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第1章 再誕
10 聖騎士狩り
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俺は早朝町を出発し、森の入り口で聖騎士共が到着するのを今か今かと待ち構えていた。そして時刻は昼。全身を白で統一した大軍が聖地ユグドール方面から編隊を組み進軍してきた。そしてその先頭には周囲とは違う色の鎧を着た子どもがいた。おそらくあれが碧騎士【ウッド】だろう。
「あ~……ダルい。なんで僕があんなオバサン探しに森に入んなきゃなんないのさ!」
「そ、そう申されましても……。教皇様の御命令ですので……」
「あぁぁぁ……、面倒臭い! もう一ヶ月も帰って来ないんでしょ? きっともう死んでるって! 今頃魔物の腹の中かクソになって土に還ってるよ! クソババァなだけにさ~」
「ぶふっ……!」
俺は思わず吹いた。中々上手い事言うじゃないか、あのガキ。
「それでも何か痕跡くらい見つけないと……」
「あ~、はいはい。じゃあ君達行ってきてよ」
「そんな事言わんで下さいよ。私達だけじゃAランク……いやCランクの魔物が出た時点で全滅っすよ」
「……ほんっと使えないよね~君達……」
どこぞの小学生探偵のような顔立ちしてる癖に中々毒を吐くなあいつ。まぁ嫌いな部類じゃないが。
「仕方ない。ほら、行くよオジサン達!」
「「「「はっ!!」」」」
いよいよ獲物が森へと侵入した。一ヶ月近く森にいた俺にとってこの森はすでに庭に等しい。
俺は最後尾の騎士が森に入ると同時に続いて森に入った。ちなみに今の格好は一ヶ月前に殺した騎士の鎧をそのまま着ている。
「なぁ、俺達先頭からこんなに離れてて大丈夫かな? 俺まだレベル低いから怖くてさぁ……」
自然に隊列に混じった俺に騎士がそう話し掛けてくる。
「絶対大丈夫って事はないんじゃねぇの? ここは強力な魔物も多いしな。例えば……あ、足元っ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
騎士は大声をあげて飛びはねていた。
「悪い、ただの石だったわ」
「どうしたぁぁぁっ!」
「……あ」
叫んだ騎士は中隊長と呼ばれた騎士に滅茶苦茶怒られていた。
「次大声出したらクビだっ! わかったか!!」
「す、すいませんでした……」
怒られた騎士は涙目で俺を睨んでいた。このやり取りで俺達は本隊から大分離れた。
「お前のせいで怒られたじゃないか!」
「ははは、すまんすまん。だがな、敵はいつ現れるかわからないんだぜ? 例えば……俺とかな?」
「え? あ……」
俺の剣が騎士の喉を一瞬で貫く。
「ち、中隊長! 一人殺られました!」
「なにっ!?」
そう叫んだのはもちろん俺だ。再びこの隊の行軍は止まり、中隊長は先ほど自分が叱責した騎士の死体を見ている。
「これは……。どうやって殺られた。魔物か?」
「さ、さぁ……。気が付いたら喉から血を流してて……」
「くっ! 何か近くにいるのか! 皆、こちらに集まれっ! 近くに強力な魔物がいるかもしれんっ!」
「「「「は、はいっ!!」」」」
獲物が自ら集まってくる。実にありがたい。
騎士達は俺と死体、そして中隊長を中心にし固まった。
「どこだ……。どこからくる……」
「……ここですよ、中隊長殿?」
「がっ!? き、きさ……ま……っ!」
俺は隙だらけの中隊長の鎧に触れ雷撃を放った。直接雷撃を喰らった中隊長は口から煙を吐き出しながら絶命した。
「お、お前なにをっ! 狂ったか!」
「くくくくくっ、ははははははっ! ああ、狂ってるよ? 俺は人殺しがだぁ~い好きなんだ。さあ、次に死にたい奴からかかって来いよ。ははははははっ!」
