無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

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第02章 エンドーサ王国編

14 今度こそ改築

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 さすがに色々と準備があるだろうと、蓮太は第二王女を城に残し先に店に帰った。

「アイツの部屋も作らなきゃならんのか……。ま、元倉庫で良いだろ」

 寝室を自分の部屋、元倉庫を第二王女の部屋とし、魔法で掃除をしてから一階に戻った。

「さて……どうレイアウトするか……。このカウンターと棚はそのままで良いかな。カウンターの前に二人掛けのテーブル席を四つ追加して……って狭いな。これじゃあ入れて十三人だ。仕方ないな、スキル【空間拡張】!」

 蓮太はスキルで室内を三倍の広さに変えた。そしてテーブルも四人掛けを八つに増やし、カウンターを八席にする。

「これで四十人だな。詰めればまだ入ると思い出したけど……通路が狭いと客がぶつかりそうだしな。これくらいにしておこう」

 客席とテーブルを設置し、テーブルクロスを敷く。そしてカウンターはただの木材だった部分を白に塗り替える。加えて花瓶を置いたり、絵画をかけたりと、装飾も忘れない。

「よっし、んじゃ次はキッチンだな」

 キッチンは棚の裏側に作る事にした。キッチンからは客席は見えないが、これは転送装置を置くためだ。棚の裏側にテーブルを置き、そのテーブルと全ての席を転送魔方陣で繋ぐ。客は席から注文を転送魔方陣に乗せ、金と共に支払う。そしてキッチンで注文書を確認し、注文の品を転送魔方陣に置く。これで客に接する事なくスムーズに品を届ける事ができるだろう。

「あいつには金の回収と伝票整理だけやらしておくか。それくらいしかできないだろうしな」

 転送装置を作った後、L字型のシステムキッチンを壁に沿って置く。それから包丁や調理器具を収納し、キッチン部分が完成した。

「おっと、忘れてた。床とか壁に状態維持を付与しておかないと」

 キッチンが汚い店は不味い。これが蓮太の持論だった。だが掃除は面倒臭いため、スキルで省略してしまう。

「これで完成だ! 食材は毎日海に設置した転送魔方陣からアイテムボックスに入ってくるしな!」

 蓮太は一々海に潜らなくても良いように、海面から数メートル下に四角く巨大な転送魔方陣を敷いていた。あの港は船の接岸ポイントではなく、本当に網にかかった不要な物を捨てるだけの場所だった。これでわざわざ海に行くまでもなくなった。

「後はメニュー開発だな。さて……何を提供しようか……。とりあえず焼き魚はメニューから外しておこうかな」

 今アイテムボックスにある海鮮は何かよくわからない貝にウニっぽいなにか。それとイカ、タコ、マグロ、ブリにカンパチ、タイ、ヒラメ、ホタテとアワビといった所だ。

「ふむ……。海鮮丼だな。後は寿司か。米はたんまり創造してあるし、酢飯とワサビと醤油があればいけそうだな。後は焼き物でホタテのバター醤油、イカ焼きかな。あ、せっかくだから酒も出してやろうじゃないか。海鮮に合う酒なら……ビール、日本酒、焼酎、ウィスキー、赤白ワインかな? 酒用に冷蔵庫も置くか」

 こうしてメニューが決まり、三日かけて開店の準備が整った。だが肝心の第二王女がまだ来ない。

「こっちはもう準備万端だってのに……何してんだアイツは……」

 それからさらに四日経ち、城に連行されてから一週間が経過した頃、ようやく第二王女がやってきた。

「お~っほっほっほ! 来ましたわよっ!」
「……は?」

 第二王女は馬車数台分の荷物と共にやってきた。町の住民も何事かと通りを埋め尽くしていた。

「お、お前はバカかっ!?」
「な、なんですのいきなりっ!?」

 蓮太は店舗を指差して言った。

「どう見たってそんな大量の荷物が入るわけないだろっ! お前はいったい何しに来るつもりだよっ!?」
「え? 何しにとは? 私はあなたの仮の妻となり、共にこの店を経営しつつ、民から様々な情報を集めお父様に知らせるのでしょう?」
「……は?」
「だからほら、貴女達も挨拶しなさい」

 すると一台の馬車からメイドが四人ほど降りてきた。

「国家公安部所属、アイラです」
「同じく国家公安部所属、マインです」
「右に同じく、ミュウです」
「お嬢様の従者、ユーリシアですっ」
「……帰れぇぇぇぇぇぇっ!」

 蓮太は頭を下げる四人に向かいそう叫んだ。

「な、なぜですの!? さすがにこれ以上は減らせませんわっ!」
「アホかっ! 何度も言ってるだろう! よく見ろっ! どう見ても入りきらないだろうがっ!」
「あ、ああ。それなら大丈夫ですわよ」
「は?」

 第二王女は隣の建物を指差して言った。

「ここを彼女達四人の住居にします」
「そんなっ!? そこは俺の店……」

 第二王女は隣の店の店主にこう告げた。

「わかって下さいな。これは国家命令よ。お店、譲っていただけますよね?」
「は、はい……。しくしくしく……」

 正に外道だった。こんな事になるなら認めるべきではなかったと、今さらながらに後悔した。

「……はぁ。もう良いや。で、お前の荷物は馬車何台だよ」
「三台ですわっ! 一台が衣類、もう一台は貴金属類、最後は家具類ですわっ」
「そうか。なら貴金属類はいらんから城に送り返せ」
「そ、そんなっ!?」
「俺の店に貴金属を付ける女は必要ないっ! 飲食店舐めてんのかっ!」
「せ、せめて指輪だけでもっ!」
「一番要らんわっ! いや、一番要らんのはお前か」
「な、なんて言い草ですのっ!?」

 それから何とか説得し、衣類と家具類だけ持ち込む事を納得させた。時間が勿体ないし、騒ぎにもなっていたため、第二王女の荷物は蓮太がアイテムボックスに入れ部屋に放り込んだ。

「では改めまして……。私、エンドーサ王国第二王女【セレン・エル・エンドーサ】以下四名、これよりレンタ様の指揮下に入りますわ。どうぞよしなに」
「……ああ……。もう勝手にしてくれ」

 それからさらに十日かけセレン達に仕事の内容を覚えさせた。他の四人は一日で覚えたのだが、セレンが思いの外覚えが悪く、十日もかかってしまったのである。他の四人はその九日の間に調理まで完璧にマスターしてしまっていた。

「レンタ様! このお寿司は最高のメニューですね!」
「最初は生の魚なんてと思いましたが……食べてみると物凄く美味しいのですね!」
「私はこの貝のバター醤油? が好きですっ! なんですかこの味はっ! こんなの初めてですっ!」
「この貝はしゃりしゃりしませんね? なぜです?」

 蓮太は真面目に仕事を覚える四人をまぁまぁ気に入ってきていた。

「貝もちゃんと砂を抜いてやれば美味いんだよ。料理は手間と工夫が大事なんだ。何事も試してみなけりゃわからないだろ」
「んくっんくっんくっ……ぷはぁっ! 冷えたエールの美味いことっ! これならいくらでも飲めますわっ」
「お前は仕事を覚えろよっ!? 何昼間から飲んでんだよっ!?」

 それと反比例し、相変わらずダメなセレンをどう追い出すか真剣に悩み始める。

「んじゃ来週から開店な。後三日あるから各自町を歩いて店の宣伝に努めてくれ」
「「「「はいっ!」」」」
「すやすやぁ~……」 

 こうして開店準備を終え、いよいよ蓮太の店がオープンするのだった。
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