26 / 33
第1章 はじまり
第27話 決戦
しおりを挟む
帝都に向かい進む事半月、二人はついに皇帝エンドリクセンと邂逅を果たした。
《グフッ……グフフフフッ! ニクニクニクゥゥゥゥゥゥゥッ!》
「「「うわぁぁぁぁっ! 放せ化け物ぉぉぉっ! ぎあぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」
まるで山のような巨体を揺らし、滝のような唾液を垂らしながら人間を食べる怪物を見たリーリエは、そのあまりにおぞましい光景に眉をひそめた。
「あ、あれが皇帝……? 生きたまま人間を丸呑みに……うぅぅ……」
「あれは……もう完全に呑まれているな。自我すら保てていないようだ」
エンドリクセンは言葉もたどたどしく、ただ食べる事だけを繰り返していた。食べる快楽に取り憑かれ、周りが見えてすらいない。
《アァぁァァあ……ッ! モットニクダァァァッ! ドコダニクゥゥゥゥゥゥゥッ!!》
「ア、アインさん……」
「ああ、あれを倒せば帝国が平和になる。ここは俺がやろう。リーリエはどこか物陰に隠れてろ」
「は、はいっ」
自我を保てていないエンドリクセンは何をするかわからない。そこでアインはリーリエをエンドリクセンの前に出さないようにした。
「エンドリクセン!!」
《ガァ……? ニ、ニクダ……! ニクガキタ!! ブホホホホホホッ!》
「スキルに呑まれたか! 貴様……何人食った!」
《……ニクゥゥゥゥゥゥゥッ!》
もはや会話にならないほどエンドリクセンは食に対して執着していた。アインは聖剣デュランダルを抜き、エンドリクセンに向かい構える。
「もはや話にもならないか。こいよエンドリクセン、ここで貴様を終わらせるっ!!」
《ガァァァァァァッ!!》
食糧を見たエンドリクセンはその巨体を揺らしながら真っ直ぐアインに向かい突進してくる。だがその動きは鈍重で、野生の動物と変わらなかった。
「はぁっ!!」
《ガァッ!?》
アインは素早くエンドリクセンの脇を駆け抜けつつ、まず丸太のような片腕を斬り落とした。
《ガァァァァァァァッ!? イタイィィィッ!》
「痛みを感じるのか。貴様に生きたまま食われた者達はそれ以上の苦しみを味わったはずだっ!」
《グゥゥゥ……サイセイ……!》
「なっ!?」
切り口からエンドリクセンの腕が生えてくる。そしてエンドリクセンはそのまま殴りかかってきた。
「再生できるのかっ! しかもわずかに速度が上がった?」
《ゴアァァァァァァァッ!!》
腕が再生した事でエンドリクセンの巨体がわずかに縮んでいる。エンドリクセンは攻撃に見せ掛け、斬り落とされた自分の腕を拾いにいっていた。
「こ、こいつ! 自分の腕を喰ってるのか!?」
《グフッグフッ──アァァァ、ニクダ!》
そして再び元の巨体に戻った。
「なるほどな。食えば元に戻るのか。ん? 待てよ……」
アインは一つ簡単にエンドリクセンを倒せそうな作戦を思いつき、剣を鞘に納めマジックバッグに手を伸ばした。そして中から魔物の肉を取り出しエンドリクセンに向かい放り投げた。
《ニク!! ニクゥゥゥゥゥッ! ガフッガフッ!》
「まだまだあるからどんどん食えよ、エンドリクセン」
《ガフッガフッガフッ!》
アインはエンドリクセンにどんどん魔物の肉を与えていく。エンドリクセンは出された肉をどんどん呑み込んでいき、快楽に溺れていった。その身体はみるみる膨らんでいき、もはや歩く事もままならないほど醜く歪んでいた。
《ニクッ! トドカナイッ! ニクゥゥゥゥッ!!》
「まだ足りないのか。どうやら動けなくなったようだが……破裂するには至らなかったな」
アインの作戦は大量の肉を与え、限界まで食わせて破裂させる作戦だった。だがエンドリクセンには限界がなく、食った分だけ巨大化しただけで終わった。
「とりあえずこの状態で引き出せるだけ情報を引き出してしまうか。スキル【現実改変】」
《ガッ? あ、に、兄……さん?》
「よう、エンドリクセン。久しぶりだな」
《兄さん!》
アインはスキルを使いエンドリクセンに自分がディザームに見えるように意識させた。
「エンドリクセン、お前のスキルはなんだ」
《お、俺のスキルは……》
エンドリクセンは兄リヒトーの事を崇拝していた。兄に命令されたら何でもしてしまう。エンドリクセンは問われるがままアインに自分の知る全ての情報を出していった。
