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第4章 シーガロン大陸編
07 寒さの原因
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朝、俺はシスターと同じベッドで目を覚ました。
「あ……おふぁよう……ございまふ……んくっ」
「……なにしてんの?」
「は、はい! 朝の御奉仕を……! 大変美味でした!」
「……」
俺達が部屋を出たのはそれから二時間後だった。
「あれ? シスター凄く機嫌良いみたい! 何かあったの?」
「……ええ。ありまくりました。……ぽっ」
「こらこら。子供達に何言ってるんだ。それより、少し遅くなったが朝食にしよう。朝はパンとサラダ、スクランブルエッグで良いか?」
「あ、朝ご飯まで!? 今までは一日一食も食べられたら幸せでしたのに……! あぁ、これではまたお礼をしなければなりませんっ。ジェイド様、食べたらまた寝室に……!」
「さては味をしめたな? 全く。シスターともあろう者が欲望に負けるなど……」
シスターは言った。
「冥王教の教えは自分に正直であれ! ですから」
「……そうか」
それから全員で食事をし、俺はシスターと礼拝堂に向かった。そこには神の像があり、それがハーデスだとシスターから聞いた。
「これがハーデス? 盛りすぎじゃね? デルモートの妹なんだろ? デルモートはチビッ子だぞ。これじゃ妹って言うより姉じゃないか」
「……さぁ。私は先代のシスターからこれがハーデス様のお姿だと聞いておりましたものでなんとも……」
俺は神像を見上げる。ここで俺の仮説を考察しよう。
まず、この冥府の王ハーデスはデルモートの妹である。そしてハーデスと言えば冬の神だ。だがこれは地球での話で、ここでも同じかどうかはわからない。
それを基に考えよう。冥府教の信者は現在シスター一人。対して邪神教の信者はもう数えきれないくらい。
俺はこう考えた。
「……こいつ、もしかして姉に嫉妬してんじゃね?」
「はい?」
「いや、邪神教もちょっと前までは聖神教に潰されかけてたらしいんだよ」
「……ああ。あのクソ宗教」
シスターの口からクソとか。やめろよ、滅茶苦茶に犯したくなる。
「でだ、そこで俺が邪神教を立て直し……」
「くぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!」
「今や聖神教もぶっ潰して名実共に邪神教がトップにたったわけだ」
「はぁ……はぁ……。も、もっとぉ~……」
「であるからして、ここから推察するに……。この寒さの原因はハーデスの嫉妬なんじゃないかなぁ~と。デルモートもガキっぽいとこあるしな。妹なら似てるんじゃないかって俺は考えたわけよ」
「な、なる……ほど……。あ、もう一回良いですか?」
推察は続く。
「俺は邪神を召喚出来る。ハーデスもゼウスの兄とは言え、冥界に落ちた身だ。これはもはや邪神と言っても過言じゃない」
「で、ですっ!」
「幸い聖神教徒をぶち殺しまくったお陰でまだ邪神召喚は使える。呼び出してやろうじゃないか、冥府の王、ハーデスをなっ!」
「ま、まさかっ! そんな事が……!」
俺はシスターから離れ肩を抱いた。
「危ないかもしれないからシスターは礼拝堂の外に。もし、二時間経っても戻らなければ俺の事は忘れてくれ。そして子供達を連れて邪神国デルモートを目指すんだ。そこに俺の国と邪神デルモートがいる」
「……わかりました。ジェイド様に何かあった場合は私が必ず伝えます!」
「任せたぞ。じゃあ……外で待っていてくれ」
「はいっ!」
俺は一応準備を始める。もし戦闘になった場合、どうにかして二時間持ちこたえなければならない。アレさえしなければ邪神は元の世界へと戻るのである。
「スキル【即死無効】、スキル【魂魄ダメージ無効】、スキル【不死属性攻撃無効】……こんな所かね」
俺は準備を終わらせ祭壇にある神像と向かい合う。
「……始めよう。【邪神召喚】! 出でよ、冥府の王ハーデス!」
俺はもう使う事はないと思っていた邪神召喚を再び使った。
スキルを使うと礼拝堂全体が重いプレッシャーに包まれ、次元が歪んでいった。今ハーデスのいる次元とこの次元が混じりあっている。