「こ、この狂人めっ!! この数相手に殺れるもんなら殺ってみろっ!」
「じゃあ遠慮なく。魔技【魅了】」
「……あ」
俺はピクシーから奪った魔技を使った。自分よりレベルが下の者には必ず入るこの魅了。かなり便利だ。
「お前ら全員自害しな」
「「「「…………」」」」
百人近くいた聖騎士はその場で俺が命じるまま剣を抜き、自分で喉を貫き絶命した。
《レベルアップ。ジェイドのレベルが37に上がりました》
「チョロいな。自分で殺るのも良いが……、数が数だからな。一々雑魚に構ってる暇はねぇんだよ。じゃあな」
俺は屍をそのままに、次の小隊に向かう。死体は魔物が綺麗に食い尽くしてくれるだろう。
「た、大変だ! 俺のいた小隊があっちで全滅した!」
「「「「な、なにぃっ!? 魔物か!?」」」」
「わ、からねぇっ! とにかく、早くて気が付いたら皆倒れて! お、俺は何とか逃げてきたんだ!」
駆け込んだ小隊の隊長が俺に言った。
「バカ野郎っ! お前を追ってその魔物がくるかもしれんだろうが! クソッ……! 全員抜剣! 周囲を警戒せよ!!」
「「「「はっ!!」」」」
そしてまた同じく小隊を魅了し自害させる。これを延々繰り返し数日後、一万いた軍勢は六千までその数を減らしていた。
「あれ? なんか少なくない?」
ここは森にある開けた場所。そこで碧騎士を含む六千の聖騎士が夜営をしている。
「ここは危険な魔物も多い森ですからね。逃げ出した者や魔物に襲われた者も多くいるのでしょう。なにせ誰かが何もしませんから」
「……なにそれ? 僕が悪いっての?」
「さあ。そう聞こえたなら謝りますよ」
多くの仲間を失った総隊長の聖騎士は少し怒っていた。その口ぶりに今度は碧騎士まで冷静さをなくす。
「っ、ふざけんなっ! 自分達が弱いのを僕のせいにするなよっ! 弱いから死ぬんだ! 僕に責任を押し付けるなよっ!」
この険悪なムードの中、一人笑みを浮かべる俺がいた。
「くくくっ、順調順調。さぁて、残り六千。俺のレベルも今や50だ。やれやれ、どう楽しもうかねぇ……。くくくくっ、ふはははははっ!」
俺は一人心の中でこの状況を楽しむのであった。
「あ~……ダルい。なんで僕があんなオバサン探しに森に入んなきゃなんないのさ!」
「そ、そう申されましても……。教皇様の御命令ですので……」
「あぁぁぁ……、面倒臭い! もう一ヶ月も帰って来ないんでしょ? きっともう死んでるって! 今頃魔物の腹の中かクソになって土に還ってるよ! クソババァなだけにさ~」
「ぶふっ……!」
俺は思わず吹いた。中々上手い事言うじゃないか、あのガキ。
「それでも何か痕跡くらい見つけないと……」
「あ~、はいはい。じゃあ君達行ってきてよ」
「そんな事言わんで下さいよ。私達だけじゃAランク……いやCランクの魔物が出た時点で全滅っすよ」
「……ほんっと使えないよね~君達……」
どこぞの小学生探偵のような顔立ちしてる癖に中々毒を吐くなあいつ。まぁ嫌いな部類じゃないが。
「仕方ない。ほら、行くよオジサン達!」
「「「「はっ!!」」」」
いよいよ獲物が森へと侵入した。一ヶ月近く森にいた俺にとってこの森はすでに庭に等しい。
俺は最後尾の騎士が森に入ると同時に続いて森に入った。ちなみに今の格好は一ヶ月前に殺した騎士の鎧をそのまま着ている。
「なぁ、俺達先頭からこんなに離れてて大丈夫かな? 俺まだレベル低いから怖くてさぁ……」
自然に隊列に混じった俺に騎士がそう話し掛けてくる。
「絶対大丈夫って事はないんじゃねぇの? ここは強力な魔物も多いしな。例えば……あ、足元っ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
騎士は大声をあげて飛びはねていた。
「悪い、ただの石だったわ」
「どうしたぁぁぁっ!」
