ自由だ! 世界を救ってやるんだ、頑張って俺の子を養ってくれよな、エレン。さぁて、決戦だ!」
蓮太は魔王を利用し、自由になるゲスい計画を立てていたのだった。
「お前らさぁ、もうちょっとテンション上げるとかないわけ?」
「「「「……スン」」」」
エルフ達のテンションは急下降しており、今は最低値を爆進中だった。
「何が悲しくてチビでヒゲで土臭いドワーフと合コンしなきゃならないんですか」
「そうですよ~。私達はレンタ様しか見えてないんですよ?」
「レンタ様は私達がドワーフに汚されてもよろしいのですか!?」
「汚され……って。なぁ、ただ集まって食事して酒飲むだけじゃんか。何がそんなに不満なんだよ」
「「「「不満しかないですっ!」」」」
蓮太が選んだエルフは蓮太がまだ御手付きしていないエルフ達だった。
「わかった、なら今回のミッションを上手くこなしてくれたら褒美を出す!」
「褒美? いったい何を……」
「何でもだ。可能な限り望みを叶えてやる。ああ、妻にしてくれってのはナシでな。シルファとリージュを何とか説得できるなら構わないけど」
「「「「無理です……」」」」
エルフ達は妻の座こそは諦めたものの、急にやる気を上げてきた。
「わかりました! 一晩我慢すれば願いが叶うなら喜んで向かいましょうとも! ね、みんな?」
「「「「もちろんですっ!」」」」
「あ、ああ。ありがとうな。じゃあ明日の昼にまたここに集合で」
「「「「「はいっ!」」」」」
今回合コンに参加するドワーフは各鉱山の親方衆に棟梁を加えた八人だ。こちらも綺麗どころを八人用意して向かう。結果はどうあれドワーフの棟梁はセッティングさえしてくれたら後は自分らで何とかすると言っていたので後の事は彼らに委ねるとしよう。
そして翌日正午、蓮太は八人のエルフを引き連れヴェスチナとエンドーサの国境線上にある海の見える小高い丘に転移で向かった。
「「「「ようこそ合コン会場へっ!」」」」
「「「「……なに……これ」」」」
会場は悪趣味全開だった。テーブルや椅子は全て金。皿には白磁に金の模様を施され、箸はプラチナ製。ドワーフの頭は想像のはるか斜め上をいっていた。
「棟梁……なんだこの有り様は……」
「おうっ、レンタ! 見てくれよ、これ全部俺達が作ったんだぜ! 使った鉱石は全部自前よ。すげぇだろ?」
これはつまりアレだ。自分達は金持ってるアピールだ。見た目の厳つさを財力でカバーしようと頑張って考えた結果なのだろう。
だがこれは完全に悪手だ。ドワーフ達はエルフの事など何も考えてはいなかった。
「私もう帰りたいんだけど」
「え?」
「せっかくの良い景色が台無しよね」
「な、なぜ!?」
「私達をお金で買うつもりなの? 安く見られたものね」
「ち、違うぞいっ! これはワシらの技術力の高さをだな……」
「レンタ様、無理です。帰らせて下さい……」
「「「「な、なぜだぁぁぁぁっ!?」」」」
ドワーフ達は本気でわかっていないらしい。蓮太は頭を抱え落ち込むドワーフ達に言った。
「あのなぁ……、エルフ達は森で暮らす種族なんだぞ? 鉱石やら金にはこれっぽっちも興味を示さないんだ」
「……はっ! そ、そうか!」
「お前らのした事はただの金持ち自慢だ。金があれば偉いのか? 違うだろ。仕方ないから俺が見本を見せてやる。その足りない頭でよ~く見ておけ」
そう言い、蓮太は次々とドワーフ達が準備したテーブルや椅子、食器をアイテムボックスに放り込み、代わりに一瞬で木を加工した自然見溢れる優しい雰囲気をその場に創り出した。
「さすがレンタ様だわっ、私達が求めていたのはコレよっ」
「うんうん。これなら景観もバッチリだね!」
「木の優しい手触り、これ持ち帰りたいですね~」
喜ぶエルフ達を見て蓮太はドワーフに向き直った。
「は?」
「「「「お見逸れしましたぁぁぁぁぁっ!」」」」
向き直るとドワーフ達は涙を流し土下座をしていた。
「レンタさんが作り上げたこの空間はワシらには無理だっ!」
「レンタ……さん?」
「おおっ、ワシらはいつの間に頭まで固くなっちまってたらしい……。レンタ様のお陰で目から鱗が落ちましたぜ!」
「レンタ様!?」
「しかも一瞬でこれだけの物を作り出しちまうなんてよ……、負けたぜ。俺達の棟梁はあんただ、レンタ様!」
「と、棟梁!? 何言ってんのお前ら!?」
ドワーフ達は物造りなら誰にも負けない自負があった。だがそれはいつの間にか自分よがりになり、視野を狭めていたらしい。
「レンタ様、これから我らはあんたに従う。さあ、こっからは祝いの席だ。すまんかったな、エルフの嬢ちゃん達よ。今日から我らもレンタ様に従う仲間だ。食い物や酒はたんまり用意してある。そっちでは落胆させねぇんで今日は我らとレンタ様の関係を祝福してっちゃくれねぇかい」
