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第一章 始まりの章
24 帰還
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久しぶりに魔族国へと帰還したオウルは今魔王シリルの前で正座させられていた。
「妾がなぜ怒っておるかわかるかオウルよ」
「さっぱり意味がわかりません」
「た、たわけがぁぁぁっ! 貴様は亜人国に何をしに行った! 胸に手を当ててしかと思い出せっ!」
オウルが亜人国へと向かった理由は人間の扱いについて他国の王はどう考えているか知るためだった。それを知った後に困窮している亜人を救い、迷宮がある周辺を追放されてきた人間のための場所とするために向かっていた。
「思い出したな? ならば問う。貴様、なぜエレナや他の亜人とまぐわっておった!」
「……え?」
「え? ではないわっ! 妾は言ったはずじゃ。貴様を右腕とし妾の夫にするとな! それが何故エレナに先を越されなければならんのじゃ!」
魔王シリルは憤慨していた。そして恐ろしい事に地団駄を踏んでいる床がひび割れている。
「き、貴様もやはりエレナのような見た目の女がいいのじゃな。あれに比べたら妾は童女……!」
「い、いやっ。そんな事は……」
「もう良い……、しばらく顔を見せるな。今貴様の顔を見ていたら殺してしまいそうじゃ」
「くっ! エレナ!」
オウルは指輪からエレナを呼び出した。
「どうしたの──ってあら、シリル様じゃない? なに怒っ……ははぁん?」
「な、なんじゃ!」
エレナは荒れた室内を見て何やら察した。
「あ~……はいはい、なるほどなるほど。ごめんなさいね~シリル様──じゃなくてシリルちゃん?」
「なんじゃとっ!」
「まだだったなんて知らなかったのよ~。悪気はないのよ? 私も他の亜人もね?」
「おのれぇ……っ! 知っておるのかオウル! そやつはなぁ、若く見えるが妾よりはるかにババァ──あ」
エレナの瞳が紅く輝き爪が伸びる。
「だぁれがババァですって? あぁぁぁん?」
「ふ、ふんっ! 事実ではないかっ! 不老不死なだけで実年齢は妾の父様と──」
「お黙りっ! それ以上言ったらわからすわよ!? レベル100しかないシリルなんか一瞬で終わらせるわっ!」
「ほ~う? レベルは100しかないがの、スキルは健在じゃぞ? 白眼でレベル100まで落としてやろうか?」
そこでオウルが睨み合う二人の間に入り叫んだ。
「ま、待って止まって! なんで二人が言い合いしてんのさっ! 悪いのは俺だろっ! こんな事で二人が争う姿なんて見たくないよっ!」
その時だった。レベル100を超えていたオウルが魔王シリルに触れた瞬間、オウルはスキル【魔王眼】をコピーしてしまった。
「ん? んんんっ!? オウル! お主その眼はっ!?」
「眼?」
「あら~、オウル君ったらシリルちゃんの【魔王眼】コピーしちゃったの?」
「えっ!? あ、今触れたからかっ!」
するとこれまで駄々っ子のように喚いていた魔王シリルが沈黙しわずかに頬を赤らめながらオウルを見上げた。
「レベル100を超えたのじゃな」
「あ、ああ。行き帰り森を歩いて魔獣と戦ったりテイムしたりしてたんだ。迷宮にも少しだけ潜ったし」
「……そうか。ようやく魔王眼を渡す事ができた。オウルよ、これよりお主が魔大陸の王じゃ」
「い、いや待ってくれっ。俺は人間だ。人間が魔王だなんて認められるはすがないだろうっ」
「いいや、これは認める認めないの話ではないのじゃ。魔王眼を持つ者が魔大陸を率いる者と千年前に追放された時から決まっているのじゃよ。遊びで魔王なんぞ名乗らんわ」
