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第1幕

07 信長の母様

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    城の女達にたっぷりとお仕置きされた武瑠は、その翌日皆を集めて武器の説明をしていた。

「えっと…まず、この時代の鉄砲って火縄銃だよな?」

「まぁそうだな。と言うか、これしか見た事がない。」

    銀太が言った。

「これ、連射出来ないし、玉籠めも面倒なんだよなぁ。」

「そこでだ、俺は考えた。最初はサブマシンガンでも出してやろうかってな。」

「「「「サブマシンガン???」」」」

    皆は頭に?を浮かべていた。

「まぁ、見せた方が早いか。【万物創造】サブマシンガン。」

    武瑠は手のひらを上にし、スキルを使う。すると、両手に一丁の銃が出てきた。

「い、今のはなんだ!?」

「?スキルだが……、待て…もしかして…スキルって皆持ってるんじゃないのか!?」

    信長が言った。

「あるにはあるぞ。だが、貴様の様に無から有を創り出す様なスキルは見た事がない。」

「錬金術に似てますが…あれは物質変化ですからねぇ…。無から有なんて…武瑠は神ですか?」

    やっぱチートだよな。余り見せない様にした方が良かったかもなぁ…。ミスったわ。

「前に家を出したのもその力でですか?」

「ん?あ、そういや出したな…。考えが足りなかったか。それよりだ、先ずはこの銃の威力を見てくれ。」

    武瑠は的に向かい銃を構え、引き金を弾く。

ーダララララララララララッ!!!ー 

    一瞬で的は蜂の巣になり、壊れた。

「な、なんじゃ!?今何が起こった!?」

「1秒で15発、弾を打ち出した。んで、これは実在しない武器の類だからマガジンの交換も必要ない。」

「た、弾を籠める必要がない!?何ですかそれ!?意味が分からない。」

    ルイスも驚いていた。仕方ないわな。ゲームなんて概念もない時代だしなぁ。

「まぁ、こういう武器だと思ってくれればいい。だが、これだと威力がありすぎて敵を皆殺してしまう…。」

「は?戦じゃ。殺すのは当たり前じゃろう?」

「敵兵も女の子だろう!?戦の度に殺してたら国中男だらけになっちまうじゃねぇか!?そんな地獄…俺は耐えられん!!」

    皆はポカーンとしていた。

「き、貴様…まさか…敵を殺さないつもりか!?」

「当たり前よっ!まぁ…どうしようもない悪は殺しても仕方ないと思う。が、一般の兵は普段畑とか耕す農兵だろ?日本の国力が落ちてしまう。それはダメだ。この国以外…例えば明とかに攻め込まれたら瞬く間に落ちるぞ?」

「ん?武瑠は明も知っておるのか?」

「まぁな。でだ、俺は考えた。兵は殺さず捕虜にしよう、全て。」

    信長は言った。

「捕虜にするのは良い、だが、資源が無いと捕虜達を食わせてやれんぞ?尾張は狭い。捕まえてもその後が困るのだよ。」

「心配ねぇよ。全部俺に任せな。で、お前等に渡す武器はこれだ。」

    武瑠は再びスキルを使い、小さな銃を出した。

「これは?」

「ふふふっ、これはな…ショックガンという。電気ショックを与え、敵の身体を麻痺させる銃だ。殺傷能力は0だ。暫く相手の自由を奪うだけの武器だよ。まぁ、見てな見てな。」

    武瑠は空を飛んでいる鷹に向かって引き金を弾いた。

「ぴきぃぃぃぃっ!」

    空からポトッと鷹が落ちてきた。

「ぴ…ぴぃ………。」

「生きているな…。身体が固まっている様だが…。」

「麻痺してるんだよ。暫くすれば元に戻る筈だ。」

    それから3時間位すると、鷹は逃げる様に飛んでいった。

「な?」

「う~む、これで敵兵を麻痺させ、捕まえたら懐柔し軍に組み入れる気か…。ふむ…。悪くない。が、やはり兵糧が無ければな、それに報酬が無いと人は付いてこないぞ?それにはやはり土地がいる。それはどうする?」

