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第5章 グラディオン大陸編

01 新たな問題

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 邪神国へと戻ってから数日、デルモートを玩具にして遊んでいた所にシーメルの代表達が血相を変えて駆け込んできた。

「た、たたた大変や!」
「なんだよ、そんなに慌てて」
「聞いてや! 隣のグラディオン大陸が戦に入ったようや!」
「あん?」

 商人の話だとグラディオン大陸にある五つの国が同時に戦に入ったとの事だった。

「別に隣の大陸の話だろ。こっちにゃな~んにも関係ねぇじゃん」
「ありありのありや! ウチは隣の国と色々取引しとんねん……。このままやったら赤字んなってまうわ!」
「そうか、大変だな。話は聞いた。じゃあな」
「こらこらこら! なにおっ始めとんねん! なぁ、頼むわぁ~ジェイドは~ん。なんとかしてやぁ~」

 俺はデルモートを抱えながら商人に言った。

「戦が終わるまで待てば良いだろ。終わったら新しい国かどこかの勝ち残った国が復興のための資材を買うだろうよ。今は赤字だとしても将来的には黒字んなるだろうが。ったく、目先の利益に踊らされすぎだ」
「せ、せやかてなぁ~。新しい国がまた取引してくれるとは限らんやんか。今は港町のある二つの国と取引しとるが、その二つの国が負けてもうたら他の大陸に渡れんくなるやないか」
「アホか。それこそお前らに飛空艇やっただろうが。空飛んで行けば良いだろ」
「それはそうやけど……。なぁ、頼むわぁ……」

 俺は頭を掻きながら商人に尋ねた。

「ならよ、まずなんで大陸全土で戦になってんだよ? 理由は?」
「知らんがな。ってか聞いても教えてくれんかったわ。これ以上敵を増やしたくない理由でもあるんちゃうか?」
「はぁ? なんだそりゃ」
「せやなぁ……。ワイの予想やと五つの国が何かを奪い合ってるんちゃうかなぁ~と……」
「ふむ……」

 国を挙げてまで奪い合うものか。しかもそれは他大陸に秘匿されるほどの物。

「わからんな。まずグラディオン大陸ってなどんな大陸だ? 特徴は?」
「あ、ああ。聞いた話だけどな?」

 商人が取引している国は二つ。この大陸から渡った最初の港町がある国【ノートメア王国】とシーガロン大陸に渡る港町【ベイロン】のある【シュトラーゼ王国】だ。この二つが大陸西側の国となる。そしてこの二つは争いを好まない国らしい。

 対して、東側には国が三つ。その三つについては国の名前以外何の情報も入ってこないらしい。閉鎖的な国々なのだろう。そしてこの東西を分けるかのように大陸中央には大河があるのだとか。この大河は幅一キロはあり、渡るための橋は一本しかない。

「ふむ。大分見えてきたぞ」
「なにがや?」
「多分だが……五つ全部の国が争ってるわけじゃないな」
「なんやて?」 

 俺の予想だとこうだ。

「多分西側のどこかで争いになるような何かが発見されたんだ。で、それを奪おうと東側はこぞって橋を渡ろうとしている。その際に東側三つの国が衝突した」
「ふむふむ」
「東側は衝突しながらも少しずつ西側にも侵攻し、西側と争っている。筋書きはこんなものだろう」
「……よ、ようわかるな。その頭ん中どうなっとんねん」
「さぁな。ま、これはただの推測だ。当たってるとも思わないし。第一にそうまでして争う大元がなにかまるで見当もつかん」

 商人が尋ねてきた。

「それほどのモンやとして……ジェイドはんは狙わんの?」
「興味ねぇなぁ……。美女でも狙われてるってんなら何においても駆け付けるがな」
「美女……美女……あっ! まさか!」
「あん?」

 商人は何かに気付いたようだ。

「狙いは美女ですよ美女!」
「はぁ? 何言ってんのお前?」
「思い出したんですよ! グラディオン大陸にはエルフの隠れ里があるって話をっ!」

 ガタッ。

「詳しく!」
「は、裸で寄らんといてや!? まったく……。グラディオン大陸ははるか昔エルフの国があった大陸やったんや。しかし、人間が船を開発しあの大陸に渡るようになってからはエルフは姿を消したそうなんよ。エルフは美男美女揃い、奴隷オークションにでも出ようものなら国が買えるほどの高値がつくんや。おそらくやが……見つけたんちゃうか? エルフの隠れ里……あれ? ジェイドはん?」

 俺は全裸のままバルコニーに立っていた。

「ちょっとエルフ狩りにいってくるわ! んじゃ!」
「あ……待ちぃ……は、はぇぇぇぇ……」

 ジェイドは光の速さでグラディオン大陸へと飛んで行った。

「……さ、帰ろか。後はジェイドはんがどうにかするやろ」
「ぬあぁぁぁっ! まだ途中だったのにぃぃぃっ! 貴様っ! よくも邪魔をしてくれたのうっ! 一生勃起せん呪いをくれてやるわぁぁぁぁぁっ!」
「え? あ、ちょ……いぃやぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 哀れ商人は一生反応しない身体になるのだった。

「おのれジェイドめ……。妾の妹とした分をまだしておらんではないかっ! 帰ったら倍にするからのっ!」

 デルモートはベッドでふて寝するのだった。

 その頃俺はすでにノートメア王国の港町上空を飛んでいた。

「あら? 雨かしら? ってなんか粘り気が……ってこれ精液じゃない!?」

 全裸のまま飛んでいた俺は町の女に図らずも顔射していた。すまんな、はははは。

「さてと……、エルフっつーくらいだからいるなら森だよな? えーと森……森……あぁ、あれか」

 大河のこちら側には巨大な森が広がっていた。

「……とりあえずあの橋は邪魔だからぶっ壊しとくか。【隕石魔法:メテオ】」

 この日大河にかかっていた橋は綺麗サッパリ消し飛んだのだった。

「さて、見た所里らしきものは見えんな。開けた場所もねぇ……。結界でも張ってんのか? だとしたらダリぃな。ま、しらみ潰しに探すかね。苦労して見つけた食いモンほどうめぇだろうからなぁ……。くくくくくっ」

 俺は嗤いながら森へと降りるのであった。
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