恋人契約~愛を知らないΩがαの愛に気づくまで~

Gemini

文字の大きさ
上 下
69 / 98
休息

第六十九話※

しおりを挟む
「ちょ──、須賀さん……っ!……あっ」

 あっという間に身体を翻され壁に向けらてしまった。背中から須賀に挟まれて身動きがとれない。須賀の手がバスローブの裾を引き上げると須賀の手のひらが太ももの外側を這うのが分かった。それがだんだんと上へ這っていき俺の尻に到達すると、耳元で須賀が熱い溜息を漏らす。

「……すべすべだよ、雪」

 そう言いながら俺の尻を撫でた。

「──ンッ」

 今度は軟軟と揉まれると俺の腹がきゅうっと疼いた。理性とは裏腹に俺の腰は後ろへと突き出すような仕草をしてしまう。まるで須賀の熱いものを強請るように。

「雪……。少しだけ、味見させて……」

 もう片方の手で髪を撫でられ、誘われるように顔だけ後ろを向ける。妖しげな眼差しを向ける須賀にめいっぱい首を伸ばして口付けをせがんだ。すぐに須賀の舌が俺を迎えに来て口内に侵入する。

 相変わらず壁に押し付けられながら俺は混じり合う蜜をゴクリと飲み込んでは腰を擦り寄せた。


「────ンンッ」

 バスローブから肩が抜けて首筋を厚い舌で舐められ背筋にビリビリと電気が走ったよう。

 バスローブがパサリと床に落ちる。須賀の体温が直接素肌に感じると多幸感と同時に、ビターなαのフェロモンが鼻腔を擽りもう自分じゃないみたいに体が熱くなる。

 壁との隙間に須賀の手が入り込み、芯を持ち始めた俺の熱に触れる。

「────はぁ……」

 訪れた快感に俺は溜息が出た。ビクンと身体は跳ねて太ももは小さく震えだす。すると後ろからの圧が無くなり壁と離れる。
 須賀の大きな手のひらが俺の胸を抑えて後ろに凭れるように促した。少し戸惑うとすぐにどっしりとした胸に抱かれて、抑えていた手が俺の胸を弄るともう不安など吹き飛んだ。摘んだり優しく抓られるたび太ももが痙攣する。

「雪……っ」

 後ろから両手で胸を鷲掴みにされそのまま親指で突起をこねられると意識が飛びそうに思わず顎をあげる。こんな平らな胸、飾り程度のものでも、須賀に触れられると気持ちよさに身をよじってしまうほどで。
 肩に乗せられている須賀の顔に手を伸ばして頬をさすった。

「すが……さ……ん……」 
「味見だけだよ、……雪」

 ──そんなっ、

「──いじわ……るっ」 

 俺は心の中で言っていたつもりだったのに、もうそれは俺の口から溢れてしまっていたらしい。いきなり須賀の熱い剛直が双丘の間に滑り込み、俺の後孔を掠める。俺は思わず息を呑んだ。

「───────ッ」

 意地悪く、焦らすように入り口を先端が何度も撫でられる。

 俺は前から手を伸ばしてその犯人を捕まえようとした。

「おい、雪……」

 見下ろすと俺の股下から須賀の赤黒い剛直が顔を出していた。

 ──これが須賀の……。

 先を握ると人の体温なのかと思うくらい熱くて、ドクドクと脈が手のひらに伝わってもっと根元へと手を伸ばす。
 その姿勢が須賀に腰を突き出していることも知らず、俺は欲のままに須賀の昂ぶりを捕まえる。

 そういえば須賀のいくところを見たことがない。

「須賀さん……いって……?」
「雪、今夜は……」 
「俺で、いってよ……おねがい……」
「雪──っ」

 須賀も俺で興奮してくれてるなら、須賀にも気持ちよくなってほしい。発情期にしか挿れないというのなら……。

 俺は恥ずかしさより須賀にも気持ちよくなってほしかった。

 少し間をおいてから、須賀は俺と自身の下半身に何かを塗りつけた。いい香りがしてそれがさっき自身を洗ったボディーソープだと思い出す。それを二人に塗りつけていたのだ。
 そしてゆっくりと俺の股の間に侵入を開始した。後ろから俺の腰を掴みゆっくり、ゆっくりと抜き挿しをする。

 ──なんだこれ……

 股の下に手をやって須賀が滑り込んでくるのを指先で撫でながら、俺は自分の下半身に手を伸ばす。いきたくてたまらない。すると後ろから須賀に手首を掴まれそのまま壁に手を突かされる。

「……雪はそのままで……」

 言われる通り手をそのままにしていると背中にキスをしながら須賀の手がまた前に侵入し、俺の小さなモノを握った。

「────アァッ」

 ぬるぬるとした手に触られるとすぐに達してしまいそうになる。その手に合わせるように須賀の腰も徐々に早くなると、たまにパンパンっと肌がぶつかる音がした。
 強く打ち付けられると蕾が擦られてなんとも言えない快感が襲う。

「だめ…………須賀……さ……イッ…………っ」
「私もだ──────っ」

 震える俺の太ももの内側でどくどくっと須賀は欲を吐き出していた。
  




 ──あ……、須賀さんの……っ


 震える内股に白濁がつぅっと垂れてくる感じがした。手を伸ばしてそれを指で掬い無意識にそれを口に運ぼうとして、その手首を捕まえられた。





しおりを挟む
初めて挑戦しましたオメガバース作品です。この世界にもαとΩが居たらどんな世界なのだろうと思って書きはじめました。『Maybe Love』の九条吾妻くんと、そのお父さんが友情出演致しました。須賀の幼馴染の堤の恋の話最後の恋煩いもあります。合わせてお楽しみください。
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」  俺にだけ許された呼び名 「見つけたよ。お前がオレのΩだ」 普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。 友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。 ■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話  ゆるめ設定です。 ………………………………………………………………… イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

ぜんぶのませて

はち
BL
Ωの大学生、吉井が帰宅途中に出会ったのは、体調の悪そうなαの羽鳥だった。羽鳥を何とか家に送った吉井だったが、羽鳥にはある秘密があった。 何でも許せる方向け。 攻は母乳が出るαです。 母乳が出るα 羽鳥保(はとりたもつ) 29歳 会社員 しっかり者Ω 吉井誉(よしいほまれ) 22歳 大学生 pixivにも掲載中

処理中です...