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第3章 エンバッハ帝国編
15 狙い
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いよいよパーティーが始まる。俺はまず主催者として壇上からスピーチする事にした。
「って、ちょい待ちぃっ! なんで隣にシュヴァイト王国の女王がおんねんっ!?」
「……ぽっ」
女王は頬を赤く染め照れていた。
「そりゃあ……良い関係になったからに決まってるだろう?」
「良い……関係? ま、まさかあんた!?」
「……大変美味でした」
「「「「やったんかいっ!?」」」」
俺は隣にいた女王ミラを腕に抱える。
「ああやった! そしてこれからもやりまくる! このパーティーの目的、それはこの大陸を一つにまとめあげることだ!」
「な、なんだと!? それは宣戦布告かっ!」
「違う違う。別に国はいくつあっても良い」
「な、何を言いたいのかわかりかねるぞ……」
俺は集まる王達に向かってこう言った。
「この大陸は他の大陸に比べたら小さいだろう? そして何よりこの大陸の人間は他の大陸の人間より弱い。これはあちらの大陸の事をよく知るシーメルの商人達ならわかるはずだ」
「……まぁ確かにのう。この大陸の人間は限界レベルが低い。あんな聖神教なんて言うボケが威張ってられたんもこの大陸の人間がクソ弱いからや」
王達は何も言えなかった。これは、これまで聖神教こそが最強だと信じ込ませられていたからである。対し、シーメルの商人達は違う。表面上では関わりを保ちつつも、心底信じてはいなかった。
「俺は来るかもしれない他大陸からの侵略に備えるため、この大陸の意思を一つにまとめあげたいと思っている」
「どうするつもりだ? まさか、無理矢理武力でか?」
「武力で抑えたところで反発は起こる。ならなぜ反発が起こるか。それは各国に差があるからに他ならない。そしてそれ以上に民に差がある。これら全ての問題を解決するために……我ら邪神教は立ち上がった!」
俺は力説する。
「邪神教は信者を等しく守り、貧しさや差別などをけっして許さない。貧しい者がいたら施し、差別があれば原因を取り除く! 邪神教団は聖神教なんていう似非宗教団体とは根本から違うのだ! 良い機会だ。ここに集まったみんなには俺のレベルを教えておこう。俺のレベルは……一万だ」
「「「「い、いいいい一万っ!?」」」」
「そうだ。そして……俺には限界はない。無限に強くなれる。他大陸からの侵略? そんなもんクソだ。俺にはエンバッハ帝国だろうが世界だとうが対した差はない。俺は信者をどんな手を使ってでも守る。エンバッハがグラムヘイズに手を出した結果どうなったか、賢い貴殿方にはわかるはずだ。グラムヘイズはすでに邪神教団に入団済みだ。だから俺は誰からでも守るし、良い暮らしができるように手を差し伸べる。これが邪神教団の神、邪神デルモートの目指す世界だからだ」
ここでだめ押し。邪神自らに登場してもらう。
「聞け人間。妾こそが唯一無二の神! 妾はこのジェイドの力でもって現世に顕現したのだ。ジェイドは神である妾の半身。ジェイドの後ろには常に神である妾がついておる。何もせず天界から人間を見下ろす神と妾は違うのだ! 妾はなにも与えない神を認めん。妾こそが人間に寄り添える神なのだ! 信者にはこのジェイドによる絶対的な守護を与えよう。皆で争いのない国を作っていこうではないか!」
これにシュヴァイト王国女王が賛同する。
「私はすでにジェイド様のモノ。内にジェイド様の熱意をこれでもかと感じました。邪神教、素晴らしいではないですか。私はこの考えに賛同いたしますわ」
そして貿易都市シーメルも賛同の意を表明する。
「レベル一万とかどの大陸にもおらんわ。邪神教、ええやないか。金ばかりたかってきた聖神教とは大違いや。ワシらは入団するで! 迷う事なんぞないわ。シーメルは邪神教一択や!」
