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第1章 はじまり
第07話 アリアに手を貸そう
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地面に崩れ落ちたアリアは自身に起きたある異変に気付く。
「……ちょっと失礼しても良いか?」
「ああ。じっくり確認してきてくれ」
アリアは一瞬赤い顔をし、アインを睨んでから少し離れた場所に行き、確認した。そして慌てた様子で戻ってくる。
「なにをしたっ!? わ、私の身体が戻っているぞ!?」
「これが俺のスキルだよ。俺のスキル現実改変は今ある現実を過去に戻したりなかった事にしたりと色々な事ができるんだ。ちなみにこれは父さんも知らない」
「アイン──! お前は凄い奴だな!」
「ちょっ!?」
アリアがバシバシと笑顔でアレンの肩を叩く。
「何するんだよっ! まだ手洗ってないだろ!?」
「あ。あぁぁぁっ! す、すまないっ!」
辱めを受けたアリアが確認した。詳細は省くが、つまりはそういう事だ。その状態でアリアはアインに触れてしまっていた。
「すまない……。あまりの驚きで取り乱してしまった」
「気持ちはわかるけどさ……。【現実改変】」
アインはアリアに触れられた事象をなかった事に書き換えた。
「あまり余計な力を使わせないで欲しいな。俺のレベルはまだ低いからあまり多用できないんだよ」
「スキルで無かったことにするほど嫌だったのか!? さすがの私でも少々ショックなのだが。私は昔お前の下の世話をした事もあるというのに……」
そこでアインは思い出した。
「あぁぁっ! 思い出したぞ! 昔息を荒げながら俺のオムツを交換してた全身鎧の奴かお前っ!」
「うむ。思い出したか。お前は昔から聡い赤子だったなぁ」
普通赤子の頃の記憶など覚えているはずもない。だがアインは転生者であり、生まれた瞬間から自我があり、全てを記憶していた。過去、父は部下を連れ村に帰省していた。その連れてこられていた部下の一人がこのアリアというわけだ。
「まさかあの鎧の中身が女だったとは……」
「まさかとはなんだ!? 鎧は着ていたが声は今と変わっていないはずだ!」
「……赤ん坊の耳は聞こえ辛いんだよ。違いなんてほぼわからんわ」
「それはすまんな。だがっ! 私はお前の世話をした事があるのだっ! その……ちょっとアレが付いたくらいでスキルを使わなくても良いではないか!」
「滅茶苦茶いうなっ!? まぁ……今後しないというなら謝るが」
「す、するわけないだろう! さっきのは事故だ!」
「ごめんなさい」
そう謝罪し、二人は今後の事について話し合いを始めた。
「さて、アインよ。お前は私に手を貸すと言ったな。だがそんな事をすればお前はおろか、師匠たちもこの国にいられなくなる。その覚悟があって手を貸すと言ったのか? 身体も綺麗になった今私は復讐などする必要がないのだが」
「いや、これは復讐じゃない。粛清だ。民を守るべき者がその仲間を辱めのうのうと生きているなどまかり通っては法の意味がなくなる。罪を犯した者には相応しい罰を与えて然るべきだろう」
「そうは言うが……。やはりあとの事を考えるとだな……」
身体が綺麗になった今、アリアは少々及び腰になっていた。対してアインはアリアを辱め今も罰から逃れている犯罪者を許す気など毛頭ない。
「仮に今見逃せば将来被害者が増えるかもしれない。泣き寝入りしたらだめだ。たとえ相手がこの国の第二王子でもな」
「む、むぅ……」
アリアいわく、騎士団には派閥があり、アインの父を筆頭としていた穏健派と、第二王子を筆頭とする改革派の二つの派閥による対立が激化しているらしい。アインの父は国一番の騎士であり、国王を守護するほどの腕前だ。民からの信望も厚く、人気も絶大だった。そしてその人気の一つに貴族以外でも騎士にとりたてるという理由があった。そのため穏健派には出自が市井の者が多い。改革派は貴族筆頭主義者が多く、国を守る騎士団に貴族以外がいる現状が我慢ならなかったらしい。改革派は何かと理由をつけ、穏健派の騎士達を団から追い出していったそうだ。ある者は無実の罪をきせられ、またある者は遠征中に魔物に殺された事にされ、謀殺されたのだとか。そしてアリアのような女騎士は尊厳を奪われた後、自ら退団するまで追いつめられていたらしい。
この話を耳にしたアインはアリアが何と言おうが粛清する気でいた。
「犯罪に関わった改革派の騎士は一人たりとも逃がさない。ようはバレないように行動すれば良いだけの話だ。俺のスキルがあればその程度造作もない」
「現実改変だったか。そのスキルでいったい何をするつもりだ?」
アインは計画の内容を告げた。
「簡単な話だ。罪を犯した貴族はその存在を犯罪奴隷に改変し、罪を償ってもらう」
「そんな事もできるのか!?」
「ああ。犯罪奴隷の行先は鉱山での強制労働だ。山の中で罪を償うが良いさ。そして……主犯の第二だけは許せない。民を守るべき力を民に向けたのだ。最後の一人になったところでそれなりの報いを受けさせる。そこでだアリア」
「なんだ?」
「アリアは被害に遭った者をできるだけで良いから集めて欲しい」
「被害者を集めてどうするのだ?」
「改変が必要な者は改変し、復讐の機会を与えるんだよ。この世界には因果応報という言葉があってだな、自分の行いは巡り巡って自分に返ってくるのだよ。果たして第二王子という愚者にはどれほどの罰が襲い掛かるのだろうなぁ」
「怖いぞアイン。だが、その案には賛成だ。どうすれば良い。指示をくれ」
