スキルで快適!異世界ライフ(痛)

夜夢

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第01章 幼少期

09 地下ダンジョン踏破

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    蓮は今最下層最後のフロア前に立っていた。

「最後のフロアだ。名残惜しいがさっさとクリアーさせて貰うとしようか。」

    蓮は重厚な扉を開き中に入った。

「…暗いな。」

    その言葉に反応したのか、壁にあった松明に火が灯った。

「お~お~。親切な事で。さて…ラスボスは何処かな?」

    部屋の最奥に玉座がある。しかし主は居ない様だ。

「ふむ。この場合…大体は玉座に仕掛けか壁に隠し扉が……ビンゴだ。」

    玉座の後ろの垂れ幕の裏に隠し扉があった。

「さぁて、対面だ。」

    蓮は隠し扉を開き奥へと進んだ。

《やぁ、久しぶり♪》

「は?いや、お前…なにしてんの?」

    部屋の中に居たのは神だった。

《何って…此処僕の別荘だからね。誰にも入られたく無かったから滅茶苦茶強い魔物を配置してたんだけど…。君には意味無かったみたいだね。》

「いやまぁ…。宝はありがたく頂いたがな。で、ダンジョンコアは?」

《ん?ああ、コアは玉座だよ。何?破壊するの?破壊しても良いけど…破壊したら僕の別荘が無くなっちゃうよぉ。》

「…中から魔物が出る事は?」

《無いよ。外からしか入れない仕組みになってるし。外から来た人は出れるんだけどね。》

    なら破壊しなくても…。いや、誰かに侵入されても困るしなぁ…。

「なぁ、ダンジョンの場所移せないか?それか入り口を消してくれ。」

《えぇ~。まぁ君の頼みなら聞かなくも無いけど…。因みに入り口は何処にする気?》

「そうだな…。火口のマグマの中とか、深海の奥深くとか。到底だれも入れそうに無い所なら。」

《それじゃ面白くないじゃん!侵入者が慌てる姿を見たくて作ったんだしさぁ。》

    何て性格の悪い神だ。

「じゃあ何処か人間の町にでも移せ。魔族領はダメだ。そうだな、人間達は勇者召喚とかやってんだろ?なら勇者を招いてやれよ。勇者なら少しは楽しませてくれるんじゃないか?」

《…イイね!ナイスだよそれ!アハッ♪流石蓮だ。相変わらずクズいっ!》

    何だそれ、誉めてんのか? 

「はいはい、クズで~す。で、そんなクズはこれから魔族領を変える気なんで。悪いが神託とかで勇者を適当に排除してくんない?上手くこのダンジョンに誘導してさ。後…落ちる宝箱は全部ミミックにしろ。そうすりゃ更に悔しがる姿が拝める筈だ。」

《ウハッ♪ゲスい!君には敵わないなぁ。それ採用!》

    とんだ神も居たものだ。ま、俺も似た様なモンだがな。

《さて、じゃあ地上に送ろうか。久しぶりに会えて良かったよ。次に会える時を楽しみにしているよ。じゃあね…、工藤 蓮。【転送】。》

    蓮は神によりダンジョン入り口へと転送された。

《いやぁ楽しい。それに…勇者って前から邪魔だったんだよねぇ。僕以外の神から変な力を授かって来るし。蓮のアイディア、頂くよ。えっと…入り口の設置場所はうん、軍事大国【グレゴール】にしよう。さぁ、神託の準備をしなきゃ♪》

