上 下
140 / 227
第16章 新学校編

07 深夜徘徊

しおりを挟む
    ミューズと別れた愛斗は、1人街へと向かい、酒を飲んでいた。

「お客さ~ん、ウチはもう終わりだよ~。そろそろお勘定お願いしますよ~…。」

「あん?まだテッペンだろうが。もう閉めるのかよ。ちっ、他行くか。」

「ま、毎度~。」

    愛斗は泥酔しフラフラと街を歩いていた。そこに、同僚であるアーチェが偶然通り掛かった。

「あ、あれ?魔王…様?ど、どうしたんですか?うわっ、酒くさぁっ!?」

「あ…?お前…アーチェか?こんな夜中に何してんの?」

「それは此方の台詞ですよ!?明日は月曜日ですよ?仕事始まるんですよ!?大丈夫なんですか?」 

「あ~…、わり。明日休むわ。とても働く気分じゃねぇし。じゃあな。」

    愛斗は再びフラフラとネオン街へと向かった。

「…どうしたんだろ。滅茶苦茶荒れてるみたい…。何かあったのかな?」

    アーチェは取り敢えず愛斗を見送った。

    早朝、アーチェはモンスターを狩りに行こうと、1人ネオン街を抜け、街の外に向かおうとし、ごみ捨て場で眠る愛斗を発見した。

「…えぇぇぇぇっ!?な、何これ!?す、捨てられてんの!?」

「くかぁぁぁっ、くかぁぁぁぁぁっ…。」

「…捨てられてるなら…持ち帰っても良いよね…。よいしょっ…と。うぅ~!重いっ!!でも…負けるかぁぁぁっ!」

    アーチェは愛斗をズルズルと引きずりながら、色んな場所にぶつけたり、時には階段から落としたりしながらも、何とか自宅アパートへと愛斗を運び込んだ。

「ぜはぁっ、ぜはぁっ!や、やっと…着いたぁっ…。や、ヤバっ…【ヒール】!【ヒール】!【ヒー……………」

    全身傷だらけになった愛斗にアーチェは連続でヒールを掛ける。何とか目を覚ます前に治さないと何をされるか分からないからだ。

    やがて、愛斗はゆっくりと目を覚ました。

「…知らない天井だ…。」

「あ、起きた?お早、先生。」

「い、いたたたっ。頭いてぇ…。」

「飲み過ぎだよ。はい、お水。」

「お、サンキュ。」

    愛斗は水を受け取り、それを一気に飲み干した。

「ぶぶぅぅぅぅぅぅぅっ!げほっ!げほっ!?お前っ、これ水じゃねぇよっ!何出しやがった!?」

「へ?あ、あれ?あはは、ごめんね。それ魔力回復水だったみたい。でも水分には変わりないでしょ?」

「あるわ!魔力回復水には僅かだがアルコールが入ってんだぞ!?知らないのか!?い、いたたたっ…。」

「へぇ~。だから連続で飲むと良い気分になるのねぇ。初めて知ったわ。」

「…はぁ。で、何で俺は此処に?此処は何処だ?」

    アーチェは呆れていた。

「覚えてないの?愛斗さ、ゴミ捨て場で寝てたんだよ?」

「はぁ?何で俺が…ん?待てよ…思い出した。確か…星を見ながら寝ようとして…野外にベッドを置いて寝てた気がする…。」

「は?ベッドなんか無かったわよ?代わりにゴミ袋がしたにあったわ。」

「…ちっ。盗まれたか。しかも変わりにゴミ袋だと?良い度胸だ。ぶっ殺してやんぜ!」

「はぁ…。犯人分からないでしょ?落ち着きなさいよ。」

「はぁ?てか何でお前さっきからタメ口?」

「何でって?そりゃ私が愛斗を拾った持ち主だからじゃない♪愛斗はもう私の所有物なのよ?ふふっ♪」

    今度は愛斗が呆れていた。 

「ゴミ捨て場からゴミを持ち帰るのは犯罪だ。窃盗罪だな。よし、通報しよ…」

「ま、待ってぇぇぇぇっ!ごめんなさいっ、調子にのりましたぁぁぁぁっ!」

    アーチェはいきなり土下座を行使した。

「分ければ良い。ってか誰がゴミだよ!?場所がアレだっただけだ!」

「で、でもほら!もう朝とか寒いし!風邪ひくかなぁって!助けたんだよ!?」

「まぁ…そこは感謝する。でさ…。」

「な、何?」

「もう出勤時間まで10分も無いぜ?」

「へ?あ、あぁぁぁぁっ!?わ、私の無遅刻無欠席がぁぁぁっ!?」

「仕方無い奴だな。ま、俺のせいか。どれ、掴まれ。」

「へ?」

    愛斗はアーチェが掴まったのを確認し、学校前へと転移してやった。

「あ、あれ?」

「あ、先生~。お早うございま~す。」

「お、おはよ。って…【転移】!?は、初めて見た…!」

「ほら、行けよ。遅刻しちまうぜ?」

「あ、う、うんっ!」

    アーチェは急いで職員室へと走って行った。

「あ、転んだ…。ドジだなぁ…。」

    そこに、一台の黒塗りの車がやってきた。

「先生っ!お早うございます!」

「あ?…エリザか。それに…マリアンナにセバスまで。」

    マリアンナが愛斗の前に出て口を開いた。

