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第12話 ランクアップのために
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ライルは町周辺に現れる魔物退治の依頼を受け、ワイルドウルフ、スライム、蹴り兎を難なく狩りギルドに素材を納めた。
「はい、確かに。これで三連続依頼達成となります。以降は同じ依頼を完了しても数には含まれませんのでお気をつけ下さい」
「はい。あの、オススメの依頼って何かあります?」
「そうですねぇ~……」
受付がライルの問い掛けにこっそりと答える。
「本当は教えられない規則になってますが、ライルさんは将来有望そうなのでちょっとだけ贔屓しちゃいますね。私からのオススメは……」
ありがたい事に次の依頼を紹介してもらえた。
「鉱石採取ですか」
「はい。冒険者の武器や防具を作るためには大量の鉱石が必要になるのはわかりますよね?」
「まぁ……はい」
「なので鉱石類はいつも不足してるんですよ。集めていただくのは【銅鉱石】、【鉄鉱石】、【銀鉱石】、【金鉱石】ですね。金や銀は硬貨などにも使われますし、いつでも買い取りしてますよ。この鉱石採取依頼を完了すると七連続達成となります」
受付の勧めで次の依頼は鉱石四種集めとなった。町から一日程馬車で向かった先に天然の鉱山があるらしい。また、そこには【ロックバット】、【岩トカゲ】、【ジャイアントアント】なる魔物も現れるのだとか。これらを討伐し、十連続依頼達成となる。
だが鉱石採取は一種類につき籠一つ納める必要があるため、普通は一種類ずつ鉱山に通い集める必要がある。
しかしライルには【無限収納】というスキルがあるため、一度でいくらでも鉱石を持ち帰る事が可能だ。
「ありがとうございます。じゃあ明日から鉱山に向かいます。しばらく帰ってきませんが大丈夫ですか?」
「はい。特に期限もありませんし、鉱石採取依頼を進行中でしたら一定期間依頼を受けていないと判断される事もありませんので大丈夫ですよ」
「わかりました」
ライルは鉱石採取の依頼と魔物討伐の依頼を受け町に向かう。目的は鉱石を積める籠だ。
「いらっしゃい、何をお探しで?」
「あ、はい。鉱石を入れる籠を下さい」
「はいよ~」
店員が籠を一つ持ってきてカウンターに置く。
「鉱石採取かい? 見た所ツルハシやランタンも持ってないようだが……」
「あ、大丈夫です。僕魔法使えますから」
「ああ、光魔法を使えるのかい? でもツルハシは必要だろう?」
「……ですね。じゃあツルハシも一つ下さい」
「はいよ~」
ライルはツルハシなど使う気はなかったが怪しまれても困るので買う事にした。籠は銀貨五枚、ツルハシは大銀貨三枚とちょっと痛い出費だ。
ここで硬貨の価値についておさらいしよう。この世界の硬貨は以下の通りだ。わかりやすいように円換算も表記しておく。
・銅貨=十円
・銀貨(銅貨十枚と同価値)=百円
・大銀貨(銀貨十枚と同価値)=千円
・金貨(大銀貨十枚と同価値)=一万円
・大金貨(金貨十枚と同価値)=十万円
・白金貨(大金貨十枚と同価値)=百万円
・黒金貨(白金貨十枚と同価値)=一千万円
・虹金貨(白金貨十枚と同価値)=一億円
となっている。この硬貨は全世界共通であるが、国によって硬貨のデザインが違う。だが重さは統一されており、国から委託された造幣局以外では製造を禁止されている。そしてこれら硬貨を作るためにも鉱石が必要になっており、武器屋や道具屋などと鉱石の奪い合いも起きるのだそうだ。ちなみに、銅貨には銅鉱石、銀貨と大銀貨には銀鉱石、金貨と大金貨には金鉱石、白金貨には白銀鉱石、黒金貨にはアダマンタイト鉱石、そして虹金貨にはオリハルコン鉱石が使われている。虹金貨がやたらと高いのはその鉱石自体が希少であり、中々手に入らないからと言う理由もある。