「なるほど。スキル【暴食】か。リヒトーは【大罪の化身】。マーリンは【嫉妬の悪魔】、ミューズは【色欲の悪魔】か。そして残る【憤怒】【傲慢】【怠惰】【強欲】は空席のまま」
《兄さん、俺……いくら食っても腹が減ったままなんだ! どうしたら腹一杯になるか教えて下さいっ!》
エンドリクセンは動かない身体を揺らしアインにすがる。
「エンドリクセン、お前の腹が満ちる事はもうない」
《え?》
「それがスキル【暴食】の効果だ。スキル【暴食】は際限なく食べ続けなければならないスキルだからな」
《そ、そんな……!》
「憐れだな、エンドリクセン。今お前を飢えから解放してやろう」
《あ……兄……さん》
アインは再び聖剣デュランダルを抜き、エンドリクセンに向かい構える。
「これがディザームのやり方か。自らを慕う者を怪物に変え、自分以外に絶望を与え楽しむ……。決して許される事ではない! エンドリクセン、魔王ディザームの犠牲者よ。今勇者として俺がその苦しみから解放してやる。去らばだ」
《あぁ……光が見えるよ……兄さ……ん──》
アインはエンドリクセンの首を落とし、一生食べ続けなければならない苦しみから解放してやった。首を失った身体は黒い粒子に変わり、霧散して消えていった。
「……ディザーム、大罪の一つを消したぞ。すぐにお前も解放してやるから待っていろ」
アインは剣を納め、エンドリクセンの頭にあった王冠を拾い、リーリエの所へと向かうのだった。
《グフッ……グフフフフッ! ニクニクニクゥゥゥゥゥゥゥッ!》
「「「うわぁぁぁぁっ! 放せ化け物ぉぉぉっ! ぎあぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」
まるで山のような巨体を揺らし、滝のような唾液を垂らしながら人間を食べる怪物を見たリーリエは、そのあまりにおぞましい光景に眉をひそめた。
「あ、あれが皇帝……? 生きたまま人間を丸呑みに……うぅぅ……」
「あれは……もう完全に呑まれているな。自我すら保てていないようだ」
エンドリクセンは言葉もたどたどしく、ただ食べる事だけを繰り返していた。食べる快楽に取り憑かれ、周りが見えてすらいない。
《アァぁァァあ……ッ! モットニクダァァァッ! ドコダニクゥゥゥゥゥゥゥッ!!》
「ア、アインさん……」
「ああ、あれを倒せば帝国が平和になる。ここは俺がやろう。リーリエはどこか物陰に隠れてろ」
「は、はいっ」
自我を保てていないエンドリクセンは何をするかわからない。そこでアインはリーリエをエンドリクセンの前に出さないようにした。
「エンドリクセン!!」
《ガァ……? ニ、ニクダ……! ニクガキタ!! ブホホホホホホッ!》
「スキルに呑まれたか! 貴様……何人食った!」
《……ニクゥゥゥゥゥゥゥッ!》
もはや会話にならないほどエンドリクセンは食に対して執着していた。アインは聖剣デュランダルを抜き、エンドリクセンに向かい構える。
「もはや話にもならないか。こいよエンドリクセン、ここで貴様を終わらせるっ!!」
《ガァァァァァァッ!!》
食糧を見たエンドリクセンはその巨体を揺らしながら真っ直ぐアインに向かい突進してくる。だがその動きは鈍重で、野生の動物と変わらなかった。
「はぁっ!!」
《ガァッ!?》
アインは素早くエンドリクセンの脇を駆け抜けつつ、まず丸太のような片腕を斬り落とした。
《ガァァァァァァァッ!? イタイィィィッ!》
「痛みを感じるのか。貴様に生きたまま食われた者達はそれ以上の苦しみを味わったはずだっ!」
《グゥゥゥ……サイセイ……!》
「なっ!?」
切り口からエンドリクセンの腕が生えてくる。そしてエンドリクセンはそのまま殴りかかってきた。
「再生できるのかっ! しかもわずかに速度が上がった?」
《ゴアァァァァァァァッ!!》
腕が再生した事でエンドリクセンの巨体がわずかに縮んでいる。エンドリクセンは攻撃に見せ掛け、斬り落とされた自分の腕を拾いにいっていた。
「こ、こいつ! 自分の腕を喰ってるのか!?」
《グフッグフッ──アァァァ、ニクダ!》
そして再び元の巨体に戻った。
「なるほどな。食えば元に戻るのか。ん? 待てよ……」
アインは一つ簡単にエンドリクセンを倒せそうな作戦を思いつき、剣を鞘に納めマジックバッグに手を伸ばした。そして中から魔物の肉を取り出しエンドリクセンに向かい放り投げた。
