スキル『箱庭』を手にした男ののんびり救世冒険譚〜ハズレスキル? とんでもないアタリスキルでした〜

夜夢

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第46話 世界樹の迷宮

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 世界樹と迷宮核の融合から半日後、レイの脳内に迷宮完成のアナウンスが流れた。そのアナウンスは箱庭独自の迷宮ルールも教えてくれた。

 まず一つ目。ここ【世界樹の迷宮】は外界にある迷宮とは違いスタンピードが起きない仕様になっている。

 次に二つ目。出現する魔獣のレベルは階層と同じレベルで統一される。つまり地下一階なら魔獣はレベル1。地下十階でレベル10となる。

 この世界には人によりレベル上限が異なっており、現在確認されている最高レベルは100である。しかしこのレベル上限はアイテムやスキルにより突破する事が可能だ。

 次に三つ目。得られる宝について。得られる宝は深く潜る事でより稀少な物へと代わっていく。そして中身はこの世界に存在している全ての物がランダムで手に入る仕組みとなっている。

 次に四つ目。世界樹の迷宮は十階層ごとにボス部屋が配置されている。ボスの強さはその階層プラス1。そして十階層と十一階層の間には必ずセーフティエリアがあり、そこには地上の入り口前へと戻るための転移魔法陣が設置されている。

 次に五つ目。この迷宮では死ぬ事はない。挑戦者の体力値と同等の防御壁が展開され、ダメージを受けると代わりに防御壁のゲージが減る。このゲージが破られると同時に取得物は全て没収され地上へと強制転移させられる。

 最後に六つ目。この迷宮にいる魔獣は幻影であり、使役する事はできない。そして迷宮の外へと連れ出す事もできない。

 以上が世界樹の迷宮におけるルールだ。

「聞いてる? リリー」
「き、聞いてるなのっ」

 レイは卵に魔力を注ぐリリーに迷宮のルールを説明していた。

「つまり死なない訓練所なのっ。無茶しなきゃ宝も持ち帰れるし、自分がどれだけ戦えるかわかるなのっ」
「聞いてたか。うん、それで合ってる。これで良い訓練場所ができたね。これから先仲間が増えたらここで強くなってもらえるね。リリーも遠慮なく使っていいよ」
「卵が孵ったら修行に連れて行くなのっ」
「ははっ、それは良いね。無事に孵ると良いな」
「うんなのっ」

 そうして翌朝、レイは箱庭からでて宿場町に向かった。そこで迷宮を調査した結果を宿屋の主人に告げた。

「じゃあもう迷宮はないんですか?」
「はい。生まれたてとはいえ大変危険だったもので」
「よ、良かった。これで安心して宿を続けられます。ありがとうございました!」
「いえいえ。あ、僕これからルーベルに向かうので報告はお願いしても良いですか?」
「もちろんです。国から調査隊が来ましたら私から説明しておきますよ。それで貴方様のお名前は……」
「僕は冒険者のレイです。ではもう行きますね」
「ははっ、良い旅を」

 宿屋の主人は小さくなっていくレイの背を見えなくなるまで眺めていた。

「あんな冒険者もいるんだなぁ。報酬の話も一切しなかったし……。聖人君子かはたまた神の使いか……。冒険者レイか。本当にありがとうっ」

 そうして宿場町の問題を片付けたレイは再び街道を東へと進んでいった。

「おや? この香りは……」

 数日歩くと潮の香りが漂ってきた。レイは駆け足になり丘の上から眼下を見下ろした。

「海だ! あれが港町ルーベルか~。結構大きな町だ!」

 坂道を下った先に白く美しい町並みが見える。海岸には漁船らしき船がいくつも並び、大きな倉庫が建ち並んでいる。外壁は陸側のみで海側には壁がない。

「ここからでも賑わっている人の姿が見えるなぁ。これは楽しみだ」

 ルーベルでの目的は主に海産物の入手だ。レイのいたイストリア領は内地にあり新鮮な海産物とは縁遠かった。

 レイは心なしか足早に丘を下りルーベルの門番にヴェルデ王から賜った勲章を提示した。

「そ、その勲章! もしやあなた様はレイ様では!?」
「え? あ、はい。冒険者のレイです」
「よ、よくいらして下さいました!」
「へ?」

 勲章一つでここまで諸手をあげて歓迎されるものかと思ったが門番はいきなり頭を下げた。

「お願いしますっ! ルーベルが抱える問題を解決していただきたくっ!」
「も、問題?」
「はい」

 門番は頭を上げ事情を口にした。

「丘の上から町を見た時何か異変に気付かれましたか?」
「う~ん……特には」
「岸に漁船が沢山停泊してはいませんでしたか?」
「あ、そう言えば確かに」
「実は今海に危険な魔獣がいて漁に出られていないのです」
「な、なんだって!? じゃあ新鮮な海産物は……」
「今はほぼありません。浜で採れる貝類しかなく……」
「そ、そんな……くぅぅっ!」

 海産物目当てに足を運んだがその海産物がない。レイはがっくりと肩を落とした。

「あ、あの~……」
「あ……ごめん。海産物がないって知ったショックが大きくて……。それで、危険な魔獣とはいったい……」

 門番は身体を震わせながら口を開いた。

「シーサーペントの番です」
「シーサーペント!? 海のドラゴンと言われてるあの!? なぜこちら側の海にそんな魔獣が!?」
「理由はわかりません。これは冒険者ギルドの推測ですが、シーサーペントは番で現れました。ここから考えるに安全なこちら側の海で出産するためかと」
「なるほど。そうなるとかなり危険ですね。出産間近ともなれば母体はかなり気が立っているはず。近寄れば海の藻屑ですね」
「はい。しかし海産物が採れなくなればルーベルはたち行かなくなってしまいます。詳しくは領主の館でお聞き下さい」
「……わかった。館まで案内してもらえますか?」
「ははっ! では私が先導いたします!」

 こうしてルーベルに到着したレイはまるで呪われているかのごとくトラブルに巻き込まれていくのだった。
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