いきなり二国が落ち、残るモルーゲン王国とエンブラント王国は置いてきぼり感が否めない。
「で、では国はそのままに、我らは邪神教団に入れば争いはなくなると?」
「そうだな。邪神教は信者同士の争いも禁じている。破った場合は死あるのみだがね」
「ふむ。するとあれか、もしモルーゲンがシュヴァイトに戦を仕掛けたら……」
「だ、誰がするか! エンブラントこそグラムヘイズに仕掛けるだろうが!」
なんか言い争いが始まった。
「あ~静まれ。どちらの場合も俺が相手になる。エンバッハの時は正式な戦で取り決め通り男だけ皆殺しにした。だが、信者同士の争いは違うぞ。信者が国として国に仕掛けた場合、その国は俺が地上から全て消し去る。仕掛けた方は全員、老若男女皆殺しだ。戦なんてバカな行為は許さない。国力の低い国なら入った方が安全だろう。何せ……どんな大国だろうと俺が相手になるのだからな」
レベル一万の化け物が敵になる。これには残る二国も首を縦に振るしかなかった。
「……そうだな。平和が一番だな。うん」
「違いない。我らモルーゲン王国も邪神教団に入ろう」
「エンブラント王国もだ」
「ありがとう。だが言っておくがこれは強制ではない。信者になりたくないと言う民がいても仕方のない事だ。なので皆さんには信者になった者のリストを作成してきてもらいたい。協力してくれたら邪神教は貴国らの問題を解消するために動くと約束しよう」
こうして、俺の力説でまず各国のトップが邪神教団に入った。この後、集まった者には極上の料理や酒が振る舞われ、皆満足して客室へと戻っていった。
そして俺の部屋にはミラが来ていた。娘はもう寝かしつけてきたらしい。
「あぁっ、もっと深い繋がりを下さいませっ! 私、ジェイド様の子が欲しいですわぁっ!」
「まだまだ。もっと楽しんでからな。簡単に妊娠させてしまったらしばらく抱けなくなるだろう?」
「そ、そんなに私を求めて……。こんな子持ちのオバサンなのに……」
「ミラさんは美しい。しばらくは帰しませんよ?」
「は、はい……っ。私もしばらく帰りたくありませんっ。妊娠するまで帰りませんわぁっ!」
こうして、パーティーの夜は更けていくのであった。
「って、ちょい待ちぃっ! なんで隣にシュヴァイト王国の女王がおんねんっ!?」
「……ぽっ」
女王は頬を赤く染め照れていた。
「そりゃあ……良い関係になったからに決まってるだろう?」
「良い……関係? ま、まさかあんた!?」
「……大変美味でした」
「「「「やったんかいっ!?」」」」
俺は隣にいた女王ミラを腕に抱える。
「ああやった! そしてこれからもやりまくる! このパーティーの目的、それはこの大陸を一つにまとめあげることだ!」
「な、なんだと!? それは宣戦布告かっ!」
「違う違う。別に国はいくつあっても良い」
「な、何を言いたいのかわかりかねるぞ……」
俺は集まる王達に向かってこう言った。
「この大陸は他の大陸に比べたら小さいだろう? そして何よりこの大陸の人間は他の大陸の人間より弱い。これはあちらの大陸の事をよく知るシーメルの商人達ならわかるはずだ」
「……まぁ確かにのう。この大陸の人間は限界レベルが低い。あんな聖神教なんて言うボケが威張ってられたんもこの大陸の人間がクソ弱いからや」
王達は何も言えなかった。これは、これまで聖神教こそが最強だと信じ込ませられていたからである。対し、シーメルの商人達は違う。表面上では関わりを保ちつつも、心底信じてはいなかった。
「俺は来るかもしれない他大陸からの侵略に備えるため、この大陸の意思を一つにまとめあげたいと思っている」
「どうするつもりだ? まさか、無理矢理武力でか?」
「武力で抑えたところで反発は起こる。ならなぜ反発が起こるか。それは各国に差があるからに他ならない。そしてそれ以上に民に差がある。これら全ての問題を解決するために……我ら邪神教は立ち上がった!」
俺は力説する。