《ニク!! ニクゥゥゥゥゥッ! ガフッガフッ!》
「まだまだあるからどんどん食えよ、エンドリクセン」
《ガフッガフッガフッ!》
アインはエンドリクセンにどんどん魔物の肉を与えていく。エンドリクセンは出された肉をどんどん呑み込んでいき、快楽に溺れていった。その身体はみるみる膨らんでいき、もはや歩く事もままならないほど醜く歪んでいた。
《ニクッ! トドカナイッ! ニクゥゥゥゥッ!!》
「まだ足りないのか。どうやら動けなくなったようだが……破裂するには至らなかったな」
アインの作戦は大量の肉を与え、限界まで食わせて破裂させる作戦だった。だがエンドリクセンには限界がなく、食った分だけ巨大化しただけで終わった。
「とりあえずこの状態で引き出せるだけ情報を引き出してしまうか。スキル【現実改変】」
《ガッ? あ、に、兄……さん?》
「よう、エンドリクセン。久しぶりだな」
《兄さん!》
アインはスキルを使いエンドリクセンに自分がディザームに見えるように意識させた。
「エンドリクセン、お前のスキルはなんだ」
《お、俺のスキルは……》
エンドリクセンは兄リヒトーの事を崇拝していた。兄に命令されたら何でもしてしまう。エンドリクセンは問われるがままアインに自分の知る全ての情報を出していった。
「なるほど。スキル【暴食】か。リヒトーは【大罪の化身】。マーリンは【嫉妬の悪魔】、ミューズは【色欲の悪魔】か。そして残る【憤怒】【傲慢】【怠惰】【強欲】は空席のまま」
《兄さん、俺……いくら食っても腹が減ったままなんだ! どうしたら腹一杯になるか教えて下さいっ!》
エンドリクセンは動かない身体を揺らしアインにすがる。
「エンドリクセン、お前の腹が満ちる事はもうない」
《え?》
「それがスキル【暴食】の効果だ。スキル【暴食】は際限なく食べ続けなければならないスキルだからな」
《そ、そんな……!》
「憐れだな、エンドリクセン。今お前を飢えから解放してやろう」
《あ……兄……さん》
アインは再び聖剣デュランダルを抜き、エンドリクセンに向かい構える。
「これがディザームのやり方か。自らを慕う者を怪物に変え、自分以外に絶望を与え楽しむ……。決して許される事ではない! エンドリクセン、魔王ディザームの犠牲者よ。今勇者として俺がその苦しみから解放してやる。去らばだ」
《あぁ……光が見えるよ……兄さ……ん──》
アインはエンドリクセンの首を落とし、一生食べ続けなければならない苦しみから解放してやった。首を失った身体は黒い粒子に変わり、霧散して消えていった。
「……ディザーム、大罪の一つを消したぞ。すぐにお前も解放してやるから待っていろ」
アインは剣を納め、エンドリクセンの頭にあった王冠を拾い、リーリエの所へと向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める
月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」
あらすじ
ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。
目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。
「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」
渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。
ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!?
「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」
ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す!
……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!?
元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える!
異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる