上 下
209 / 227
第20章 神界への訪問者編

03 異変

しおりを挟む
「…おかしい。」

「何がです?」

    愛斗は神界と繋がるゲートを見ながら呟いていた。

「女神達が来なくなってもう1ヶ月だ。あれだけ欲求不満を抱えた女神達がこうもパタリと来なくなるなんておかしいと思わないか?」

「それは…まぁ…。やり過ぎたんじゃないですか?小さい女神様にこれでもかと膣内射精を繰り返し、何度も失神させ、それでも止めなかった事を言いふらされているのでは?」

    その可能性も考えた。が…小さい女神は別として、そこそこ育ってる女神なら気にせず来るのでは?それすらも来ないと言う事は…。

「もしかして神界に何か問題でも起きたか?」

「問題…ですか。例えば?」

「そうだなぁ…。…戦とか?」

「戦ですか。」

「ああ。今までは平和だったからこそ毎日えっち三昧だったけどさ。」

    天使が愛斗に言った。 

「戦ならば天使にも知らせは来る筈です。」

「神同士の争いでもか?」

「はっ!それは…。」

    答えないと言う事はどうやら知らせは来ないらしいな。

「まさか神同士が争いなんて…。」

「いや?あり得るぞ?そもそも俺が居た世界の神話じゃ神同士なんて争ってばかりだったしな。」

「そ、そうなのですか!?」

「おお、私闘、寝取り、浮気なんでもありだったな。うん、ロクでもねぇ。」

「ど、どどどうします!?」

    天使は慌てて愛斗に尋ねた。 

「別にどうも?助けを求められている訳でも無いし、そもそも争っているかも分からないしな。仮に争っているとしてもだ、何も知らせに来ないって事は手助けは不要って事だろ。」

「ま、まぁ…。もし争いになっていたとしたら…類いまれなる力を持つ愛斗様に助力を請いに来る筈ですものねぇ…。」

「ま、そう言う事だ。気にせず続きしようぜ?」

    と、愛斗は天使を抱き寄せ口唇を重ねた。

「もう…♪一大事かもしれないのに…♪」

「俺にはお前達を抱けなくなる方が一大事だっての。ほ~ら…挿入れちゃうぞ~。」

「やぁぁん♪」

    愛斗は天使と身体を重ねる。

「あっあんっ♪まな…愛斗さまぁぁぁぁぁっ!?」

「うぉっ!?い、いきなりどうした!?」

「あ、あああああれっ!あれっ!!!」

    天使がゲートの方を指差し震えていた。

「あん?」

    愛斗が後ろを振り向くと、ゲートに傷だらけの女神がうずくまっていた。

「な、なんだぁ?」

    愛斗は傷だらけの女神に近づく。

「お~い、大丈夫か?【ハイヒール】。」

「う…あ…。こ、此処は…。」

    振り絞る様な声で呟く女神に愛斗が答えた。

「此処は天界。お前は神界と繋がるゲートを潜って来た。で、どうしたんだ?」

「天界…。そうか…、ま、愛斗殿は?」

「俺が愛斗だが?何か用か?」

    天使は何とか身体を起こし愛斗にすがった。

「し、神界が…神界が大変な事にっ!!」

「大変な事?」

「あ、ああ。今から1ヶ月前…突如神界にゲートが開き、そこから邪神とその配下が飛び出して来た。奴等は恐ろしい力を持ち、瞬く間に神界を支配してしまったのだ…っ!私が来たゲートも漸く修理し、何とか一回分の魔力を溜めて来たのだ…。」