    神は自分の間へと戻るのであった。

    一方蓮は地上へと戻り、魔王の所へと向かった。

「な、何だこの有り様は…。」

「ん?おぉ!戻ったか!ダンジョンはどうだった?何階まで進んだんだ?」

    全身傷だらけの野郎が3人。

「このバカ息子がっ!何故この2人の娘なんだ!やるなら違う娘にしろ!」

「ほほう?ドランは家の娘に不満があると?」

「上等だ!モニカをバカにする奴は鉄拳制裁だゴラァッ!」

    醜い争いだ。

「レンっ!」

「ん?ああ、モニカか。何だあれ?」

「あはは、レンさ、リリムちゃんにもえっちな事しちゃったんでしょ?」

「は?いや、あれはあっちから…。…もしかして俺が原因?」

「うん。お父さんとモリスさんが私とリリムちゃんどっちを正妻にするかで揉めてて。で、ドランさんは…何で暴れてるのか分かんない。」

    ふむ。参ったな。

「あ~皆さん?」

「「「あん!?」」」

    3人は戦いの手を止め蓮を睨んだ。

「そうだ、元はと言えばレンが一度に2人に手を出したから悪い!」

「あぁん?男なら複数愛せなくてどうする!なぁ、レン!」

「流石種馬、手も腰も速い速い。一途って言葉の意味を教えてあげましょうか?」

「んだとゴラァッ!浮気バラすぞ?確かこの前飲み屋のネェチャンと…」

「アハハハ。…殺しますよ?」

    カオスだ。放っておこう。

「モニカ、アカデミーに帰ろうか。」

「え?ダンジョンはもう良いのですか?」

「ああ。もう踏破したからな。」

「「「なにぃっ!!?」」」

    急に3人はまともになった。なんなの?

「れ、レン…お前…踏破ってマジか?」

「うんまぁ。地下100階だけだったし。」

「…すげぇな。どんなんだった?最後には何があった?」

「古代竜が雑魚敵として現れる位にはヤバいダンジョンだったかな。最後の部屋は…神様が居た。どうやらあのダンジョンは神様の別荘らしくて。地上でゆっくりしたい時の為に作ったらしいよ。で、邪魔だったから入り口の場所を変えて貰った。」

「か、神の…ダンジョン…。成る程…それならあの敵の強さも…。で、ではかなりの宝を手に入れたのでは?」

「うんまぁ…。1000回贅沢な人生をやり直してもまだお釣りが来る位には。後…色々スキルも拾えたし。ステータス見る?」

「「「「良いのかっ!?」」」」

    何故かモニカまで興味津々だった。誰にも話さない事を約束させ、蓮は4人にステータスを開示した。

「いや…何…だこれ…。俺なんて足元にも及ばんぞ…。」

「我が息子ながら…これは何とも…。」

「す、素晴らしい…。これなら魔族の未来は安泰ですね!今すぐ魔王を亡き者にし、レン様による統治を!あ、私の事は無かった犬とお呼び下さい!」

    モリスも大概だな。どんだけ魔王が嫌いなんだ?

「ふむ…。レンが望むなら魔王の座は譲ろう。ただし、モニカを娶る事が条件だがな。」

「はっはっは。魔王!まだ言うか!娶るなら家のリリムだ!」

「あの~…。皆正妻じゃダメなんですかね?」

「「「は?」」」

    3人はピタリと戦いの手を止めた。

「魔王、可能か?」

「うむ…。法は魔王が決める事。新魔王がそう望むなら良いのではないか?民が賛同するかは別としてな。」

「…なら別に争う必要はありませんでしたね。レン君なら皆を幸せに出来そうですし。」

「俺の息子だからな。はっはっは!」

    大人達は結託していた。

「じゃそう言う事で。モニカ、今度こそアカデミーに帰ろうか。」

「うんっ♪帰ったらいっぱいえっちしようね?」

「ははは、勿論だとも。今夜は寝かせないからな?」

「やだもうっ♪レン様のえっち♪」

    イチャつきながら2人はアカデミーへと転移して行った。

「あの~、今更彼がアカデミーで何を習うと言うのですかね?まぁ、私は娘がクラスメイトですし、ありがたい話なのですがね?」

「そう言えばそうだな。どうする?魔王。」

「ん~…。まだ子供だし勉強以外でも教わる事は多いだろう。取り敢えず様子見で良いのではないか?」

「そうですね。では彼はこのままアカデミーに通うと言う事で。もし、強力な勇者が現れた場合のみ協力して頂くと言う事で構いませんよね?」

「そうだな。まぁ、まだまだ子供に頼る様な年じゃないがな。」

    しかし、この後勇者が魔族領に来る事は無かった無かった。どうやら神が上手く人間を騙してのだろう。

「ちょっ!何だよこれぇっ!いきなりハイレベル過ぎ…ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」

「ちょっ!無理!無理だって!くっそ!神に騙された!何がチートだよ!このダンジョンこそチートだろうがっ!くそがぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

    召喚された勇者はことごとく魔物に蹂躙され、この世界から消え去って行った。

《あはっ♪滅茶苦茶面白っ♪いやぁ…自信満々のクソ勇者達の無様に慌てるこの様!蓮は天才だねっ♪良いなぁ~♪最高だよぉ…蓮…♪》

    神はダンジョンの様子を見て愉悦の笑みを浮かべるのであった。
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