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第一章 最初の国エルローズにて
第17話 爆進!
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現在地下五十階。そのボス部屋に総一朗はいた。
「うはははははっ! 美味しすぎるぜこの階層!」
《ガ……ガガッ……》
ボスはアイアンゴーレムだ。だが弱点は丸出し、動きも単調、素早さを売りにする総一朗の相手にはならなかった。
加えてこのボスからはたまに虹色の箱が出る。中には大量の黒金貨が詰まった袋やレアな装備品、果ては書物セットやカプセルが詰まったカプセルボールと、地下五十階で総一朗の目的はほぼ果たされた。
「う~ん、とりあえず潜ってから三日か。また扉の前に戻ってアイテム整理でもするか」
総一朗は入り口の扉を開きボス部屋の前に戻る。そして魔導ベッドで横になりながらアイテム整理を始めた。
「これもう一生のんびり暮らせるんじゃないか?」
手に入れた黒金貨だけでも数千枚、さらに魔剣などレア装備が山のように手に入った。目的である魔導具も揃い、書物は鑑定し使えそうな物は全て使っている。
「なんつーか……スキルってなぁズルだな。こんなので強くなれたら誰も厳しい修行なんてしなくなるんじゃないか? いや、もしかするとスキルが必要になるような強敵でもいるのか? わからんなぁ……」
いくら考えた所でこの世界についてわかるわけもない。未だにヴェロームとデリル村、そしてこのダンジョンしか知らないのだ。
「それにしても変だな。一向に他の冒険者の姿がねぇ。もっと下にいるのか?」
前回も今回も早朝から潜ってきた総一朗には知る由もなかった。
現在地下三十階。
「ほ、ほほほほ骨ぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 弁慶! 骨が走ってるよっ!?」
「えぇぇぇい! 地獄かここはっ!」
弁慶達は地下三十階でスケルトン相手に奮闘していた。見ると周りにも冒険者の姿がある。
「あいつら強ぇなぁ~……」
「仲間に入ってくんないかなぁ……」
「あいつら……いや、あの大男だけでも仲間になってくれたらスケルトンキングも倒せそうなんだけどなぁ」
「魔剣欲しいよなぁ……」
冒険者はいないわけではなかった。この国の冒険者では地下三十階層まで到達する事が精一杯だったのである。それを考えると総一朗が助けた冒険者はかなり優秀な部類に入る。
「こ、怖いよ弁慶! もう戻ろ! ね!?」
「ご主人、何を言われますか! 総一朗は地下四十一階層から始めているのですぞ! 我も負けてはいられませんっ!」
「も、もうイヤァァァァァァァァッ!?」
義経は妖怪の類いが苦手らしい。もはや完全にお荷物になっていた。
「ぬぅぅぅ……、仕方ない。いったん戻りましょう。ダンジョンに潜り三日、そろそろ総一朗の奴も戻る頃でしょう」
「そうだよねっ! は、早く帰ろうよっ!」
「帰るにも次の階層に下りねば。さ、ご主人。もう少し耐えてくだされ」
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
そうして進む事地下三十一階、弁慶達はダンジョンから地上へと帰還した。
「む? 総一朗?」
「おう、弁慶。お前達も戻ったか」
「ああ。今な」
「何階まで下りた?」
すると義経が視線を反らした。
「地下三十一階だ」
「三十一階だぁ? いやいや、お前らの強さならもっといけただろ?」
そう告げると弁慶は義経の方をチラリと見た。それで総一郎は察した。
「ああ、なるほど。あの骨が怖かったんだな?」
「うむ。そこまでは順調に進めていたのだがな、三十一階に入ってからは全く進めんかった」
