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春休み編
第六話※
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「はぁ……はぁ………………」
伊都は腹に来る圧迫感に耐えていた。
部屋のアメニティにあった潤滑剤を使って吾妻の指が侵入してきたのは三十分くらい前で、ようやく今、吾妻が伊都の腹のナカにいる。
「伊都……」
眉間にシワを寄せて耐えているような表情に、情緒もなにもなく、吾妻はただ無理強いをさせているのではないかと伊都に覆いかぶさり抱きしめた。
「痛いなら、やめよう、な?」
「だめ……、やめるな」
顔をあげて伊都を見る。
「ようやく、ここまで来たんだから……」
「いと……」
「もっと早くに……こう、したかった」
その言葉に吾妻が戸惑う。
「だめ、抜くな……っ」
伊都が吾妻の腰を掴んだ。
「吾妻ちょっとだけ、起きて……?」
伊都に言われるがまま上体を起こすと伊都も片肘をついて残っている潤滑剤を結合部分に垂らした。
「あ、ずま、動いて」
垂らした潤滑剤を伊都の細い中指が塗りつけていく。
顔を赤らめて、足を広げて、吾妻の硬いものを挿し込まれ、その結合部分を指で確かめている。
ドクリと吾妻は硬さを増した。
それが分かったのか伊都は吾妻と視線を絡める。
吾妻は伊都の嫌だということはしたくない。
思うようにしたいということも、内心は無理強いはしたくないのだ、いざとなったら弱気になるのも吾妻。
伊都はそれを分かってる。
腹をくくってしまえば強いのは伊都のほうだった。
子どもの頃からいじめられていたのは吾妻で、それを無鉄砲にケンカして守っていたのは伊都なのだから。
吾妻は伊都の裏ももに手を差し込み伊都の方へ少しだけ倒し自身の体重をかけより密着させる。
「んあ……っ……ん…………」
伊都はさらなる圧迫感に仰け反った。
「いと……」
潤滑剤のヌチャっという音が聞こえる。
「う、ごいて……」
ゆっくりと引き抜き、そしてまたゆっくりと挿し入れる。
吾妻がそのたびに伊都の柔らかい内ももを掴む。
「あぁ…………っ、いと……」
吾妻にとってはこの浅くゆっくりとしたストロークが快感へ導く、イッてしまわないように耐えることが難しい。まずは伊都が気持ちよくならなければ意味がない。しかし昨夜もイッていない吾妻には、かなりの試練だった。
伊都も気持ちよくならなければ意味はない。
吾妻はグイっと挿し込むと覆いかぶさり伊都の感じやすい胸の突起に吸い付いた。
「んあ……っっ」
いきなりの刺激に伊都がこちらを見た。……と同時に伊都のナカが吾妻を強く締め付けた。
「くっ、いとぉ…………だめ、イクから」
「だ、って……あ、ずまが」
「俺、挿れてるだけでマジでイキそうなんだって」
いつもの片眉ではなく、両眉を下げて情けないとばかりに笑った。
「吾妻、イッて」
今度はわざとナカを締めた。
「あっ……くそ、やだ、いかない」
「イケって」
「伊都」
吾妻の目の色が少し変わった。伊都はヤバイと思ったがもう無理だ。吾妻が突然ナカから抜かれる。
「あずま…………?」
伊都が不安そうに吾妻を見ると吾妻は赤黒くいきり立つソレに潤滑剤を塗りたくりながら伊都の入り口に先端を撫で付けてきた。
あんな赤黒くなった吾妻を見たことがない、それが間もなくナカに入ろうとしている。伊都のその期待が伊都の体に表れる。先程イって頼りなさげに項垂れていた伊都のそれが硬さを復活させていたのだった。
吾妻が気づいてそれにキスをすると伊都の太ももを大きな手ががっしりと掴むと一気にナカに入ってきた。