ドワーフの棟梁がそう頭を下げると帰る気満々だったエルフ達も気を許したようだ。
「私達は野菜とか果物に目がないけど」
「お、おおっ。新鮮な食材を揃えてるぜ!」
「海鮮とかもあるのかしら?」
「もちろんでさ! 朝揚げた超新鮮なやつがあらぁっ」
「お酒はあまり得意じゃないんだけど……」
「それなら蜂蜜酒がありますぜ! アルコール度数も低いやつを用意してまさぁ~」
「お前ら……、なぜそこにだけ力入れてんだ……」
そうして合コンは蓮太の棟梁就任の祝いの場へと変わり、大いに盛り上がった。
「いやぁ~、初めて店で見た時からタダモンじゃないとは思ってたんすよ~」
「そうそう。二日連続で大金使って女の子持ち帰ってさ~」
「「「「……は?」」」」
エルフ長い達の耳がピクリと反応した。
「聞いたら一晩中ヤられたらしいぜ?」
「マジかよ、あっちも化け物だな、はははは」
「「「「……レンタ様?」」」」
エルフ達が怖い。笑ってはいるが頭の上に怒りのマークが見える。
「しかしまぁ……、レンタ様なら今までの人間のように我らを奴隷の様に扱うこともないだろうしな。そこんとこエルフはどうなんだい? エルフ達も人間には酷い扱いを受けていただろう?」
蓮太は心の中で「ナイス棟梁!」と叫んでいた。
「確かに。レンタ様は私達を救い、世界に再び世界樹をもたらしてくれましたからね。それと、私達の国エルフィリアには同じく苦しい思いをした獣人の方々もいらっしゃいます。レンタ様は私達亜人と獣人の救世主なのです」
「救世主……か。人間はどうにも我ら人間以外の種族を下に見がちだからな。どうやらレンタ様は他の人間とは一味も二味も違うようだ。レンタ様、改めて我らドワーフ一同をよろしく頼む」
「ああ。今後は労働に見合った対価を支払うようにノイシュタットの奴らに言っておくよ。あいつらは人間だがまだ話のわかる人間だからな。悪いようにはしないさ」
「……助かる。近い内にヴェスチナの大使に会いに行こう。だが勘違いするでないぞ? 我らが従うのはレンタ様にだ。もちろん……女どももな」
「おいっ! そこで余計な事を言わなくても良いんだよっ!」
「「「「「ガハハハハハハッ!」」」」」
「「「「「レンタさまぁぁぁぁ……?」」」」」
こうしてドワーフとエルフの邂逅は終わり、なぜか蓮太がドワーフの棟梁になった事で話がまとまった。後日エルフ達に子を求められたが、そこは上手く誤魔化した。
そして合コンから三日後。
「ノルン殿、我らドワーフはこれよりレンタ様を棟梁とし、貴国の要請に従う事とする。ただし、レンタ様の承認なき要請には応えられぬ。それでも良いか?」
「も、もちろんです! これで私も肩の荷がおりました。いやあ、さすがレンタ様です。ありがとうございました」
「ああ。ではドワーフに対する要請は俺がエレン第二王子から受け、納得したものをこちらに送る。ノルン殿、これからもよろしく頼みますよ」
「ははっ!」
そうしてヴェスチナの人間関係を良好なものとし、蓮太はエレンへ報告に向かった。
「そうか、やってくれたか」
「ああ。ドワーフの働きにはしっかり対価を支払ってくれ」
「もちろんだ。私はヴェスチナの奴らとは違うからな。ご苦労だった、レンタ」
「はいよ」
ドワーフの件が片付きエレンはようやく安心したようだ。
「それでレンタ。お前はこのままこの国にいてくれるのか?」
「いや……」
蓮太はナーザリーにいる魔族の大群について語った。
「ま、魔王だと!? 魔王といえば歴史書にも記されている大魔族じゃないか! それが今この世界にいるのかっ!?」
「ああ。魔王の目的はもうわかっている。魔王は人間を糧に自分の力を増そうとしている」
「糧……。そうだな、私達人間にはどうしようもない」
「ああ。だから俺は勇者と協力して魔王を倒しに行く。このまま何もせずにいたら世界は滅んでしまうからな。滅んだ世界じゃゆっくりのんびりもできねぇし」
エレンは泣きそうな表情を浮かべ席を立つ。
「無茶だ。いくらレンタが強いといっても魔王が相手じゃ……」
「余裕だっての。何せ俺は真なる勇者らしいからな。サクッと魔王をぶっ殺してくるわ。エレン、しばらく離れるが泣くなよ?」
「バ、バカかっ! 誰が泣くかっ! けど……行くなら死ぬな……。必ず戻って来い、レンタ」
「ああ、上手く殺るよ」
そして蓮太はノイシュタット城を出た。
「おっし! これで死亡フラグ立っただろ。後は軽く魔王と魔族を殲滅して俺は死んだことにすりゃあ自由だ! 世界を救ってやるんだ、頑張って俺の子を養ってくれよな、エレン。さぁて、決戦だ!」
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