「ううう……」
総一郎は落ち込む義経に向けこう言った。
「まぁ……歩いて襲ってくる骨だもんな。その階層はずっとそうだぜ。地下四十階のボスもデカい骨だしな」
「ふぇぇぇ……、そんなの無理だよぉ~!」
「ふぅむ……。義経、お前くらいになると目を閉じても敵の気配がわかるんじゃね?」
「え? うん」
「なら目を瞑れば良いだろ。で、魔法で倒せば?」
「あ! そっか! 魔法!」
どうやら光明が見えたようだ。すると弁慶が総一郎に尋ねてきた。
「お主は何階まで下りたのだ? スタートが地下四十一階ならばさらに下りたのだろう?」
「ああ、俺は地下五十一階だ」
「む? 三日で十階層しか下りられなかったのか?」
「いや、ほとんどの時間を地下五十階層のボスと戦ってたんだよ。雑魚と戦うよりボスと戦った方が宝もレアな物が手に入るしな。今の俺はちょっとした大金持ちだぜ」
「雑魚戦よりボス戦か! 確かにボスを倒した時は金色の箱が……」
総一郎はニヤリと笑った。
「それだよ。地下五十階のボスは結構な確率で虹色の宝箱を落とす。中身はレア物ばかりよ」
「むぅぅ……ズルいぞお主! 我もその階層に行くぞ!」
「ははは、ご主人様を何とかするんだな」
そして総一郎は二人に尋ねた。
「俺は一度村に戻るがお前たちはどうする?」
「ふむ……。我らはもう一度潜る。主にはなんとか頑張ってもらい地下四十階までは攻略しておきたい。これでは我らがお主に寄生していると思われかねんからな」
「そうかい。ま、潜る前に書物を使ってスキルを身に着けていきな。多少はマシになるかもよ」
「マシとか言うな。ご主人は妖の類でなければ恐れたりせん」
「はっはっは! ま、良いさ。俺は村に戻り家の代金を払っておく。家の場所は――」
家の場所を二人に教え、総一郎はデリル村に、二人はその場で書物を吟味し始めた。どうやら二人も鑑定を手に入れたらしい。
「よっし、ターニャのお母様待ってて下さいねぇ~! 今行くぜっ!」
総一郎は全速力でデリル村を目指し疾走するのだった。
「うはははははっ! 美味しすぎるぜこの階層!」
《ガ……ガガッ……》
ボスはアイアンゴーレムだ。だが弱点は丸出し、動きも単調、素早さを売りにする総一朗の相手にはならなかった。
加えてこのボスからはたまに虹色の箱が出る。中には大量の黒金貨が詰まった袋やレアな装備品、果ては書物セットやカプセルが詰まったカプセルボールと、地下五十階で総一朗の目的はほぼ果たされた。
「う~ん、とりあえず潜ってから三日か。また扉の前に戻ってアイテム整理でもするか」
総一朗は入り口の扉を開きボス部屋の前に戻る。そして魔導ベッドで横になりながらアイテム整理を始めた。
「これもう一生のんびり暮らせるんじゃないか?」
手に入れた黒金貨だけでも数千枚、さらに魔剣などレア装備が山のように手に入った。目的である魔導具も揃い、書物は鑑定し使えそうな物は全て使っている。
「なんつーか……スキルってなぁズルだな。こんなので強くなれたら誰も厳しい修行なんてしなくなるんじゃないか? いや、もしかするとスキルが必要になるような強敵でもいるのか? わからんなぁ……」
いくら考えた所でこの世界についてわかるわけもない。未だにヴェロームとデリル村、そしてこのダンジョンしか知らないのだ。
「それにしても変だな。一向に他の冒険者の姿がねぇ。もっと下にいるのか?」
前回も今回も早朝から潜ってきた総一朗には知る由もなかった。
現在地下三十階。
「ほ、ほほほほ骨ぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 弁慶! 骨が走ってるよっ!?」
「えぇぇぇい! 地獄かここはっ!」
弁慶達は地下三十階でスケルトン相手に奮闘していた。見ると周りにも冒険者の姿がある。
「あいつら強ぇなぁ~……」
