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第5章 グラディオン大陸編

08 ロサイス王国へ

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 サーディン帝国を制圧した俺は次に北にある国、ロサイス王国へと向かった。王と全ての兵は既に海の底で魚の餌になっているだろう。

 俺は当然この国も王と戦力を失い混乱しているだろうと予想していたが、実際に行ってみると混乱している様子もなく、主城のある王都入り口には普通に衛兵が立っていた。

「どういう事だ、こりゃあ……」

 俺はおもむろに門を守る衛兵に近付く。

「おい」
「はい?」
「これはどういう事だ。王は先日の戦で死んだだろ。なぜこうも平和なんだ」
「はぁ……まぁ……。確かに王は戦死なされましたが、今は王子が政務を引き継いでおりますので」
「王子が? いや、にしてもだ。なぜ兵がいる。全員戦に向かったはずだろ」

 衛兵は笑った。

「ははははっ、向かうわけないでしょう。王が率いて行ったのは犯罪者たちですよ」
「な、なにっ!?」
「王は嫌々参戦させられていたのですよ、サーディンの豚皇帝にね。しかし、王だけは向かわないわけにはいかず、もしもの時のために、その座を王子に委ねていたのです。そのお陰でこの国は大した混乱も起きずに今に至るというわけです」

 なるほどな。中々に賢君だったようだな。だが……戦に参加した事には変わりないからな。

「それは良かった。あぁ、言い忘れていたが、俺はイージス大陸で邪神国デルモートの国王をしているジェイドだ」
「「え?」」
「西側の国から助力を請われてな。先ほどサーディン帝国の皇帝を処刑してきた。ちなみに、ここと南の国の王を殺ったのも俺だ。来た目的はわかるな? お前らは敗戦国だ。この戦で出た損害を補償してもらうぞ」
「ば、バカなっ! 我が国はサーディン帝国に無理矢理……」 
「あぁん? 無理矢理だろうがなんだろうがよ、戦に参加したのは事実だろうが。嫌なら帝国に逆らえば良かっただろうが。それをせずに帝国に従ったのはお前らだ。ってかお前ら下っ端じゃ話になんねーよ。王と直接話さしてもらうぜ」

 俺は衛兵の間を抜けようと足を踏み出した。

「と、通すわけにはいかないっ! 我々も被害者だ! 立ち去られよ!」
「……ちっ。死ね」
「「……え? ……あ」」

 左右にいた衛兵の首が地面に転がる。俺は腰に下げた愛刀烏丸を一瞬で抜き、首がズレる前に納刀している。

「話にならねぇっつってんだろうが。邪魔すんな下っ端」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ひ、人殺しよぉぉぉぉぉぉっ! き、騎士様を呼んでぇぇぇぇっ!」

 血を噴き出す衛兵を見て町の女が騒ぎ始めた。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ! 誰かっ! 早……」

 一時間後。

「あ……はぁ……。さ、さされたぁ……っ。ぶっといのさされたぁ……っ」

 俺は騒ぎ始めた女に触れ旧エルフの隠れ里へと転移し、そこで大人しくさせた。

「町に戻してやるけど騒ぐなよ? 次騒いだら孕ませるからな?」
「……はい」

 そして町に戻るとまた騒ぎ始めた。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ! この人殺人は……」

 俺は再び女を連れエルフの隠れ里に飛ぶ。

「あっあっあっ!」
「騒ぐなって言っただろうが! もう許さん! 孕ますっ!」
「は、孕ませてぇっ! もっとそのたくましいので私のお腹かき回してぇぇぇぇっ!」
「……は?」

 どうやら最初の行為でハマってしまったらしい。試しに上に跨がらせると物凄くエロい腰使いで俺のモノに蜜をからみつけてくる。

「なんだよ、したいなら言えよな。言えば騒がなくても抱いてやったのによ」
「だ、だって……。私綺麗でもないし……。モテないから……」
「処女だったもんな。ま、セックスに顔は関係ねぇよ。気持ち良いか、気持ち良くないか、それだけだ」
「……私のは気持ち良いの?」
「ああ。何回も注いでやっただろうが。騒ぐなら孕ませて縛らくセックスできなくする。静かにするなら今日はお前の家に泊まってこれの続きだ。選べよ」

 女は静かにする方を選び、その日は彼女の家に泊まり、夜通しセックスしまくった。彼女は独り暮しで彼氏なし。物凄く都合の良い女だ。そして翌朝。

「じゃあな、帰りにまた寄るわ」
「はぁ~い、待ってるから早く来てね?」
「そりゃ王様次第だな」

 一夜明け、衛兵二人が死んだ事で町は少し騒がしくなっている。城から騎士達が犯人探しに出てきていたのだ。

「ああ君、ちょっと良いかな?」
「あん?」

 一人の騎士が俺に話し掛けてきた。君ってなんだ君って。俺は国王だぞ。ぶち殺してやろうか。

「昨日はどこにいたのかな?」
「は? 女の家でセックスしてたけど?」
「そ、そうか。ちなみにどこで?」
「あの赤い屋根の家」
「わかった。協力感謝する」
「へいへい」

 あの女は既に調教済みだ。これでアリバイも完璧。

「ってか腹減ったな。何か食ってから行くか」

 俺は適当な食堂に入った。

「いらっしゃいませ~」
「モーニングセット。あと珈琲頼むわ」
「は、はい? なんですかそれ?」
「あ? あぁ、ないのか。ってか何あんの?」
「あ、はい! 朝は黒パンにサラダとスープです」
「んじゃそれで良いや。持ってきて」
「は~い」

 しばらく待ち、俺は運ばれてきた料理を口に運び……吹き出した。

「ま、まずぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!? な、なんじゃこりゃっ!? おいゴラァァァァァァッ! シェフ出せや! よくもまぁこんなクソまじぃもん食わせてくれたな!」
「ひぃぃぃぃぃっ! て、店長~!」

 道理で他に客がいなかったわけだ。こんなもんホームレスでも食わねぇぞ。パンはクソかてぇしサラダは汁出てるし、おまけにスープはただのお湯だ。これで金とるとかふざけているにも程がある。

「あ、あの……、私がそれを作った者ですが何か……」
「何かじゃね……」

 出てきたのは薄幸そうな美女。それを見た俺の怒りはスッとトーンダウンした。

「いや、ちょっとな。これ、俺の口には合わなかったみたいで……」
「申し訳ございません……。赤字続きで良質な食材も仕入れられず……。あの……お代は結構ですのでお許し下さい……」
「そりゃまぁ……。これで金払えとか言われたら流石の俺でもぶち切れてるけどさ」
「……さっき切れてたじゃん」
「あん?」
「あはっ、あははは……。な、何でもありませんっ!」

 ふざけたウエイトレスだ。犯してやろうか。

「お母さん、それ最後の食材でしょ? もう私達が食べるものもないよ~……。明日からどうするの?」
「もう限界かしら……。私が不甲斐ないばかりにお父さんの店を維持してあげられ……うっうっ……」

 何か可哀想になってきたな。

「……何か困ってんの? 良かったら話くらい聞くけど?」
「え?」

 俺は城に向かう事を止め、薄幸の女店主に話を聞くのであった。
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