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第7章 戦争?いや蹂躙だ!

03 マイン王国の現状

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    バーミラはミーア達を魔界に連れて行った後、再び愛斗の所へと戻った。

「無事魔界に届けて参りました。」

「ありがとう。さて、これからマイン王国がどうなっているか調べに行く。バーミラは…無理だな。体力が無さすぎて。」

「遠くから殲滅するのは得意です!」

「帰ったら体力訓練な。」

「えぇぇぇっ…やだぁっ!」

「そうか、残念だなぁ。頑張ったら褒美をやるつもりだったんだけどなぁ。」

「褒美って…なんです?」

「人間界に居る間いつでも要求に応える権。」

「帰ったら頑張ります!ご褒美下さい!」

    なんて現金な奴だ…。愛斗は話を続けた。

「調べる事はまず、マイン王国の住民の様子。それとまだ戦争を続ける気なのかの確認。まだ続ける様なら…俺はあの王を殺る。」

「住民が苦しんでいたら…助けるので?」

「いや、助けない。1人助ければまた1人と、際限が無さそうだし。それと、治安が悪かったら自分を守る為に手は出すかもしれない。後、俺は面が割れているから今回は姿を変えていく。こんな所かな。」

「分かりました。それでは私は一旦魔界に戻ります。体力…つけてきますので、次は必ず役に立ちます!」

「おう、期待してるからな?」

「はいっ!」

    バーミラはゲートを開き魔界へと戻った。

「さてと…漸く全開で動けるな。先ずは姿を変えて…と。」

    愛斗は姿を平凡な一般市民に変えた。

「え~と、認識阻害魔法を使って…と。」

    愛斗は周りから姿を見えない様にした。

「最後に、【フライ】。」

    愛斗は空中に浮かび上がった。

「歩いて移動とかダルいよね。さて、マイン王国は…あっちか。とぉっ。」

    愛斗は空を飛びマイン王国へと向かった。馬車で2ヶ月掛かる道程を愛斗は数時間で到着した。路地裏の人気の無い場所に降り、認識阻害を解除し、何食わぬ顔で街を歩いた。

「ふむ…王都はあまり変わり無い様だ。まぁ自国だったろうしな。他の国を回ろう。」

    愛斗はマイン王国王都から【リーゼロット王国】を目指す事にした。道中、それはそれは沢山の盗賊、山賊、モンスターに襲われた。

「邪魔くせぇぇぇぇぇっ!!!」

    愛斗は周囲に被害が出ない様に、衝撃波のみで敵を倒していく。と言っても、愛斗と敵対して生きている者はいない。食らった衝撃波が強すぎて、肉体は爆散してしまうのだった。

「これが冒険者ギルドが無くなった弊害って奴だな。捕まえる奴や討伐する奴がいないって事は、コイツらには天国みたいなモンじゃん。マイン王国だって治安に人員を割いてる暇は無いだろうしな。占領された国だって自国じゃないから真面目に働かないだろうし…。これを見ると冒険者ギルドって凄いなぁと思うね。ま、俺には関係ないけどなっ!」

    愛斗は遭遇した賊は全て屠り、この世から排除していた。どんな理由だろうが、賊に身を落として稼ぐ様な奴は好きじゃないからだ。やがて、噂になったのか、賊が来なくなった。変わりにモンスターが山の様に襲いかかって来る。

「次から次へと…良く飽きないよな。殺気を込めてもいいが、何でバレるか分かんないしな…。はぁ、面倒くさ…。」

    愛斗のお陰で旧リーゼロット王国までの街道は綺麗になった。

「ここが…リーゼロッテ…?酷いな…。」

    建物は投石によりボロボロ、家は燃やされ、地面に座っている者もちらほら。片腕が無い者、片足が無い者も見られた。上を見上げると焼け落ちた城が見えた。

「酷ぇ…。マイン王国、ここまでやるかよ。しかも、マイン王国の兵が1人も見えない…。どうなっているんだ?」

    愛斗は近くに居た人に話を聞いてみた。

「ちょっと良いか?」

「あ~?なんだよ…。ほっといてくれよ。」

「まぁ、そう言わずにさ、ちょっと話を聞かせてくれよ。金貨5枚でどうだ?」

    男は地面に座る様に促した。

「で、何が聞きたい?分かる事なら答えるぜ。」

「まず、この国の王族と兵士は何処に?」

「王は処刑された。親族は奴隷落ちしてたかな。兵士はアクイーレに連れていかれた。次の戦で前線に出すんだとよ。」

    成る程、兵も騎士も冒険者も居ないから治安が悪化しているのか。

「誰か治安を維持している人は?」

「居るわけねぇだろ。皆好き放題やってるよ。殺人、略奪、レイプ…何でもありだぜ…。お陰で女は逃げるわ、商人は近づかないわで、俺ら一般人は干上がってんのよ。もう地獄だぜ。噂じゃ他の2国も似たような感じらしい。」

「そうか、お前は何処かに逃げないの?」

「金もねぇし、行く場所なんかねぇよ…。そこらに転がってる奴等は大体俺と似たような奴等だ。こうやって死んだ奴はたんまり居るぜ…。」

「成る程、最後だ。王族が居る奴隷売場は何処にある?」

「まさか買う気か?好きだね旦那。」

「そんなんじゃねーよ。」

「確か…噂でアクイーレの奴隷売場に居るって聞いたな。他の2国の王族もそこに居るらしい。」

「成る程成る程。さんきゅ、これお礼な。金貨50枚入ってる。盗まれない様に隠しとけ。」

「い、良いんかよ!?」

「おう。なんならアクイーレまで一緒に行くか?あっちなら兵も居るし安全だろ?」

「ま、マジか!助かるっ!やったぜ!!」

    男は喜んだ。それだけ生きるのが過酷な環境だったのだろう。愛斗は男を連れ、アクイーレへと向かうのであった。

「助かった。命拾いしたよ、兄さん!」

「ついでだし、いいよ。じゃ達者でな。」

    愛斗は男を見送り、街を見て回った。

「懐かしいなぁ。ってもこんなに兵士だらけじゃなぁ。ま、いっか。さて…王族買いに行きますかね。」

    愛斗は奴隷商館へと向かうのであった。 
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