「……あ」
叫んだ騎士は中隊長と呼ばれた騎士に滅茶苦茶怒られていた。
「次大声出したらクビだっ! わかったか!!」
「す、すいませんでした……」
怒られた騎士は涙目で俺を睨んでいた。このやり取りで俺達は本隊から大分離れた。
「お前のせいで怒られたじゃないか!」
「ははは、すまんすまん。だがな、敵はいつ現れるかわからないんだぜ? 例えば……俺とかな?」
「え? あ……」
俺の剣が騎士の喉を一瞬で貫く。
「ち、中隊長! 一人殺られました!」
「なにっ!?」
そう叫んだのはもちろん俺だ。再びこの隊の行軍は止まり、中隊長は先ほど自分が叱責した騎士の死体を見ている。
「これは……。どうやって殺られた。魔物か?」
「さ、さぁ……。気が付いたら喉から血を流してて……」
「くっ! 何か近くにいるのか! 皆、こちらに集まれっ! 近くに強力な魔物がいるかもしれんっ!」
「「「「は、はいっ!!」」」」
獲物が自ら集まってくる。実にありがたい。
騎士達は俺と死体、そして中隊長を中心にし固まった。
「どこだ……。どこからくる……」
「……ここですよ、中隊長殿?」
「がっ!? き、きさ……ま……っ!」
俺は隙だらけの中隊長の鎧に触れ雷撃を放った。直接雷撃を喰らった中隊長は口から煙を吐き出しながら絶命した。
「お、お前なにをっ! 狂ったか!」
「くくくくくっ、ははははははっ! ああ、狂ってるよ? 俺は人殺しがだぁ~い好きなんだ。さあ、次に死にたい奴からかかって来いよ。ははははははっ!」
「こ、この狂人めっ!! この数相手に殺れるもんなら殺ってみろっ!」
「じゃあ遠慮なく。魔技【魅了】」
「……あ」
俺はピクシーから奪った魔技を使った。自分よりレベルが下の者には必ず入るこの魅了。かなり便利だ。
「お前ら全員自害しな」
「「「「…………」」」」
百人近くいた聖騎士はその場で俺が命じるまま剣を抜き、自分で喉を貫き絶命した。
《レベルアップ。ジェイドのレベルが37に上がりました》
「チョロいな。自分で殺るのも良いが……、数が数だからな。一々雑魚に構ってる暇はねぇんだよ。じゃあな」
俺は屍をそのままに、次の小隊に向かう。死体は魔物が綺麗に食い尽くしてくれるだろう。
「た、大変だ! 俺のいた小隊があっちで全滅した!」
「「「「な、なにぃっ!? 魔物か!?」」」」
「わ、からねぇっ! とにかく、早くて気が付いたら皆倒れて! お、俺は何とか逃げてきたんだ!」
駆け込んだ小隊の隊長が俺に言った。
「バカ野郎っ! お前を追ってその魔物がくるかもしれんだろうが! クソッ……! 全員抜剣! 周囲を警戒せよ!!」
「「「「はっ!!」」」」
そしてまた同じく小隊を魅了し自害させる。これを延々繰り返し数日後、一万いた軍勢は六千までその数を減らしていた。
「あれ? なんか少なくない?」
ここは森にある開けた場所。そこで碧騎士を含む六千の聖騎士が夜営をしている。
「ここは危険な魔物も多い森ですからね。逃げ出した者や魔物に襲われた者も多くいるのでしょう。なにせ誰かが何もしませんから」
「……なにそれ? 僕が悪いっての?」
「さあ。そう聞こえたなら謝りますよ」
多くの仲間を失った総隊長の聖騎士は少し怒っていた。その口ぶりに今度は碧騎士まで冷静さをなくす。
「っ、ふざけんなっ! 自分達が弱いのを僕のせいにするなよっ! 弱いから死ぬんだ! 僕に責任を押し付けるなよっ!」
この険悪なムードの中、一人笑みを浮かべる俺がいた。
「くくくっ、順調順調。さぁて、残り六千。俺のレベルも今や50だ。やれやれ、どう楽しもうかねぇ……。くくくくっ、ふはははははっ!」
俺は一人心の中でこの状況を楽しむのであった。
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