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第3章 国づくり

第29話 種族会議

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 前夜祭を終えた翌日正午、アースの家の応接間にてエルフの長、魔王、獣王を集めての会議が開かれた。

「では会議を始めましょう。議題は人間の脅威について、それとこの外壁内のルールについて。あと、もし人間が侵略してきた場合の対応についての三つです。ではまず獣王ガラオンから」
「うむ」

 ガラオンは人間について語り始めた。

「そうだな、まずは昔話から始めよう」

 そう切り出し、ガラオンはエルフが迫害されてから以降の話を始めた。

 勇者の仲間としてデモン大陸に渡り、魔族を淘汰してくれると期待していた勇者パーティーが人間に反旗を翻した。これに人間は激怒し、エルフたちを捕まえては殺し始める。それをアースの両親を含む勇者パーティーで外見し、エルフたちはデモン大陸に住む事になる。

 ガラオンの話はこの続きからだ。

 デモン大陸支配に失敗した人間は次にかつて自分らの手で獣人をおいやったはずのゴッデス大陸へと目を向けた。デモン大陸侵攻で減った力を取り戻した人間はゴッデス大陸へと宣戦布告をし、連日億に近い人間を送り込み、ゴッデス大陸を少しずつ侵略していった。
 火竜たちもいたが、いくら殲滅しようと次から次へと二つの大陸から人間が送り込まれ、大陸の東西南北、あらゆる場所から上陸され、対応に追われる。人間は卑怯な手段でも構わず使う。

「あいつらは……あいつら人間は幼い獣人を捕まえ、それを盾にし次々と我らの力を削いでいったのだ。殺された同胞は張り付けにされ、腐るまで放置される。逆らったらこうなるぞと見せしめたのだ! 死んでまで誇りを汚されるなどあってはならん! あいつらは……人間は悪魔だ! 勝つためならどんな卑怯な手でも平気で使ってくる。川には毒を流し、森は全て焼き払われていった」
「酷い話だな。でもそんな状態じゃ手に入れても後で自分達が困るんじゃ……」 
「やつらは捕まえた獣人を奴隷にするつもりだったのだろう。そして、自分らでは一切働かず、破壊の限りを尽くした大地を我ら獣人に綺麗に戻させるつもりだったらしい」
「うわ、最低だな……」
「……我らは逃げた。今頃は捕まった同胞が強制労働をさせられているだろう。助かったのはわずかに千人のみだ……。アース殿……、我は……我は悔しくてたまらんっ! 火竜殿の力を借りても人間には勝てなかった。奴等は……あいつらは自分の欲のためならどんな事でもしてくるっ! 決して油断してはならぬし、ましてや情けをかけようなどとは思わぬ事だ……」

 そこで獣王は口を閉ざした。アースもまた前世は人間だ。大きな大戦も経験したし、人間については世界は違うが誰よりも深く知っている。

「わかった。心にとめておくよ。では次に移ろう。次はこの地のルールについてだ。」

 アースは新しく加わったエルフと獣人に内地のルールを伝えた。

「ルールは単純明快。お互いに争わない、奪わない、罪を犯さない。それだけだ。出来たら皆で協力しあい、力を合わせて幸せな国にしていきたい」

 それに三人はこくりと頷く。反対意見など一つも出なかった。閉鎖的なエルフは拒むだろうと思っていたが、長自ら関わりを望むのだ、反対はしないのだろう。

 アースはそれを受け最後の議題に入った。

「じゃあ最後に……人間について話し合おうか。何か意見はあるかな?」

 まず直近の被害者でもある獣王が口を開く。

「やつらに情けは無用だ。近付く船は全て沈めるべきだ!」

 それにリリスも同意する。

「そうじゃな。人間は妾ら魔族が慎ましく過ごしていた所を自分らの欲のために妾らを悪と断じ、侵略するようなやつらじゃ。間違っても上陸させてはならぬ。せっかく復活した大地がまた死んではかなわんからのう」

 それをルルシュがまとめる。

「では、近付く船は全て撃沈。救助活動もなし。そして……こちらからは攻めない。それでよろしいでしょうか」
「……ああ。こちらに手を出さぬならわざわざ攻める必要もないだろう。我はそれで良い」
「じゃな。妾らはただ平和に暮らしたいたけじゃ。戦争などしたくもない」

 これで人間に対する方針は固まった。デモン大陸に住む者は自衛のためだけに戦い、自らは攻めない事となった。

「よし、じゃあ決まりだな。各種族の代表は全ての民に今日話し合った事を伝えて欲しい」
「「「はっ!」」」

 最後にアースが口を開く。

 「じゃあこれは今後の話になるんだけど、まず……」

 アースは都市計画について話を始めた。計画はアースの家から各都市に街道を敷き、何かあった場合すぐに知らせに走ってもらうと言うものだった。そのついでに、エルフの区画からダンジョンまでの道も整備し、訓練と財を得ようと計画している事も告げた。街道に関しては全てアースが請け負う事も伝えた。

 それ案に各代表が答える。

「わかりました。エルフについては問題ありません。皆に周知しておきましょう」
「うむ。我ら獣人の町づくりはまだこれからなのでな。そうしてもらえるとありがたい」
「魔族の町はすでに完成しておる。いくらか獣人の町づくりに協力させにいかせようぞ」
「かたじけない。一つよろしく頼む」

 こうして会議は終わり、これから各種族は協力していく事になるのであった。
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