「邪神教は信者を等しく守り、貧しさや差別などをけっして許さない。貧しい者がいたら施し、差別があれば原因を取り除く! 邪神教団は聖神教なんていう似非宗教団体とは根本から違うのだ! 良い機会だ。ここに集まったみんなには俺のレベルを教えておこう。俺のレベルは……一万だ」
「「「「い、いいいい一万っ!?」」」」
「そうだ。そして……俺には限界はない。無限に強くなれる。他大陸からの侵略? そんなもんクソだ。俺にはエンバッハ帝国だろうが世界だとうが対した差はない。俺は信者をどんな手を使ってでも守る。エンバッハがグラムヘイズに手を出した結果どうなったか、賢い貴殿方にはわかるはずだ。グラムヘイズはすでに邪神教団に入団済みだ。だから俺は誰からでも守るし、良い暮らしができるように手を差し伸べる。これが邪神教団の神、邪神デルモートの目指す世界だからだ」
ここでだめ押し。邪神自らに登場してもらう。
「聞け人間。妾こそが唯一無二の神! 妾はこのジェイドの力でもって現世に顕現したのだ。ジェイドは神である妾の半身。ジェイドの後ろには常に神である妾がついておる。何もせず天界から人間を見下ろす神と妾は違うのだ! 妾はなにも与えない神を認めん。妾こそが人間に寄り添える神なのだ! 信者にはこのジェイドによる絶対的な守護を与えよう。皆で争いのない国を作っていこうではないか!」
これにシュヴァイト王国女王が賛同する。
「私はすでにジェイド様のモノ。内にジェイド様の熱意をこれでもかと感じました。邪神教、素晴らしいではないですか。私はこの考えに賛同いたしますわ」
そして貿易都市シーメルも賛同の意を表明する。
「レベル一万とかどの大陸にもおらんわ。邪神教、ええやないか。金ばかりたかってきた聖神教とは大違いや。ワシらは入団するで! 迷う事なんぞないわ。シーメルは邪神教一択や!」
いきなり二国が落ち、残るモルーゲン王国とエンブラント王国は置いてきぼり感が否めない。
「で、では国はそのままに、我らは邪神教団に入れば争いはなくなると?」
「そうだな。邪神教は信者同士の争いも禁じている。破った場合は死あるのみだがね」
「ふむ。するとあれか、もしモルーゲンがシュヴァイトに戦を仕掛けたら……」
「だ、誰がするか! エンブラントこそグラムヘイズに仕掛けるだろうが!」
なんか言い争いが始まった。
「あ~静まれ。どちらの場合も俺が相手になる。エンバッハの時は正式な戦で取り決め通り男だけ皆殺しにした。だが、信者同士の争いは違うぞ。信者が国として国に仕掛けた場合、その国は俺が地上から全て消し去る。仕掛けた方は全員、老若男女皆殺しだ。戦なんてバカな行為は許さない。国力の低い国なら入った方が安全だろう。何せ……どんな大国だろうと俺が相手になるのだからな」
レベル一万の化け物が敵になる。これには残る二国も首を縦に振るしかなかった。
「……そうだな。平和が一番だな。うん」
「違いない。我らモルーゲン王国も邪神教団に入ろう」
「エンブラント王国もだ」
「ありがとう。だが言っておくがこれは強制ではない。信者になりたくないと言う民がいても仕方のない事だ。なので皆さんには信者になった者のリストを作成してきてもらいたい。協力してくれたら邪神教は貴国らの問題を解消するために動くと約束しよう」
こうして、俺の力説でまず各国のトップが邪神教団に入った。この後、集まった者には極上の料理や酒が振る舞われ、皆満足して客室へと戻っていった。
そして俺の部屋にはミラが来ていた。娘はもう寝かしつけてきたらしい。
「あぁっ、もっと深い繋がりを下さいませっ! 私、ジェイド様の子が欲しいですわぁっ!」
「まだまだ。もっと楽しんでからな。簡単に妊娠させてしまったらしばらく抱けなくなるだろう?」
「そ、そんなに私を求めて……。こんな子持ちのオバサンなのに……」
「ミラさんは美しい。しばらくは帰しませんよ?」
「は、はい……っ。私もしばらく帰りたくありませんっ。妊娠するまで帰りませんわぁっ!」
こうして、パーティーの夜は更けていくのであった。
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