「お早うアナタ♪良い朝ね。」

「ああ、お早う。これから仕事か?」

「いえ、愛斗様をお迎えに。何でも住んでた場所を出たとか。宜しければ我が家に来ませんこと?歓迎致しますわ。」

「はぁ?…まさか…お前らがミューズに何か吹き込んだんじゃねぇだろうな?」

「いえ、私達は何も。ねぇ、セバス?」

「はい、奥様。」

「先生~、私の家に来て?子供も産まれたんだよ?」

「何?…そうか、あれから1週間経ったか。子供は元気か?」

「はいっ。もう可愛くて♪私達の子ですよ、先生♪ね、一緒に暮らそ?何なら二人目も…♪」

「…はぁ。分かったよ。行けば良いんだろ。連れてってくれ。」

    それを受け、マリアンナは大層喜んだ。

「うふふ、これから楽しい毎日になりそうね♪あ、私ももう産みましたので♪ここ…空ですの♪ですから…ね?」

「はいはい。じゃあ中に入ろうか。」

「~♪セバス、運転宜しくね。少し遠回りで。」

「畏まりました。」

    それから2人は車に乗り込み、座る愛斗にマリアンナが跨がった。

「あぁっ♪これよ…っ♪これが欲しかったのぉっ♪」

「激しいな、そんなに欲しかったのか?」 

「ええっ、私はもうこれじゃなきゃ満足出来ない身体になってしまいましたっ。妊娠しない薬も飲んでますから…抱き放題…♪何度でも射精して下さいね?あんっ♪」

「お前なぁ…。ま、良いか。行く宛も無いし。付き合ってやるよ。それと…屋敷のメイド達もくれよ。」

「欲張りね?良いわ…、私が仕事で居ない時は好きに使って頂戴。そう伝えておくわ。」

「ああ、それと…俺は今まで通り学校に行けるんだよな?」

「ええ、エリザと一緒に通って貰うわ。ボディーガードとしても…ね?」

「なら良い。っと、そろそろだ。」

「あっあっあっ…♪何時でも射精してぇっ♪私はもうアナタのモノなんだからっ♪あっあっ…♪あぁぁぁぁぁっ♪」

    走る車の中、愛斗はマリアンナに大量の精を注いだ。

「はっ…あっ♪これ…よぉっ♪この射精量っ…♪これじゃ無きゃもう満足出来ないのぉっ…♪んっ…ちゅっ♪」

    屋敷に到着すると同時に、マリアンナの卵にも着いた。

「あぁんっ、また着いちゃったぁっ♪もう二人目出来ちゃいましたわ…っ♪」

「残念、これで1週間はお預けだな。」

「もうっ…、遠慮無く射精すんだからぁっ♪そんなに私のここ…気持ち良いのかしら?」

「ん~、産んだばかりで少し緩いが…特に気になる程でも無いしな。なぁ、頼みがあるんだが聞いてくれるか?」

「頼み?何かしら?」

「俺の専属メイドとしてミューズを雇いたい。屋敷にミューズとリオを住ませても良いか?ダメなら…俺は屋敷には住まないし、今後お前とは一切関わらない。さぁ、どうする?」

    マリアンナはやられた…と思った。が、顔には出さず、愛斗の提案を快く受けた。

「専属メイドね、分かったわ。認めます。」 

「そうか、ありがとう。良い奴だからさ、仲良くしてやってくれ。じゃないと…何するかわかんねぇぞ?良いな?」  

「は、はいっ。」

    マリアンナに認めさせた愛斗は、その翌日、ミューズを迎えに行く事にするのであった。
しおりを挟む
感想 252

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スキル『箱庭』を手にした男ののんびり救世冒険譚〜ハズレスキル? とんでもないアタリスキルでした〜

夜夢
ファンタジー
この世界はスキルが全て。 成人の儀式で神様から誰もが一つスキルを授かる事ができる。 スキルを授ける神は様々おり、争いの絶えないこの世界では戦闘系スキルこそ至上と考えられていた。 そしてそれ以外の補助系スキルや生活スキルなど、後発的に習得可能とされるスキルを得た者は世界から冷遇される。 これはそんなスキル至上世界で効果不明なスキル『箱庭』を得た主人公【レイ・イストリア】が家から追放されるもそのスキルを駆使し、世界を平和に導く英雄伝説である。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。

友達になろうとした私のことが、そんなに邪魔ですか?

はまみ
ファンタジー
私、オリヴィア。クラスで浮いた存在の絶世の美少女レイアさんを、なにかにつけてサポートしてきたつもり。 彼女と友達になりたくて。 でも、そのレイアさんから、彼女の邪魔ばかりしていると、言われてしまい… 設定はざっくりです。 貴族などの設定も、実際の厳密なものとは、異なります。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

処理中です...