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第3章 打倒、聖フランチェスカ教国編
11 朱雀陥落
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朱雀は死力を尽くして必死の抵抗を試みるが、火力を失い力が落ちた朱雀の攻撃がアーレスに通じるはずもなく、残る炎は一ヶ所、頭部だけになっていた。
「くぅぅぅっ、ボクは負けないっ! はぁぁぁぁっ!」
「そんなヒョロいパンチが当たるかよっ!」
「あっ──!」
アーレスは朱雀の拳を握り、腰に手を回して抱き寄せた。
「な、なにをっ!」
「もう諦めろよ朱雀。お前は俺に勝てない。最後の炎を消してやろうか?」
「や、やめ──っ!!」
朱雀の頭部に手を伸ばすアーレスに必死の抵抗を示す朱雀だが、もはや当初の力はなく、アーレスの手が朱雀の顎を持ち上げた。
「んむっ!? んんんん~~~っ!?」
「……ぺろっ。良い味だ」
「お、おおおおお前今何をしたぁっ!?」
「キスだが何か? まさか初めてってわけじゃないだろ」
朱雀は火力を失っているにも関わらず顔を真っ赤にしていた。
「は、初めてに決まってるだろっ! ボクは火鳥族最強の戦士なんだ! 色事にかまけている暇なんて……」
「初めて? ほう?」
「ひ──」
しばらく綺麗な風景画をお楽しみください。
「……御馳走様でした」
「うわぁぁぁぁんっ! 汚されたぁぁぁぁっ! ボクの初めて返してよぉぉぉぉぉっ!」
身を守護していた炎を失った朱雀はただの女に成り下がっていた。戦いで漲っていたアーレスは朱雀を使い冷静さを取り戻した。
「別に減るもんじゃねぇし良いだろ。大体お前も途中からしっかり喜んでたじゃねぇか」
「よ、喜んでないし! うぅぅっ、変態変態ヘンタァァァァァイ!」
「あん?」
しばらく綺麗なお花の映像をお楽しみ下さい。
「も、もう許してぇぇ……っ、ボクの頭ヘンになっちゃうからぁっ!」
「許して欲しいか? なら今後火鳥族は俺に服従だ」
「そ、それは……っ! だ、ダメだ! ボク一人じゃ決められないっ! ボクの肩に火鳥族の未来が── 」
アーレスは悩む朱雀に言った。
「それは聖フランチェスカ教国で教皇に従ってたら永遠に守られる未来なのか?」
「……え?」
「俺がここいる時点で聖フランチェスカ教国は近い内に滅びるだろうよ」
「え? え? 教国が滅びる?」
「俺は魔王国ババートスの国王だ。今落ち目の教国に従ってるより俺に付いた方が得だろ」
「うっ、でも……」
「魔王国に来いよ朱雀。お前の同胞全員丸ごと面倒見てやるよ。絶滅しかけてんだろ? 魔王国なら安心して数を増やせるし、もっと強くしてやれる。朱雀よ、お前はこのまま同胞は人質にとられただ使われて死ぬ運命で良いのか?」
「い、良いわけないっ! ほ、本当に火鳥族を守ってくれるのか? 騙すつもりじゃないのかっ!?」
アーレスは疑心暗鬼になっている朱雀に言った。
「騙すわけないだろ。俺達はもう深く繋がった仲じゃないか。いわば家族のようなものだ。俺は決して家族を裏切らない」
「つ、繋がったとか言うなっ。無理矢理しておいて!」
「嫌じゃなかっただろ?」
「うぅぅ、こいつ悪い男だ!」
アーレスはニヤリと笑った。
「お前は本心からこの国に従ってたわけじゃない。同胞を守るために仕方なく教国に従っていただけだ。そんなつまらない人生で満足できるか? できないだろう。だから俺が本当の幸せってのを教えてやるよ」
「そんな事言って……ほ、本当はボクとしたいだけじゃ……」
「ないとは言わんよ。お前、可愛いからな」
「か、可愛いって! バカじゃないか! ……た、たまになら……その……」
「オーケーだ。契約成立だな。サラマンダー」
《ピュイィィィッ!》
部屋の隅にいた火の精霊サラマンダーが呼ばれて飛んできた。
「お前の主は救ったぞ? これで満足したか?」
《ピュイィィィ~ッ》
「そうか。お? 俺に力を貸してくれるのか。ありがとうな、サラマンダー」
《ピュイィィィ~~》
「ボクより懐かれてる気がする……」
「俺は精霊使いだからな。よし、覚えた」
★火装格闘術を習得した。
★炎鎧を習得した。
こうして朱雀を味方にしたアーレスはヘラを呼び最上階に向かった。
「これを破壊したら結界を消せるんだよな」
「はい。これを含めてあと三つ……。しかし、結界は消せますが四つ全て破壊してしまうと大神殿が空中に浮かんでしまいますよ?」
「ふむ。浮かぶ高さはわかるか?」
「ワイバーンでも到達できない高さとか聞いたよ」
「なるほどな。四つ破壊すれば大陸には入って来られるようになるが、そこにはもう大神殿はないって事か。まず大神殿の結界を解除しなけりゃ入れもしないのか」
四つの塔が大陸全土を包む結界を張り、同時に大神殿に張られている結界を強化している。だが四つの塔を破壊すると大神殿は自らの結界を保ったまま、簡単に侵入できない高さまで浮上してしまう。
「まさに難攻不落の要塞って感じだな。だが……思ったのだが別に四つ破壊しなくても良くないか?」
「はい?」
「四つの塔は大神殿に張ってある結界の増幅装置だろ。例えば三つ破壊して一度大神殿の結界を破りに行くとかさ」
朱雀がこの考えに頷く。
「いける……かも。大神殿に張ってある結界は黄龍が触媒になってるんだよ。黄龍は四神の塔から送られる魔力を使って結界を張ってるんだ。今の黄龍はボク達の魔力を吸収して結界を維持してるけど……二つか三つ破壊すれば勝てなくはないと思う」
「黄龍ね。まさかその黄龍が大神殿を浮かせるとか?」
「うん、多分。黄龍は本当の神獣だからね」
「なるほどな。じゃああと二つほど破壊したら一度大神殿に行ってみようか」
「はいっ! 次に近い塔は大陸の東にある【青龍の塔】です! この塔を破壊してしまいましょう!」
「ああ」
アーレスは新しく朱雀を仲間に迎え、一つ目の塔を破壊したのだった。
「くぅぅぅっ、ボクは負けないっ! はぁぁぁぁっ!」
「そんなヒョロいパンチが当たるかよっ!」
「あっ──!」
アーレスは朱雀の拳を握り、腰に手を回して抱き寄せた。
「な、なにをっ!」
「もう諦めろよ朱雀。お前は俺に勝てない。最後の炎を消してやろうか?」
「や、やめ──っ!!」
朱雀の頭部に手を伸ばすアーレスに必死の抵抗を示す朱雀だが、もはや当初の力はなく、アーレスの手が朱雀の顎を持ち上げた。
「んむっ!? んんんん~~~っ!?」
「……ぺろっ。良い味だ」
「お、おおおおお前今何をしたぁっ!?」
「キスだが何か? まさか初めてってわけじゃないだろ」
朱雀は火力を失っているにも関わらず顔を真っ赤にしていた。
「は、初めてに決まってるだろっ! ボクは火鳥族最強の戦士なんだ! 色事にかまけている暇なんて……」
「初めて? ほう?」
「ひ──」
しばらく綺麗な風景画をお楽しみください。
「……御馳走様でした」
「うわぁぁぁぁんっ! 汚されたぁぁぁぁっ! ボクの初めて返してよぉぉぉぉぉっ!」
身を守護していた炎を失った朱雀はただの女に成り下がっていた。戦いで漲っていたアーレスは朱雀を使い冷静さを取り戻した。
「別に減るもんじゃねぇし良いだろ。大体お前も途中からしっかり喜んでたじゃねぇか」
「よ、喜んでないし! うぅぅっ、変態変態ヘンタァァァァァイ!」
「あん?」
しばらく綺麗なお花の映像をお楽しみ下さい。
「も、もう許してぇぇ……っ、ボクの頭ヘンになっちゃうからぁっ!」
「許して欲しいか? なら今後火鳥族は俺に服従だ」
「そ、それは……っ! だ、ダメだ! ボク一人じゃ決められないっ! ボクの肩に火鳥族の未来が── 」
アーレスは悩む朱雀に言った。
