幕末の剣士、異世界に往く~最強の剣士は異世界でも最強でした~

夜夢

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第一章 最初の国エルローズにて

第43話 ヴェローム以外のアジト

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「殺るぞ、お前ら」
「「「「うっす!」」」」

 配下を引き連れ旧フランツ領へと戻った信長は闇夜に紛れて教会を強襲した。

「ヒィィィッヤッハァァァァァッ! 悪党狩りじゃぁぁぁぁぁぁいっ! おい、入り口固めろ! 一匹も逃がすんじゃねぇぞ! ニワァァッ!」
「お前に言われんでもやっとるわ! お前こそあまり物を壊すなよモリ!」  
「殿、祭壇の下に階段が!」
「であるか。よし、ここに五人残り後はワシに続けいっ! ワシの町から悪党を叩き出す!」
「「「「おぉぉぉぉぉぉっ!」」」」

 深夜に強襲された闇ギルドのメンバーは狼狽え混乱していた。まさか自分達が襲われるなどとは思ってもいなかったようで、襲いくる信長達の凶刃によりその命を次々と減らしていく。

「お、俺達ゃ闇ギルドのメンバーだぞっ! 逆らったら──ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「逆らったらなんだ。殿の邪魔をする輩はこのカツイエが全て斬り伏せる! あの世で殿に逆らった事を食いるが良いわっ!!」
「ま、まっ──がはぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 久しぶりの討ち入りに信長の配下達は心踊らせ血に酔っていた。

「良いねぇ~。やはり戦は血が滾る」
「だな。総一朗さんの店の手伝いも悪くはねぇが……やっぱり戦が一番滾るぜ」
「殿! 奥に隠し通路が!」
「でかした伴! 追いかけるぞ! 全員息の根を止めてやれいっ!」
「「「「ヒャッハァァァァァァァッ!」」」」

 信長に鍛えられた荒ぶる配下達は闇ギルドの構成員を赤子同然に次々と斬り捨てていく。

「ひ、ひぃぃぃっ! なんなんだこいつらっ! 闇ギルドが怖くねぇのかよぉぉぉぉぉっ!」
「愚か者が!! 殿に怖いものなどありはせんわっ! ですよね、殿!」

 信長は隠し通路の奥からフランツ領を仕切っていた闇ギルドのマスターの首を持って姿を見せた。

「マ、マスター……!」
「当たり前だ。ワシに怖い物などないわっ! いや、一つあるな。それは……なんでもできてしまうワシだな。ははははははっ!」
「「「「さすが殿! パチパチパチパチ」」」」

 誰も突っ込まない辺り、配下はしっかり調教されてしまっているようだ。

「よし、金目の物を奪って退却だ。金目の物は新しい領主の屋敷にでも放り込んでやれいっ!」
「殿、あっしらはタダ働きですかい?」
「はっはっは。これが片付いたら総一朗にたかるわ。略奪は許さん。わかったか!」
「「「「はっ!」」」」

 
 その同時刻、コルセット領に向かった弁慶と義経は。

「はぁぁぁぁぁぁっ!」
「うぁぁぁっ! く、くそっ! なんなんだこの二人組みはっ! いきなり乗り込んできたと思ったら次々仲間を殺りやがって!」
「がははははっ! 温い温いっ! 五条橋で刀を狩った奴らより弱いわっ! ここに猛者はおらんのかっ!」
「弁慶後ろっ!」
「む?」

 弁慶の背後から短剣を握り締めた男が突撃してくる。

「死にさらせやぁぁぁぁ──なっ!?」

 しかし弁慶の皮膚には傷一つ付かず、さらに攻撃した短剣が粉々に砕けてしまった。

「スキル【硬化】だ。不意打ちとはこれまた卑怯なりっ!! 半分になって反省するが良いわっ!」
「あ──あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 弁慶の凶刃が男の頭から胴体を左右に両断した。

「ば、ばばば化け物だ……! ひ、ひぃぃぃぃぃっ!」
「逃がすかっ! 主、援護を!」
「うんっ! 行くよっ【ウィンドストーム】!」
「「「「ぎあはぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」

 義経の両手から嵐が巻き起こる。竜巻に巻き込まれた者達は風の刃に切り裂かれパーツとなり地に落下した。

「う──うげぇぇぇぇ……っ。じ、慈悲もねぇ……。あの大男よりヤベェ奴がいたっ!」
「う、うるさいな! 悪人は許さないっ! 今度はこいつで! 【フレアサイクロン】!!」
「「「「ぎ──ぎあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」

 総一朗は今一実力が乏しい義経に魔法に関するスキルの書を渡していた。頭の良い義経はすぐに魔法を理解し、使いこなしてしまう。

「じ、上級魔法を使う剣士なんて……か、勝てるわけがねぇっ! に、逃げ──」
「逃がすと思うか?」
「うっ……!」

 逃げ道は弁慶が完全に制圧していた。逃げるためには弁慶をどうにかするしかない。

「ち、地下じゃどうにもならねぇ……。こ、ここまでか……!」
「ああ、ここまでだな。国に巣くう悪党め。我が刃の塵と化せ」
「ち、ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 こうして二つの領地は瞬く間に一掃された。そして他の領地でも国の騎士が総動員され同時に制圧されていった。王都の教会を制圧したフラムに闇ギルドの男が捨て台詞を吐く。

「この国はおしまいだ。闇ギルドは世界中にある! 俺達なんぞ一角にしか過ぎねぇ。異変を察知したマスターが必ず他の国から仲間を引き連れ復讐してくれる! バカな真似をしたな!」
「ふむ。バカは貴様らだ」
「なんだと?」

 フラムは余裕を見せつけながら男に言った。

「今頃もう終わってるんじゃないかな」
「な、何がだ」
「この国にあるアジト全て同時に襲撃する事になっている。お前らのマスターとやらにはこの国最強の兄弟が向かった」
「さ、最強だ? 騎士より強いってのかよ」
「ああ。ソロでダンジョンの最下層まで下りてしまうような馬鹿げた二人だ」
「なっ!? ソロで!? あ、ありえねぇっ!」
「あり得るんだよ。さて、お前らのマスターとやらは竜より強いのかな? 連れていけ」
「ち、ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 こうして王都に巣くう闇も取り払われた。 

「こっちは終わったぞ総一朗。抜かるなよ?」

 フラムは南の空を見上げつつそう呟くのだった。 
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