「ちょっ、デルモートの時はこんなんじゃなかったはず! そうか、これはあいつからもらったスキルだからか。面倒なプロセスは全部省略しやがったなあのスイーツバカ!」
そう呟くと神像に変化が見られた。祭壇にあった神像は徐々にヒビが入り、黒い光を報酬額し始めた。
「こりゃ……もしかしたらヤベェ……か?」
やがて神像が砕け散り、中から闇に包まれたお子様が身の丈以上もある巨大な鎌を担ぎ、現れる。その姿はまさに闇。髪も瞳も全て漆黒。
「……やっと来た」
「……なに?」
「私はハーデス。邪神デルモートの妹……」
そう言い、ハーデスは地面に着地した。
「あなたがジェイド? 私から姉を奪った」
「奪ったとはまた……。あいつが望んだ事だ。それに、あいつはずっと一人だったって聞いたぞ。奪ったなんて言い方はおかしいだろ。むしろ救ったと言って欲しいな」
俺は内心ビビりながらそう挑発していた。大丈夫、対策は講じてある。もし戦いになっても二時間耐えればあいつは消える。
「ん。私達は別の次元にいた。ゼウスがそうした」
「あのクソジジイか」
「そう。私達姉妹を引き裂いた憎い神……。それはあなたも一緒」
「……な、なに?」
ハーデスは巨大な鎌を振り回した。
「あなたは! 私の愛する姉を汚した! 純粋で無垢で……自分こそが一番だって威張ってた姉を汚したんだ! 許さない……! 私はあなたから姉を取り戻す!」
ハーデスは殺る気満々だった。
「わかった。なら戦う前に一つ聞く。この大陸を冬で包み込んだのはお前か?」
「そう。私は冬を司る。このくらい当たり前」
「……そうか。だがな、お前はそんなガキみたいな理由で唯一の信者を殺しかけてたんだぞ」
「……それがどうしたって……」
「アホが。神は信者を失ったら、そして信仰を失ったら消えちまうだろうがっ! そんな事もわからないお前に神を名乗る資格なんてねぇんだよっ!! こいよ、ハーデス。お前が実に弱いかその身体に教え込んでやらぁっ!!」
「っ! この魔力……! 強いっ!?」
「っくぞらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺は気合いを入れハーデスに向かっていくのだった、
「あ……おふぁよう……ございまふ……んくっ」
「……なにしてんの?」
「は、はい! 朝の御奉仕を……! 大変美味でした!」
「……」
俺達が部屋を出たのはそれから二時間後だった。
「あれ? シスター凄く機嫌良いみたい! 何かあったの?」
「……ええ。ありまくりました。……ぽっ」
「こらこら。子供達に何言ってるんだ。それより、少し遅くなったが朝食にしよう。朝はパンとサラダ、スクランブルエッグで良いか?」
「あ、朝ご飯まで!? 今までは一日一食も食べられたら幸せでしたのに……! あぁ、これではまたお礼をしなければなりませんっ。ジェイド様、食べたらまた寝室に……!」
「さては味をしめたな? 全く。シスターともあろう者が欲望に負けるなど……」
シスターは言った。
「冥王教の教えは自分に正直であれ! ですから」
「……そうか」
それから全員で食事をし、俺はシスターと礼拝堂に向かった。そこには神の像があり、それがハーデスだとシスターから聞いた。
「これがハーデス? 盛りすぎじゃね? デルモートの妹なんだろ? デルモートはチビッ子だぞ。これじゃ妹って言うより姉じゃないか」
「……さぁ。私は先代のシスターからこれがハーデス様のお姿だと聞いておりましたものでなんとも……」
俺は神像を見上げる。ここで俺の仮説を考察しよう。
まず、この冥府の王ハーデスはデルモートの妹である。そしてハーデスと言えば冬の神だ。だがこれは地球での話で、ここでも同じかどうかはわからない。
それを基に考えよう。冥府教の信者は現在シスター一人。対して邪神教の信者はもう数えきれないくらい。
俺はこう考えた。
「……こいつ、もしかして姉に嫉妬してんじゃね?」
「はい?」
「いや、邪神教もちょっと前までは聖神教に潰されかけてたらしいんだよ」
「……ああ。あのクソ宗教」
シスターの口からクソとか。やめろよ、滅茶苦茶に犯したくなる。
「でだ、そこで俺が邪神教を立て直し……」
「くぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!」
「今や聖神教もぶっ潰して名実共に邪神教がトップにたったわけだ」
「はぁ……はぁ……。も、もっとぉ~……」
「であるからして、ここから推察するに……。この寒さの原因はハーデスの嫉妬なんじゃないかなぁ~と。デルモートもガキっぽいとこあるしな。妹なら似てるんじゃないかって俺は考えたわけよ」
「な、なる……ほど……。あ、もう一回良いですか?」
推察は続く。
「俺は邪神を召喚出来る。ハーデスもゼウスの兄とは言え、冥界に落ちた身だ。これはもはや邪神と言っても過言じゃない」
「で、ですっ!」
「幸い聖神教徒をぶち殺しまくったお陰でまだ邪神召喚は使える。呼び出してやろうじゃないか、冥府の王、ハーデスをなっ!」
「ま、まさかっ! そんな事が……!」
俺はシスターから離れ肩を抱いた。
「危ないかもしれないからシスターは礼拝堂の外に。もし、二時間経っても戻らなければ俺の事は忘れてくれ。そして子供達を連れて邪神国デルモートを目指すんだ。そこに俺の国と邪神デルモートがいる」
「……わかりました。ジェイド様に何かあった場合は私が必ず伝えます!」
「任せたぞ。じゃあ……外で待っていてくれ」
「はいっ!」
俺は一応準備を始める。もし戦闘になった場合、どうにかして二時間持ちこたえなければならない。アレさえしなければ邪神は元の世界へと戻るのである。
「スキル【即死無効】、スキル【魂魄ダメージ無効】、スキル【不死属性攻撃無効】……こんな所かね」
俺は準備を終わらせ祭壇にある神像と向かい合う。
「……始めよう。【邪神召喚】! 出でよ、冥府の王ハーデス!」
俺はもう使う事はないと思っていた邪神召喚を再び使った。
スキルを使うと礼拝堂全体が重いプレッシャーに包まれ、次元が歪んでいった。今ハーデスのいる次元とこの次元が混じりあっている。
「ちょっ、デルモートの時はこんなんじゃなかったはず! そうか、これはあいつからもらったスキルだからか。面倒なプロセスは全部省略しやがったなあのスイーツバカ!」
そう呟くと神像に変化が見られた。祭壇にあった神像は徐々にヒビが入り、黒い光を報酬額し始めた。
「こりゃ……もしかしたらヤベェ……か?」
やがて神像が砕け散り、中から闇に包まれたお子様が身の丈以上もある巨大な鎌を担ぎ、現れる。その姿はまさに闇。髪も瞳も全て漆黒。
「……やっと来た」
「……なに?」
「私はハーデス。邪神デルモートの妹……」
そう言い、ハーデスは地面に着地した。
「あなたがジェイド? 私から姉を奪った」
「奪ったとはまた……。あいつが望んだ事だ。それに、あいつはずっと一人だったって聞いたぞ。奪ったなんて言い方はおかしいだろ。むしろ救ったと言って欲しいな」
俺は内心ビビりながらそう挑発していた。大丈夫、対策は講じてある。もし戦いになっても二時間耐えればあいつは消える。
「ん。私達は別の次元にいた。ゼウスがそうした」
「あのクソジジイか」
「そう。私達姉妹を引き裂いた憎い神……。それはあなたも一緒」
「……な、なに?」
ハーデスは巨大な鎌を振り回した。
「あなたは! 私の愛する姉を汚した! 純粋で無垢で……自分こそが一番だって威張ってた姉を汚したんだ! 許さない……! 私はあなたから姉を取り戻す!」
ハーデスは殺る気満々だった。
「わかった。なら戦う前に一つ聞く。この大陸を冬で包み込んだのはお前か?」
「そう。私は冬を司る。このくらい当たり前」
「……そうか。だがな、お前はそんなガキみたいな理由で唯一の信者を殺しかけてたんだぞ」
「……それがどうしたって……」
「アホが。神は信者を失ったら、そして信仰を失ったら消えちまうだろうがっ! そんな事もわからないお前に神を名乗る資格なんてねぇんだよっ!! こいよ、ハーデス。お前が実に弱いかその身体に教え込んでやらぁっ!!」
「っ! この魔力……! 強いっ!?」
「っくぞらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺は気合いを入れハーデスに向かっていくのだった、
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