    邪神…邪神ねぇ。

「主神はどうした?」

「真っ先に殺されたよ。邪神は今主神の居た神殿を占拠し、男神を集め無理矢理…その…。」

    女神が急に恥ずかしそうにしだした。

「男達を集めて何してんだ?」

「くぅぅぅっ!そのっ!は、配下と無理矢理交わらせ…こ、子作りを…っ!し、しかも…!その光景を神界中に写し出してっ!」

「ってぇと…邪神ってもしかして女?」

「そうだ。邪神もその配下達も全て女だ。」

「ほぉ~。んで…女神達は?」

「…最初は抗って何人か殺されたが…、その時邪神が言ったんだ。手を出さなければ命までは奪わない。その代わり、食糧と男を差し出せと…。」

「そうか。なら何故異変を感じた時に俺を呼びに来なかった。直ぐに来ていれば簡単に何とかしつやったものを。」

「それは…。邪神達は男神を狙っていた。いくら貴方でも1人で何とか出来る訳が無いと…。それに…最後の男神まで失う訳にはいかなかったのだ…。」

    愛斗はゆっくりと立ち上がった。

「くっ…くくくくっ!」

「な、何がおかしい。」

「いやぁ~。これが笑わずにいられるかよ。なぁ、お前等女神は俺が邪神程度に負けると思ってんの?」

「じ、邪神…?程度?」

    愛斗は久しぶりに装備を取り出し身に纏う。

    いつ以来だろうか、装備を纏うのは。愛斗は久しぶりに血を滾らせ女神に言った。

「神界になんぞ行く気は無かったが…困っているお前等を見捨てるのも気分わりぃし…、今回は特別だ。力を貸してやるよ。」

「な、なんて…力だっ!邪神を軽く凌駕しているっ!?」

「当たり前だ。ほら、行くぞ?来たって事は本当は助けて欲しかったんだろう?」

「うっ…。失う訳にはいかないと言っておきながら済まない…!」

「気にするな。同じ神だろう?」

    愛斗は天使に向かって言った。

「良いか、俺達が消えたら直ぐにゲートを破壊しろ。無いとは思うが、万が一邪神とその配下が此方に来たら面倒だからな。」

「畏まりました。しかし…そのゲートは1人しか通れないのでは?」

「んなもん…1人ずつ行きゃ良いんだよ。」

    と、愛斗はゲートに魔力を補充し、女神を中に放り投げた。

「う、うわぁぁぁぁぁ………………」

「む、酷い…。」

    愛斗は気にせず天使に言った。

「良いか、必ず壊せよ?とうっ!!」

    愛斗はそう言い残しゲートに飛び込んだ。

「壊すって…。どうしたら…?と、取り敢えずお水でも掛けようかしら…。水…水…。無いから取り敢えず…。」

    天使はゲートに跨がり身体から水分を放出した。

「はぁぁぁぁぁぁ…♪…ぶるるっ…♪壊れたかしら?」

    天使はゲートから降り文字盤を見る。

「反応なし。よし、壊れたわねっ!あ…でも愛斗様どうやって戻ってくるのかしら?ま、愛斗様だしどうとでもなるわよね♪っと、皆に知らせなくちゃ!」

    無事ゲートを破壊した天使は直ぐ様各長達に報告に向かった。

「邪神…ですか。」

「はい。で、神界は今大変な事になっているらしいです。」

「そう、報告ありがとうね。では…愛斗様がお戻りになられるまでは私達で天界を警備しましょう。ゲートは壊れたかもしれませんが、邪神とその配下が此方に来ないとも限りませんので。」

「「「「はっ!」」」」

    こうして、愛斗は神界へと行く事になったのである。
しおりを挟む
感想 252

あなたにおすすめの小説

【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。  これが全ての始まりだった。 声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。  なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。 加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。  平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。 果たして、芳乃の運命は如何に?

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。 ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。 『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』 『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』 そんな感じ。 『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。 隔週日曜日に更新予定。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~

九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。 ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。 そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。 しかも精霊の力に満たされた異世界。 さて…主人公の人生はどうなることやら。

町娘に転生した乙ゲー嫌いのオタ少女は悪役達から求愛される!?

生ハムうどん
恋愛
大嫌いな乙女ゲームの世界に転生した秋下明音。 転生した世界ではいきなり好感度がカンストしていた! でも町娘に転生したし攻略キャラは絶対好きになるわけないし! そんな中で、主人公と攻略キャラが仲良くしているのをみて落ち込む悪役令嬢に声をかけてしまった! そこからどんどん変わっていくシナリオ。 悪役令嬢に好かれるし、攻略キャラは悪役より悪役っぽいし! こんなのストーリー見たことないんだけど!? 攻略方法教えてよ! 町娘に転生した少女はゲームのストーリーを変えていく! えっ? なんか主人公より主人公してないですか!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

元四天王は貧乏令嬢の使用人 ~冤罪で国から追放された魔王軍四天王。貧乏貴族の令嬢に拾われ、使用人として働きます~

大豆茶
ファンタジー
『魔族』と『人間族』の国で二分された世界。 魔族を統べる王である魔王直属の配下である『魔王軍四天王』の一人である主人公アースは、ある事情から配下を持たずに活動しいていた。 しかし、そんなアースを疎ましく思った他の四天王から、魔王の死を切っ掛けに罪を被せられ殺されかけてしまう。 満身創痍のアースを救ったのは、人間族である辺境の地の貧乏貴族令嬢エレミア・リーフェルニアだった。 魔族領に戻っても命を狙われるだけ。 そう判断したアースは、身分を隠しリーフェルニア家で使用人として働くことに。 日々を過ごす中、アースの活躍と共にリーフェルニア領は目まぐるしい発展を遂げていくこととなる。

処理中です...