レベルを制限されそれでもまだ魔大陸にいる誰よりも強い。エレナが不老不死だとしても魔王眼には勝てない。誰よりも強く己を慕う民を愛する者が魔大陸の代表【魔王】なのである。
「取り乱して申し訳なかったのじゃ。これからはお主が魔大陸の王じゃ。願わくば妾の意志を継ぎ魔大陸に住まう者達を導いてやってくれ」
「シリル?」
それだけ告げ魔王シリルは部屋の出口に向かった。
「シリルちゃん? どこ行くのよ」
「魔王の妻にもなれなかった妾が魔王城にいてめ邪魔なだけじゃろう。妾は魔大陸の隅でひっそり暮らすわ」
「……ち、ちょっとオウル君こっち」
「え? は、はい」
「シリルちゃんはまだそこでステイよ!」
「な、なんじゃ」
エレナがオウルに囁やきかける。
「ちょっと、どうすんのよアレ」
「俺に言われてもですね」
「いきなり魔王やれって無理でしょ」
「無理ですね」
「何とかしなさいよ」
「どうすれば……」
「正直嫁なんて何人いても一緒でしょ。人間の王族や貴族なんて平気で側室迎えてるじゃない。オウル君も貴族だったのならわかるでしょ?」
オウルがいたマインズ男爵家は男爵家ながら力のある家だった。上に兄が二人いるがどちらも異母兄弟、父親は三人の妻にそれぞれ子を産ませていた。
「えっとつまり?」
「私は子どもさえ授かれればそれで構わないの。だからオウル君はあの面倒くさい駄々っ子を正妃にしなさい」
「うぇっ!? いやいやいや!? シリル様を正妃に!?」
「魔王カップルの誕生じゃない。ちょっとシリルを見てみなさいよ」
言われて魔王シリルを見るともじもじしながら時折こちらを気にしている様子だった。
「アレ、オウル君にベタ惚れじゃない。大人しく待ってるなんて可愛いと思わない?」
「……全部聞こえてますよねアレ」
「ほら、さっさと堕としてきなさいよ」
「うわっ!?」
オウルはエレナに背中を叩かれ魔王シリルのもとまで吹き飛ばされたのだった。
「妾がなぜ怒っておるかわかるかオウルよ」
「さっぱり意味がわかりません」
「た、たわけがぁぁぁっ! 貴様は亜人国に何をしに行った! 胸に手を当ててしかと思い出せっ!」
オウルが亜人国へと向かった理由は人間の扱いについて他国の王はどう考えているか知るためだった。それを知った後に困窮している亜人を救い、迷宮がある周辺を追放されてきた人間のための場所とするために向かっていた。
「思い出したな? ならば問う。貴様、なぜエレナや他の亜人とまぐわっておった!」
「……え?」
「え? ではないわっ! 妾は言ったはずじゃ。貴様を右腕とし妾の夫にするとな! それが何故エレナに先を越されなければならんのじゃ!」
魔王シリルは憤慨していた。そして恐ろしい事に地団駄を踏んでいる床がひび割れている。
「き、貴様もやはりエレナのような見た目の女がいいのじゃな。あれに比べたら妾は童女……!」
「い、いやっ。そんな事は……」
「もう良い……、しばらく顔を見せるな。今貴様の顔を見ていたら殺してしまいそうじゃ」
「くっ! エレナ!」
オウルは指輪からエレナを呼び出した。
「どうしたの──ってあら、シリル様じゃない? なに怒っ……ははぁん?」
「な、なんじゃ!」
エレナは荒れた室内を見て何やら察した。
「あ~……はいはい、なるほどなるほど。ごめんなさいね~シリル様──じゃなくてシリルちゃん?」
「なんじゃとっ!」
「まだだったなんて知らなかったのよ~。悪気はないのよ? 私も他の亜人もね?」
「おのれぇ……っ! 知っておるのかオウル! そやつはなぁ、若く見えるが妾よりはるかにババァ──あ」
エレナの瞳が紅く輝き爪が伸びる。
「だぁれがババァですって? あぁぁぁん?」
