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第3章 楽に生きたい!

02 帰宅?

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    漸く解放された愛斗は馬車に乗り、ホームであるガラテアへと戻った。戻ったその足で先ず冒険者ギルドへと訪れた。

「よ、リリィ姉。ただいま。」

「ま、マナトくん!無事で良かった!取り敢えず話を聞きたいから私の部屋まで来てくれないかな?」

「え~…。早く帰りたいんですけど…。」

「直ぐ終わらせるから!ねっ!お願いよぉっ!」

    リリィは愛斗にすがりつきながら懇願した。

「分かった、分かったから取り敢えず、離れて下さい。」

    愛斗はリリィを引き剥がし、椅子に座らせた。

「で?一帯何があったの?他の冒険者達がいきなりダンジョンが崩れ始めたぁ~って大騒ぎしてたんだけど。」

「そりゃあ…俺がダンジョンコアだったグレゴールを倒したからだな。」

「は?」

「だから、ダンジョン攻略しちまったの、俺が。」

「う、嘘…よね?しかも…グレゴールって…、あの大賢者グレゴール…様?」

「どのグレゴールかは知らんが城に部屋があるグレゴールだな。ダンジョンからいきなり城に飛ばされてこっちもいい迷惑だぜ、全くよ。」

    リリィは愛斗の手を引き、立ち上がった。

「ち、ちょっと来て!ステータスを調べるわよ!」

「え~。面倒くさ…」

「良いから!終わったら帰っても良いから!ね!」

「何だよも~…。分かったよ。行けば良いんだろ…。」

    愛斗は渋々リリィに付き合い水晶の部屋に行った。

「さっ、ステータスを見せるのよっ!」

「…何でそんな偉そうなんだよ…。ほらよ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:椎名 愛斗
種族:人間(異世界人)←()内は本人にしか見えない
職業:夢追い人@レベル9
サブ職業:大賢者(極)
レベル:120
体力:405600/405600  →811200/811200
魔力:450560/450560  →901120/901120
力:102400                     →表示不可能
素早さ:163840             →表示不可能
防御:81120                   →表示不可能
賢さ:表示不可能
運:100/100

魔法
【生活魔法】【全魔法】

スキル
【瞬間記憶能力】【異世界の知識】【魔力制御】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「や、ややややっぱりぃぃぃぃっ!大賢者持ってるぅぅぅぅっ!!」

「はぁ?あ…そういや頭ん中に何か声が響いてたっけ。で?これがどうかしたの?」

    愛斗はさも当然であるかの様に言ってのけた。

「夢追い人だけでも十分レアなのに…更に世界中で1人しかなれない大賢者まで……。マナトくん…多分王様にバレてるわよ。」

「っは!?何でっ!?上手く誤魔化したつもりなんだけど!?」

「それがね、この国の直系の王族は全員【王の眼力】ってスキルを持っているのよ。見るだけで相手の職業を見抜いてしまう力ね。」

「マジかよ!だが何も言わなかったぜ!?」

「今は静観する気かも。国に何か危機が迫った時に徴兵されるかもしれないわ。」

    マジか!俺の異世界ダラダラライフが!!

「な、何とかならないのか!?」

「この国に住んでる以上何ともならないわね。しかも…多分国境の兵達には国から出さない様にしないと指示が行っているかも。」

    おぅ…詰んだ。

「何てこったい…。夢も希望もねぇ…。」

「諦めるしか無いわねぇ~。ギルド辞めて騎士になる?国の為に働いて手柄をたてれば爵位を貰えるかもしれないわよ?」

「んな事!死んでも嫌だ!俺はダラダラ暮らしたいの!ダンジョンに行ったのだって金を稼ぐ為だ!大賢者とか知った事じゃねぇぇぇぇっ!魔族の王とか勇者とか知ったこっちゃねぇんだよ!どうせどっかの国がチート勇者を召喚すんだろ?なら俺の出る幕はねえ!」

「でもね~……ん?魔族の王?何…それ?」

「あ~?あ、これは王様にも言って無かったんだが、もうすぐ魔族の王が復活するらしいよ。んで、それに伴い勇者も現れるらしい。ま、グレゴールが言ってだけだから眉唾だけどさ。」

    リリィの顔が真っ青になった。

「ま、ままままマナトくん!?そ、それ…マジ?」

「ん?あはは、まさか信じてんの?ありえ…」

「ば、ばかぁーっ!?」

「うぉ、何だよいきなり。」

「グレゴール様の予言は的中率100%なのよ!?知らないのっ!?」

「…知らないっす。そもそもグレゴールについてもなぁんにも知らないっす。あれ、マジ…なん?」

    リリィはこくんと頷いた。

「は、はは。だ、大丈夫だって。ゆ、勇者も現れる筈だし!」

「現れる前にこの国が攻め込まれたら?」

「…屋敷だけは守る。」

「はぁぁ…。それ…王様に言わないと国家転覆罪になるわよ?」

「はぁっ!?な、何でだよ!?俺は偶然…!」

「偶然でも何でも!国民は国の危機を知った場合、王に進言しなければいけないの。そう言う法があるのよ。」

    え?マジ?また捕まるの?…俺。

「し、知らなかったんだよぉぉぉっ!り、リリィ姉、何とかしてくれっ!」

「…もう一度王様のトコに行くしかないわね。私じゃその話が真実かどうか判断しかねるし…。」

「そ、そんなぁ~…。折角帰って来たのに…。」

    愛斗はがっくりと崩れ落ちた。

「そんな危険な情報を秘匿しようとするからよ。早い内に気付いて良かったじゃない。今ならまだ間に合う筈よ、忘れてましたって言えば何とか……。」

    その時、ギルド内が急にざわつき始めた。

    ドンドンドンドンッ!!

「な、何だ!?」

「あ~…。間に合わなかったっぽい。」

    リリィは扉の鍵をカチャリと開けた。開いた扉から国家騎士達が中に雪崩込んできた。

「マナト・シーナだな?」

「…人違いです。」

    愛斗は目を反らしながら言った。

「人相バレてんだよ!?何シラッと嘘吐いてんだ!?…ごほん。マナト・シーナ。貴様を国家転覆罪で拘束する。」

    憐れ…愛斗は再び牢屋へと戻る事になったのであった。
  
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