ライルは籠とツルハシを買い、道中こっそり【無限倉庫】にこれらを収納し宿に戻った。そして受付に明日から鉱山に向かうと告げる。
「鉱山にねぇ。じゃあ部屋は今夜で引き払って良いんだね?」
「はい。しばらく鉱山で野営します」
「あいよっ。気を付けてね」
「はい、ありがとうございます!」
そして翌早朝、ライルは乗り合い馬車に揺られ鉱山へと向かった。鉱山には何人か一緒に向かう冒険者もいた。
「今回こそ見つけるぜ金鉱石!」
「だなぁ~。籠一杯堀当てたらしばらく遊んで暮らせるしな。頑張ろうぜ!」
馬車は途中何度か休みつつ、丸一日かけ鉱山に向かう。移動中彼らのランクを聞いたらCランクだと教えてもらった。鉱石採取はランク関係なく受ける事が出来るらしい。だが依頼達成となるのはEランクでのみだ。それ以上のランクでは買い取りしかしてもらえない。だが常に鉱石類は不足しており、また買い取り価格も通常の依頼達成料よりも高い事から、Cランクに長くいる冒険者はこの鉱石採取を主な稼ぎとしているのだとか。
「ま、もし採取でわからない事があったら俺達に聞いてくれよな。後輩冒険者に優しくするのも先輩冒険者の役割だからな」
「はいっ、ありがとうございます! じゃあ早速質問良いですか?」
「おう」
ライルは先輩冒険者に尋ねた。
「まず、鉱山って好きな場所勝手に掘って良いんですか?」
「良い質問だ。まず、勝手に掘るのはダメだ。鉱山はな鉱員が最初に坑道を掘り岩盤を補強していくんだ。だから掘って良い場所が決まってるんだよ。掘削場所には看板があるからさ、そこ以外では掘っちゃだめだ。ましてや勝手に坑道を拡張するなんてもっての他だからな。気を付けてくれよ? もし勝手に拡張してガスが発生したり落盤したりしたら他の皆にも迷惑がかかるからな」
「な、なるほど! 勉強になります!」
「ははは、俺らも先輩冒険者から教わったんだよ。こうして冒険者同士は繋がっていくんだよ。お互い頑張ろうな」
「はいっ!」
こうして採掘について習いつつ、ライルは馬車に揺られていくのだった。
「はい、確かに。これで三連続依頼達成となります。以降は同じ依頼を完了しても数には含まれませんのでお気をつけ下さい」
「はい。あの、オススメの依頼って何かあります?」
「そうですねぇ~……」
受付がライルの問い掛けにこっそりと答える。
「本当は教えられない規則になってますが、ライルさんは将来有望そうなのでちょっとだけ贔屓しちゃいますね。私からのオススメは……」
ありがたい事に次の依頼を紹介してもらえた。
「鉱石採取ですか」
「はい。冒険者の武器や防具を作るためには大量の鉱石が必要になるのはわかりますよね?」
「まぁ……はい」
「なので鉱石類はいつも不足してるんですよ。集めていただくのは【銅鉱石】、【鉄鉱石】、【銀鉱石】、【金鉱石】ですね。金や銀は硬貨などにも使われますし、いつでも買い取りしてますよ。この鉱石採取依頼を完了すると七連続達成となります」
受付の勧めで次の依頼は鉱石四種集めとなった。町から一日程馬車で向かった先に天然の鉱山があるらしい。また、そこには【ロックバット】、【岩トカゲ】、【ジャイアントアント】なる魔物も現れるのだとか。これらを討伐し、十連続依頼達成となる。
だが鉱石採取は一種類につき籠一つ納める必要があるため、普通は一種類ずつ鉱山に通い集める必要がある。
しかしライルには【無限収納】というスキルがあるため、一度でいくらでも鉱石を持ち帰る事が可能だ。
「ありがとうございます。じゃあ明日から鉱山に向かいます。しばらく帰ってきませんが大丈夫ですか?」
「はい。特に期限もありませんし、鉱石採取依頼を進行中でしたら一定期間依頼を受けていないと判断される事もありませんので大丈夫ですよ」
「わかりました」
ライルは鉱石採取の依頼と魔物討伐の依頼を受け町に向かう。目的は鉱石を積める籠だ。