「それは聖フランチェスカ教国で教皇に従ってたら永遠に守られる未来なのか?」
「……え?」
「俺がここいる時点で聖フランチェスカ教国は近い内に滅びるだろうよ」
「え? え? 教国が滅びる?」
「俺は魔王国ババートスの国王だ。今落ち目の教国に従ってるより俺に付いた方が得だろ」
「うっ、でも……」
「魔王国に来いよ朱雀。お前の同胞全員丸ごと面倒見てやるよ。絶滅しかけてんだろ? 魔王国なら安心して数を増やせるし、もっと強くしてやれる。朱雀よ、お前はこのまま同胞は人質にとられただ使われて死ぬ運命で良いのか?」
「い、良いわけないっ! ほ、本当に火鳥族を守ってくれるのか? 騙すつもりじゃないのかっ!?」
アーレスは疑心暗鬼になっている朱雀に言った。
「騙すわけないだろ。俺達はもう深く繋がった仲じゃないか。いわば家族のようなものだ。俺は決して家族を裏切らない」
「つ、繋がったとか言うなっ。無理矢理しておいて!」
「嫌じゃなかっただろ?」
「うぅぅ、こいつ悪い男だ!」
アーレスはニヤリと笑った。
「お前は本心からこの国に従ってたわけじゃない。同胞を守るために仕方なく教国に従っていただけだ。そんなつまらない人生で満足できるか? できないだろう。だから俺が本当の幸せってのを教えてやるよ」
「そんな事言って……ほ、本当はボクとしたいだけじゃ……」
「ないとは言わんよ。お前、可愛いからな」
「か、可愛いって! バカじゃないか! ……た、たまになら……その……」
「オーケーだ。契約成立だな。サラマンダー」
《ピュイィィィッ!》
部屋の隅にいた火の精霊サラマンダーが呼ばれて飛んできた。
「お前の主は救ったぞ? これで満足したか?」
《ピュイィィィ~ッ》
「そうか。お? 俺に力を貸してくれるのか。ありがとうな、サラマンダー」
《ピュイィィィ~~》
「ボクより懐かれてる気がする……」
「俺は精霊使いだからな。よし、覚えた」
★火装格闘術を習得した。
★炎鎧を習得した。
こうして朱雀を味方にしたアーレスはヘラを呼び最上階に向かった。
「これを破壊したら結界を消せるんだよな」
「はい。これを含めてあと三つ……。しかし、結界は消せますが四つ全て破壊してしまうと大神殿が空中に浮かんでしまいますよ?」
「ふむ。浮かぶ高さはわかるか?」
「ワイバーンでも到達できない高さとか聞いたよ」
「なるほどな。四つ破壊すれば大陸には入って来られるようになるが、そこにはもう大神殿はないって事か。まず大神殿の結界を解除しなけりゃ入れもしないのか」
四つの塔が大陸全土を包む結界を張り、同時に大神殿に張られている結界を強化している。だが四つの塔を破壊すると大神殿は自らの結界を保ったまま、簡単に侵入できない高さまで浮上してしまう。
「まさに難攻不落の要塞って感じだな。だが……思ったのだが別に四つ破壊しなくても良くないか?」
「はい?」
「四つの塔は大神殿に張ってある結界の増幅装置だろ。例えば三つ破壊して一度大神殿の結界を破りに行くとかさ」
朱雀がこの考えに頷く。
「いける……かも。大神殿に張ってある結界は黄龍が触媒になってるんだよ。黄龍は四神の塔から送られる魔力を使って結界を張ってるんだ。今の黄龍はボク達の魔力を吸収して結界を維持してるけど……二つか三つ破壊すれば勝てなくはないと思う」
「黄龍ね。まさかその黄龍が大神殿を浮かせるとか?」
「うん、多分。黄龍は本当の神獣だからね」
「なるほどな。じゃああと二つほど破壊したら一度大神殿に行ってみようか」
「はいっ! 次に近い塔は大陸の東にある【青龍の塔】です! この塔を破壊してしまいましょう!」
「ああ」
アーレスは新しく朱雀を仲間に迎え、一つ目の塔を破壊したのだった。
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