「仲間に入ってくんないかなぁ……」
「あいつら……いや、あの大男だけでも仲間になってくれたらスケルトンキングも倒せそうなんだけどなぁ」
「魔剣欲しいよなぁ……」
冒険者はいないわけではなかった。この国の冒険者では地下三十階層まで到達する事が精一杯だったのである。それを考えると総一朗が助けた冒険者はかなり優秀な部類に入る。
「こ、怖いよ弁慶! もう戻ろ! ね!?」
「ご主人、何を言われますか! 総一朗は地下四十一階層から始めているのですぞ! 我も負けてはいられませんっ!」
「も、もうイヤァァァァァァァァッ!?」
義経は妖怪の類いが苦手らしい。もはや完全にお荷物になっていた。
「ぬぅぅぅ……、仕方ない。いったん戻りましょう。ダンジョンに潜り三日、そろそろ総一朗の奴も戻る頃でしょう」
「そうだよねっ! は、早く帰ろうよっ!」
「帰るにも次の階層に下りねば。さ、ご主人。もう少し耐えてくだされ」
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
そうして進む事地下三十一階、弁慶達はダンジョンから地上へと帰還した。
「む? 総一朗?」
「おう、弁慶。お前達も戻ったか」
「ああ。今な」
「何階まで下りた?」
すると義経が視線を反らした。
「地下三十一階だ」
「三十一階だぁ? いやいや、お前らの強さならもっといけただろ?」
そう告げると弁慶は義経の方をチラリと見た。それで総一郎は察した。
「ああ、なるほど。あの骨が怖かったんだな?」
「うむ。そこまでは順調に進めていたのだがな、三十一階に入ってからは全く進めんかった」
「ううう……」
総一郎は落ち込む義経に向けこう言った。
「まぁ……歩いて襲ってくる骨だもんな。その階層はずっとそうだぜ。地下四十階のボスもデカい骨だしな」
「ふぇぇぇ……、そんなの無理だよぉ~!」
「ふぅむ……。義経、お前くらいになると目を閉じても敵の気配がわかるんじゃね?」
「え? うん」
「なら目を瞑れば良いだろ。で、魔法で倒せば?」
「あ! そっか! 魔法!」
どうやら光明が見えたようだ。すると弁慶が総一郎に尋ねてきた。
「お主は何階まで下りたのだ? スタートが地下四十一階ならばさらに下りたのだろう?」
「ああ、俺は地下五十一階だ」
「む? 三日で十階層しか下りられなかったのか?」
「いや、ほとんどの時間を地下五十階層のボスと戦ってたんだよ。雑魚と戦うよりボスと戦った方が宝もレアな物が手に入るしな。今の俺はちょっとした大金持ちだぜ」
「雑魚戦よりボス戦か! 確かにボスを倒した時は金色の箱が……」
総一郎はニヤリと笑った。
「それだよ。地下五十階のボスは結構な確率で虹色の宝箱を落とす。中身はレア物ばかりよ」
「むぅぅ……ズルいぞお主! 我もその階層に行くぞ!」
「ははは、ご主人様を何とかするんだな」
そして総一郎は二人に尋ねた。
「俺は一度村に戻るがお前たちはどうする?」
「ふむ……。我らはもう一度潜る。主にはなんとか頑張ってもらい地下四十階までは攻略しておきたい。これでは我らがお主に寄生していると思われかねんからな」
「そうかい。ま、潜る前に書物を使ってスキルを身に着けていきな。多少はマシになるかもよ」
「マシとか言うな。ご主人は妖の類でなければ恐れたりせん」
「はっはっは! ま、良いさ。俺は村に戻り家の代金を払っておく。家の場所は――」
家の場所を二人に教え、総一郎はデリル村に、二人はその場で書物を吟味し始めた。どうやら二人も鑑定を手に入れたらしい。
「よっし、ターニャのお母様待ってて下さいねぇ~! 今行くぜっ!」
総一郎は全速力でデリル村を目指し疾走するのだった。
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