「いらっしゃい、何をお探しで?」
「あ、はい。鉱石を入れる籠を下さい」
「はいよ~」
店員が籠を一つ持ってきてカウンターに置く。
「鉱石採取かい? 見た所ツルハシやランタンも持ってないようだが……」
「あ、大丈夫です。僕魔法使えますから」
「ああ、光魔法を使えるのかい? でもツルハシは必要だろう?」
「……ですね。じゃあツルハシも一つ下さい」
「はいよ~」
ライルはツルハシなど使う気はなかったが怪しまれても困るので買う事にした。籠は銀貨五枚、ツルハシは大銀貨三枚とちょっと痛い出費だ。
ここで硬貨の価値についておさらいしよう。この世界の硬貨は以下の通りだ。わかりやすいように円換算も表記しておく。
・銅貨=十円
・銀貨(銅貨十枚と同価値)=百円
・大銀貨(銀貨十枚と同価値)=千円
・金貨(大銀貨十枚と同価値)=一万円
・大金貨(金貨十枚と同価値)=十万円
・白金貨(大金貨十枚と同価値)=百万円
・黒金貨(白金貨十枚と同価値)=一千万円
・虹金貨(白金貨十枚と同価値)=一億円
となっている。この硬貨は全世界共通であるが、国によって硬貨のデザインが違う。だが重さは統一されており、国から委託された造幣局以外では製造を禁止されている。そしてこれら硬貨を作るためにも鉱石が必要になっており、武器屋や道具屋などと鉱石の奪い合いも起きるのだそうだ。ちなみに、銅貨には銅鉱石、銀貨と大銀貨には銀鉱石、金貨と大金貨には金鉱石、白金貨には白銀鉱石、黒金貨にはアダマンタイト鉱石、そして虹金貨にはオリハルコン鉱石が使われている。虹金貨がやたらと高いのはその鉱石自体が希少であり、中々手に入らないからと言う理由もある。
ライルは籠とツルハシを買い、道中こっそり【無限倉庫】にこれらを収納し宿に戻った。そして受付に明日から鉱山に向かうと告げる。
「鉱山にねぇ。じゃあ部屋は今夜で引き払って良いんだね?」
「はい。しばらく鉱山で野営します」
「あいよっ。気を付けてね」
「はい、ありがとうございます!」
そして翌早朝、ライルは乗り合い馬車に揺られ鉱山へと向かった。鉱山には何人か一緒に向かう冒険者もいた。
「今回こそ見つけるぜ金鉱石!」
「だなぁ~。籠一杯堀当てたらしばらく遊んで暮らせるしな。頑張ろうぜ!」
馬車は途中何度か休みつつ、丸一日かけ鉱山に向かう。移動中彼らのランクを聞いたらCランクだと教えてもらった。鉱石採取はランク関係なく受ける事が出来るらしい。だが依頼達成となるのはEランクでのみだ。それ以上のランクでは買い取りしかしてもらえない。だが常に鉱石類は不足しており、また買い取り価格も通常の依頼達成料よりも高い事から、Cランクに長くいる冒険者はこの鉱石採取を主な稼ぎとしているのだとか。
「ま、もし採取でわからない事があったら俺達に聞いてくれよな。後輩冒険者に優しくするのも先輩冒険者の役割だからな」
「はいっ、ありがとうございます! じゃあ早速質問良いですか?」
「おう」
ライルは先輩冒険者に尋ねた。
「まず、鉱山って好きな場所勝手に掘って良いんですか?」
「良い質問だ。まず、勝手に掘るのはダメだ。鉱山はな鉱員が最初に坑道を掘り岩盤を補強していくんだ。だから掘って良い場所が決まってるんだよ。掘削場所には看板があるからさ、そこ以外では掘っちゃだめだ。ましてや勝手に坑道を拡張するなんてもっての他だからな。気を付けてくれよ? もし勝手に拡張してガスが発生したり落盤したりしたら他の皆にも迷惑がかかるからな」
「な、なるほど! 勉強になります!」
「ははは、俺らも先輩冒険者から教わったんだよ。こうして冒険者同士は繋がっていくんだよ。お互い頑張ろうな」
「はいっ!」
こうして採掘について習いつつ、ライルは馬車に揺られていくのだった。
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