「ふ、ふんっ! 事実ではないかっ! 不老不死なだけで実年齢は妾の父様と──」
「お黙りっ! それ以上言ったらわからすわよ!? レベル100しかないシリルなんか一瞬で終わらせるわっ!」
「ほ~う? レベルは100しかないがの、スキルは健在じゃぞ? 白眼でレベル100まで落としてやろうか?」
そこでオウルが睨み合う二人の間に入り叫んだ。
「ま、待って止まって! なんで二人が言い合いしてんのさっ! 悪いのは俺だろっ! こんな事で二人が争う姿なんて見たくないよっ!」
その時だった。レベル100を超えていたオウルが魔王シリルに触れた瞬間、オウルはスキル【魔王眼】をコピーしてしまった。
「ん? んんんっ!? オウル! お主その眼はっ!?」
「眼?」
「あら~、オウル君ったらシリルちゃんの【魔王眼】コピーしちゃったの?」
「えっ!? あ、今触れたからかっ!」
するとこれまで駄々っ子のように喚いていた魔王シリルが沈黙しわずかに頬を赤らめながらオウルを見上げた。
「レベル100を超えたのじゃな」
「あ、ああ。行き帰り森を歩いて魔獣と戦ったりテイムしたりしてたんだ。迷宮にも少しだけ潜ったし」
「……そうか。ようやく魔王眼を渡す事ができた。オウルよ、これよりお主が魔大陸の王じゃ」
「い、いや待ってくれっ。俺は人間だ。人間が魔王だなんて認められるはすがないだろうっ」
「いいや、これは認める認めないの話ではないのじゃ。魔王眼を持つ者が魔大陸を率いる者と千年前に追放された時から決まっているのじゃよ。遊びで魔王なんぞ名乗らんわ」
レベルを制限されそれでもまだ魔大陸にいる誰よりも強い。エレナが不老不死だとしても魔王眼には勝てない。誰よりも強く己を慕う民を愛する者が魔大陸の代表【魔王】なのである。
「取り乱して申し訳なかったのじゃ。これからはお主が魔大陸の王じゃ。願わくば妾の意志を継ぎ魔大陸に住まう者達を導いてやってくれ」
「シリル?」
それだけ告げ魔王シリルは部屋の出口に向かった。
「シリルちゃん? どこ行くのよ」
「魔王の妻にもなれなかった妾が魔王城にいてめ邪魔なだけじゃろう。妾は魔大陸の隅でひっそり暮らすわ」
「……ち、ちょっとオウル君こっち」
「え? は、はい」
「シリルちゃんはまだそこでステイよ!」
「な、なんじゃ」
エレナがオウルに囁やきかける。
「ちょっと、どうすんのよアレ」
「俺に言われてもですね」
「いきなり魔王やれって無理でしょ」
「無理ですね」
「何とかしなさいよ」
「どうすれば……」
「正直嫁なんて何人いても一緒でしょ。人間の王族や貴族なんて平気で側室迎えてるじゃない。オウル君も貴族だったのならわかるでしょ?」
オウルがいたマインズ男爵家は男爵家ながら力のある家だった。上に兄が二人いるがどちらも異母兄弟、父親は三人の妻にそれぞれ子を産ませていた。
「えっとつまり?」
「私は子どもさえ授かれればそれで構わないの。だからオウル君はあの面倒くさい駄々っ子を正妃にしなさい」
「うぇっ!? いやいやいや!? シリル様を正妃に!?」
「魔王カップルの誕生じゃない。ちょっとシリルを見てみなさいよ」
言われて魔王シリルを見るともじもじしながら時折こちらを気にしている様子だった。
「アレ、オウル君にベタ惚れじゃない。大人しく待ってるなんて可愛いと思わない?」
「……全部聞こえてますよねアレ」
「ほら、さっさと堕としてきなさいよ」
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オウルはエレナに背中を叩かれ魔王シリルのもとまで吹き飛ばされたのだった。
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