「んぁぁ………、んっ、んっ、ふ……っ」
伊都が仰け反るとその首筋に吾妻が噛み付く。厚い舌でなぶる。伊都は今までにないほどに締め付け吾妻にしがみついた。吾妻の腰の動きに合わせて伊都の鼻から抜けるくぐもった声だけが聞こえる。
「気持ちいいか? いと……っ」
「…うんっ、変な、感じだ、けど、気持ちいいかも」
吾妻は胸の突起に吸い付いた。伊都の変な感じなものを少しでも和らげるように…。
「あっ、あっ……」
「いとぉ………………」
胸にしゃぶりつく吾妻の髪を掻き抱く。足の間にいる愛おしい男を挟み込み離さない。
「………いとぉ、………いかそうとしてんな」
「僕で…………いってよ」
はぁーっと大きなため息が漏れる。
伊都とは、なんて罪深い生き物なんだろう。
吾妻は細心の注意を払いながらゆっくりと腰を動かし達した。
伊都はようやく吾妻が達したことに安堵しその大きな身体を抱きしめた。
「伊都、マジでごめん……」
「ん………?」
微睡みの中にいた伊都が引き戻される。
身体はすっかり吾妻によってきれいになっていた。
「あ…吾妻、ごめん、ありがと………」
また頭がぼーっとする。
「伊都、痛くなかったか?今は痛いか?病院行く?」
吾妻は横たわる伊都の隣に座っていた。ずっとそうしててくれていたのだろうか。
「大丈夫だって」
「本当か?」
「気にしすぎ、最初の威勢はどうしたんだよ」
伊都が大きく腕を伸ばすとその胸に飛び込んだ吾妻。
大きな背中を優しく撫でる。
「僕は嬉しかったから」
「うん…」
「吾妻も嬉しかったろ?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、もうちょっと休もう……?」
「うん」
今度は吾妻が伊都の肩を抱いて腕枕した。
「伊都、あいしてるよ」
「ん…」
吾妻の温かい胸に頬をつけるとそのまま眠りに誘われた。
伊都は腹に来る圧迫感に耐えていた。
部屋のアメニティにあった潤滑剤を使って吾妻の指が侵入してきたのは三十分くらい前で、ようやく今、吾妻が伊都の腹のナカにいる。
「伊都……」
眉間にシワを寄せて耐えているような表情に、情緒もなにもなく、吾妻はただ無理強いをさせているのではないかと伊都に覆いかぶさり抱きしめた。
「痛いなら、やめよう、な?」
「だめ……、やめるな」
顔をあげて伊都を見る。
「ようやく、ここまで来たんだから……」
「いと……」
「もっと早くに……こう、したかった」
その言葉に吾妻が戸惑う。
「だめ、抜くな……っ」
伊都が吾妻の腰を掴んだ。
「吾妻ちょっとだけ、起きて……?」
伊都に言われるがまま上体を起こすと伊都も片肘をついて残っている潤滑剤を結合部分に垂らした。
「あ、ずま、動いて」
垂らした潤滑剤を伊都の細い中指が塗りつけていく。
顔を赤らめて、足を広げて、吾妻の硬いものを挿し込まれ、その結合部分を指で確かめている。
ドクリと吾妻は硬さを増した。
それが分かったのか伊都は吾妻と視線を絡める。
吾妻は伊都の嫌だということはしたくない。
思うようにしたいということも、内心は無理強いはしたくないのだ、いざとなったら弱気になるのも吾妻。
伊都はそれを分かってる。
腹をくくってしまえば強いのは伊都のほうだった。
子どもの頃からいじめられていたのは吾妻で、それを無鉄砲にケンカして守っていたのは伊都なのだから。
吾妻は伊都の裏ももに手を差し込み伊都の方へ少しだけ倒し自身の体重をかけより密着させる。
「んあ……っ……ん…………」
伊都はさらなる圧迫感に仰け反った。
「いと……」
潤滑剤のヌチャっという音が聞こえる。
「う、ごいて……」