「ああ。まず……」
アインはやる気に満ちたアリアに指示を出すのだった。
「……ちょっと失礼しても良いか?」
「ああ。じっくり確認してきてくれ」
アリアは一瞬赤い顔をし、アインを睨んでから少し離れた場所に行き、確認した。そして慌てた様子で戻ってくる。
「なにをしたっ!? わ、私の身体が戻っているぞ!?」
「これが俺のスキルだよ。俺のスキル現実改変は今ある現実を過去に戻したりなかった事にしたりと色々な事ができるんだ。ちなみにこれは父さんも知らない」
「アイン──! お前は凄い奴だな!」
「ちょっ!?」
アリアがバシバシと笑顔でアレンの肩を叩く。
「何するんだよっ! まだ手洗ってないだろ!?」
「あ。あぁぁぁっ! す、すまないっ!」
辱めを受けたアリアが確認した。詳細は省くが、つまりはそういう事だ。その状態でアリアはアインに触れてしまっていた。
「すまない……。あまりの驚きで取り乱してしまった」
「気持ちはわかるけどさ……。【現実改変】」
アインはアリアに触れられた事象をなかった事に書き換えた。
「あまり余計な力を使わせないで欲しいな。俺のレベルはまだ低いからあまり多用できないんだよ」
「スキルで無かったことにするほど嫌だったのか!? さすがの私でも少々ショックなのだが。私は昔お前の下の世話をした事もあるというのに……」
そこでアインは思い出した。
「あぁぁっ! 思い出したぞ! 昔息を荒げながら俺のオムツを交換してた全身鎧の奴かお前っ!」
「うむ。思い出したか。お前は昔から聡い赤子だったなぁ」
普通赤子の頃の記憶など覚えているはずもない。だがアインは転生者であり、生まれた瞬間から自我があり、全てを記憶していた。過去、父は部下を連れ村に帰省していた。その連れてこられていた部下の一人がこのアリアというわけだ。
「まさかあの鎧の中身が女だったとは……」
「まさかとはなんだ!? 鎧は着ていたが声は今と変わっていないはずだ!」
「……赤ん坊の耳は聞こえ辛いんだよ。違いなんてほぼわからんわ」
「それはすまんな。だがっ! 私はお前の世話をした事があるのだっ! その……ちょっとアレが付いたくらいでスキルを使わなくても良いではないか!」
「滅茶苦茶いうなっ!? まぁ……今後しないというなら謝るが」
「す、するわけないだろう! さっきのは事故だ!」
「ごめんなさい」
そう謝罪し、二人は今後の事について話し合いを始めた。
「さて、アインよ。お前は私に手を貸すと言ったな。だがそんな事をすればお前はおろか、師匠たちもこの国にいられなくなる。その覚悟があって手を貸すと言ったのか? 身体も綺麗になった今私は復讐などする必要がないのだが」
「いや、これは復讐じゃない。粛清だ。民を守るべき者がその仲間を辱めのうのうと生きているなどまかり通っては法の意味がなくなる。罪を犯した者には相応しい罰を与えて然るべきだろう」
「そうは言うが……。やはりあとの事を考えるとだな……」
身体が綺麗になった今、アリアは少々及び腰になっていた。対してアインはアリアを辱め今も罰から逃れている犯罪者を許す気など毛頭ない。
「仮に今見逃せば将来被害者が増えるかもしれない。泣き寝入りしたらだめだ。たとえ相手がこの国の第二王子でもな」
「む、むぅ……」
アリアいわく、騎士団には派閥があり、アインの父を筆頭としていた穏健派と、第二王子を筆頭とする改革派の二つの派閥による対立が激化しているらしい。アインの父は国一番の騎士であり、国王を守護するほどの腕前だ。民からの信望も厚く、人気も絶大だった。そしてその人気の一つに貴族以外でも騎士にとりたてるという理由があった。そのため穏健派には出自が市井の者が多い。改革派は貴族筆頭主義者が多く、国を守る騎士団に貴族以外がいる現状が我慢ならなかったらしい。改革派は何かと理由をつけ、穏健派の騎士達を団から追い出していったそうだ。ある者は無実の罪をきせられ、またある者は遠征中に魔物に殺された事にされ、謀殺されたのだとか。そしてアリアのような女騎士は尊厳を奪われた後、自ら退団するまで追いつめられていたらしい。
この話を耳にしたアインはアリアが何と言おうが粛清する気でいた。
「犯罪に関わった改革派の騎士は一人たりとも逃がさない。ようはバレないように行動すれば良いだけの話だ。俺のスキルがあればその程度造作もない」
「現実改変だったか。そのスキルでいったい何をするつもりだ?」
アインは計画の内容を告げた。
「簡単な話だ。罪を犯した貴族はその存在を犯罪奴隷に改変し、罪を償ってもらう」
「そんな事もできるのか!?」
「ああ。犯罪奴隷の行先は鉱山での強制労働だ。山の中で罪を償うが良いさ。そして……主犯の第二だけは許せない。民を守るべき力を民に向けたのだ。最後の一人になったところでそれなりの報いを受けさせる。そこでだアリア」
「なんだ?」
「アリアは被害に遭った者をできるだけで良いから集めて欲しい」
「被害者を集めてどうするのだ?」
「改変が必要な者は改変し、復讐の機会を与えるんだよ。この世界には因果応報という言葉があってだな、自分の行いは巡り巡って自分に返ってくるのだよ。果たして第二王子という愚者にはどれほどの罰が襲い掛かるのだろうなぁ」
「怖いぞアイン。だが、その案には賛成だ。どうすれば良い。指示をくれ」
「ああ。まず……」
アインはやる気に満ちたアリアに指示を出すのだった。
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