「先ずは美濃…獲るか。」

「かかっ。随分簡単に言うのだな。道三は怪物ぞ?貴様に殺れるのか?」

「俺にタイマンで勝てる奴なんかいねぇよ。ま、見てな。信長、俺がお前を日本の頂点に立たせてやる。お前は俺を使え。褒美は俺の子を生む事。それだけで良い。」

    信長は笑った。

「このエロ猿め…。分かった、何人でも望むだけ生んでやるわ。戦は貴様に任せる。兵が必要なら好きに使え。で、いつ攻める?」

「その前に信秀に合わせてくれ。彼女の力も借りたいんでな。尾張を纏める為に絶対必要だ。」

「うむ、母様か。分かった、案内しよう。猿、暫し城をあける。後は任せたぞ。」

「は、はいっ!」

    信長と武瑠は信秀に会うため、彼女の居る城へと向かった。

「母様!久しゅうございます!信長です。」

「ん?おぉぉぉ、信長か!立派になったな…っと。何しに参った?信長がただ会いにきたってのもおかしい。」

「うむ。実は儂、この武瑠と契りを結んでな。もうやや子も居る…はず。」

    信秀は立ち上がった。

「何ぃっ!?お前、まだ13じゃろう!?もう後継ぎを孕んだのかっ!」

「家の旦那様が激しくてなぁ…。毎日大量に注がれればな。」

    と、信長は武瑠の腕を取り抱きついて見せた。

「信秀様、これで織田家は安泰ですかな?あの信長様と契ろうなんて男…他におりませんぞ?」

「政秀…、うむ。武瑠とか言ったな。主は信長が怖く無いのか?並の男なら信長を見ただけで縮み上がり、アレは役立たずになるのだが…。」

    武瑠は言った。

「俺に怖いもんなんかねぇよ。信長だって可愛いじゃねぇか。アレん時なんかそれはもう…」

「こ、こら!武瑠、母様に何を言うか!」

「くっ…はははははっ!これは良いっ!最近聞いた知らせでは一番の吉報じゃ。信長、良い旦那を持ったな。」

「扱いに困っておるがの…。」

    信秀が言った。

「む?なら儂が貰おうか?どうやらその者…儂を見ても平気な様だしな。」

「娘の旦那に手を出すのか、母様!」

「がははははっ、冗談じゃ。だが…その者…不思議な魅力を感じる。ただの男ではあるまい。お前がわざわざ連れて来る位じゃからな。本当の用はなんじゃ?」

    ここで武瑠が口を開いた。

「今から1年後、三河の松平が死ぬ。そこで三河を獲ろうとし、出兵した信秀様は今川に敗れ、三河を全て失う事になる。更に、道三が美濃を襲い、美濃の土地も失う。」

「は?信長、こやつは何を言っておる??」

「うむ、武瑠はどうやら未来から来たらしい。会った事もない儂の過去まで全て知っておった。更に母様や婆やの事までな。」

「み、未来?未来とは先の世の事か?」

「まぁそうだな。西暦2020年、今は1546年だから、474年先から来た事になるな。」

「し、信じられるかっ。信長は信じたのか!?」

「まぁ…の。嘘は言ってない。」

    政秀が言った。

「信長様は他人の嘘を見抜く事が出来る…、恐らく真実なのでしょう。荒唐無稽ですがね。」

「ぐぬ…。それは分かった。が、それを儂に言ってどうする?まさか止める気ではあるまいな?」

「勿論、止める。そして、信秀にはやらなくちゃならない事がある。」

「?なんじゃ?」

「生きろ、お前が死んだら織田はバラバラになる。今は皆信秀の力を知っているから大人しくしているのだ。それが敗戦続きで病に伏すとなったら歴史通りになってしまう。頼む、生きてくれ。」

    武瑠は真っ直ぐ信秀を見て言った。

「信長、旦那を借りるぞ。暫し話がある。」

「穏便に頼む。」

「ふっ、それは其奴次第じゃ、付いて参れ。」

    信秀は武瑠を連れ、奥の部屋に向かうのであった。
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