ゆっくりと引き抜き、そしてまたゆっくりと挿し入れる。
吾妻がそのたびに伊都の柔らかい内ももを掴む。
「あぁ…………っ、いと……」
吾妻にとってはこの浅くゆっくりとしたストロークが快感へ導く、イッてしまわないように耐えることが難しい。まずは伊都が気持ちよくならなければ意味がない。しかし昨夜もイッていない吾妻には、かなりの試練だった。
伊都も気持ちよくならなければ意味はない。
吾妻はグイっと挿し込むと覆いかぶさり伊都の感じやすい胸の突起に吸い付いた。
「んあ……っっ」
いきなりの刺激に伊都がこちらを見た。……と同時に伊都のナカが吾妻を強く締め付けた。
「くっ、いとぉ…………だめ、イクから」
「だ、って……あ、ずまが」
「俺、挿れてるだけでマジでイキそうなんだって」
いつもの片眉ではなく、両眉を下げて情けないとばかりに笑った。
「吾妻、イッて」
今度はわざとナカを締めた。
「あっ……くそ、やだ、いかない」
「イケって」
「伊都」
吾妻の目の色が少し変わった。伊都はヤバイと思ったがもう無理だ。吾妻が突然ナカから抜かれる。
「あずま…………?」
伊都が不安そうに吾妻を見ると吾妻は赤黒くいきり立つソレに潤滑剤を塗りたくりながら伊都の入り口に先端を撫で付けてきた。
あんな赤黒くなった吾妻を見たことがない、それが間もなくナカに入ろうとしている。伊都のその期待が伊都の体に表れる。先程イって頼りなさげに項垂れていた伊都のそれが硬さを復活させていたのだった。
吾妻が気づいてそれにキスをすると伊都の太ももを大きな手ががっしりと掴むと一気にナカに入ってきた。
「んぁぁ………、んっ、んっ、ふ……っ」
伊都が仰け反るとその首筋に吾妻が噛み付く。厚い舌でなぶる。伊都は今までにないほどに締め付け吾妻にしがみついた。吾妻の腰の動きに合わせて伊都の鼻から抜けるくぐもった声だけが聞こえる。
「気持ちいいか? いと……っ」
「…うんっ、変な、感じだ、けど、気持ちいいかも」
吾妻は胸の突起に吸い付いた。伊都の変な感じなものを少しでも和らげるように…。
「あっ、あっ……」
「いとぉ………………」
胸にしゃぶりつく吾妻の髪を掻き抱く。足の間にいる愛おしい男を挟み込み離さない。
「………いとぉ、………いかそうとしてんな」
「僕で…………いってよ」
はぁーっと大きなため息が漏れる。
伊都とは、なんて罪深い生き物なんだろう。
吾妻は細心の注意を払いながらゆっくりと腰を動かし達した。
伊都はようやく吾妻が達したことに安堵しその大きな身体を抱きしめた。
「伊都、マジでごめん……」
「ん………?」
微睡みの中にいた伊都が引き戻される。
身体はすっかり吾妻によってきれいになっていた。
「あ…吾妻、ごめん、ありがと………」
また頭がぼーっとする。
「伊都、痛くなかったか?今は痛いか?病院行く?」
吾妻は横たわる伊都の隣に座っていた。ずっとそうしててくれていたのだろうか。
「大丈夫だって」
「本当か?」
「気にしすぎ、最初の威勢はどうしたんだよ」
伊都が大きく腕を伸ばすとその胸に飛び込んだ吾妻。
大きな背中を優しく撫でる。
「僕は嬉しかったから」
「うん…」
「吾妻も嬉しかったろ?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、もうちょっと休もう……?」
「うん」
今度は吾妻が伊都の肩を抱いて腕枕した。
「伊都、あいしてるよ」
「ん…」
吾妻の温かい胸に頬をつけるとそのまま眠りに誘われた。
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