170 / 230
170 高校生活も残り少なく
しおりを挟む
カナと琴音は、授業を終えて駅を目指す。
両手にはバッグを提げている。明日から高三の授業がなくなるからだ。
体操服やら、机に放り込んだままの教科書類。返却された提出物。けっこう荷物は多い。
今度クラス全体が登校するのは、卒業式の日だけだ。
「明日からやっぱり大使館暮らし?」
琴音が聞く。
「両親の部屋代がもったいない。
引っ越しは、卒業式が終わってからにしようと思ってる」
琴音の表情は曇る。
「カナはいいよね。両親公認だから。
カナが引っ越したら、ちょっと困るな。
あんたの部屋の、転移魔法陣が使えなくなる」
琴音の両親は、娘の自由を認める方だが、しょっちゅう外泊をするわけにいかない。
「カナんちで泊まる」
と言えば、問題なく外泊できたが、「元ラブホ大使館で泊まる」は、さすがに許してもらえない。
また、あの大使館は、へんぴな場所にある。カナの家なら二駅だが、バスの具合で一時間はみないと。
琴音が「軟弱者」で、ふらふら心が定まり切らないのは、家族のしがらみが大きい。
十九人プラス予約済みのフミ。二十人もの嫁がいる俊也を、家族に紹介するのは、どう考えても無理だ。
職業は王様だし。
「そうだよね……」
その辺の琴音の事情も、カナは理解している。
だが、琴音のために、実家にとどまろうとまでは思えない。
「あのさ、俊也さん、私を嫁にしてくれると思う?」
琴音は思い切ってそう言った。
「琴ちゃんのしっかりした意思があったら。
俊也さんからは切り出せない。
わかるでしょ?」
「二十人だもんね。はぁ~~~、悩ましい。
いっそマジで妊娠しちゃうか。
勘当されるかもだけど」
カナは思う。半分以上マジだ。
「私の部屋の魔法陣、残しておく。
両親に話して合鍵渡しておくから、あなたが作ってるぬいぐるみ、急いで完成しなさい。
猫又大先生の抜け毛、もらっておく。
私のプリンちゃんより、高性能な魔法のぬいぐるみになるよ」
琴音にとって、いいのだろうかと思いながら、カナはそう言ってしまった。
「あ~ん、カナ、あんたを一生愛する!」
琴音は荷物がなかったら、抱きつきたい気分だった。
ちなみに、翌日琴音は、失神するまでおしおきされた。
なんと、カナより一発多くいただけた! いつもは嫁優先だったが……。
もう離れられない! 全くうれしいお仕置きだった。
味をしめた琴音は思っている。
適度に俊也さんの嫉妬心をくすぐるのは有効だ。計画を立てよう。
たとえば、卒業式の後、打ち上げをやろうかな、なんてね! 男女混合で……。
カナも巻き込んだら、一晩中、なんてこと、あるかも……。
カナと百合的に絡むのも、超いい感じだったし、俊也さん、超張り切った。
カナ、おっぱいやあそこいじったら、超いい声で鳴くんだもん! 立派に若妻の悶えだよ!
いじってる私の無防備な後ろから……、や~ん! またほしくなっちゃった!
琴音のピンク色妄想はふくらむ。
俊也をそれほど経験していない琴音は、彼が超無理をして、睡魔と戦っていたことを知らなかった。
琴ちゃん、俊也君は、体力的に二徹三徹可能なのですが、満足したら眠ってしまう、猫属性はどうしようもないのです。悪しからず。
両手にはバッグを提げている。明日から高三の授業がなくなるからだ。
体操服やら、机に放り込んだままの教科書類。返却された提出物。けっこう荷物は多い。
今度クラス全体が登校するのは、卒業式の日だけだ。
「明日からやっぱり大使館暮らし?」
琴音が聞く。
「両親の部屋代がもったいない。
引っ越しは、卒業式が終わってからにしようと思ってる」
琴音の表情は曇る。
「カナはいいよね。両親公認だから。
カナが引っ越したら、ちょっと困るな。
あんたの部屋の、転移魔法陣が使えなくなる」
琴音の両親は、娘の自由を認める方だが、しょっちゅう外泊をするわけにいかない。
「カナんちで泊まる」
と言えば、問題なく外泊できたが、「元ラブホ大使館で泊まる」は、さすがに許してもらえない。
また、あの大使館は、へんぴな場所にある。カナの家なら二駅だが、バスの具合で一時間はみないと。
琴音が「軟弱者」で、ふらふら心が定まり切らないのは、家族のしがらみが大きい。
十九人プラス予約済みのフミ。二十人もの嫁がいる俊也を、家族に紹介するのは、どう考えても無理だ。
職業は王様だし。
「そうだよね……」
その辺の琴音の事情も、カナは理解している。
だが、琴音のために、実家にとどまろうとまでは思えない。
「あのさ、俊也さん、私を嫁にしてくれると思う?」
琴音は思い切ってそう言った。
「琴ちゃんのしっかりした意思があったら。
俊也さんからは切り出せない。
わかるでしょ?」
「二十人だもんね。はぁ~~~、悩ましい。
いっそマジで妊娠しちゃうか。
勘当されるかもだけど」
カナは思う。半分以上マジだ。
「私の部屋の魔法陣、残しておく。
両親に話して合鍵渡しておくから、あなたが作ってるぬいぐるみ、急いで完成しなさい。
猫又大先生の抜け毛、もらっておく。
私のプリンちゃんより、高性能な魔法のぬいぐるみになるよ」
琴音にとって、いいのだろうかと思いながら、カナはそう言ってしまった。
「あ~ん、カナ、あんたを一生愛する!」
琴音は荷物がなかったら、抱きつきたい気分だった。
ちなみに、翌日琴音は、失神するまでおしおきされた。
なんと、カナより一発多くいただけた! いつもは嫁優先だったが……。
もう離れられない! 全くうれしいお仕置きだった。
味をしめた琴音は思っている。
適度に俊也さんの嫉妬心をくすぐるのは有効だ。計画を立てよう。
たとえば、卒業式の後、打ち上げをやろうかな、なんてね! 男女混合で……。
カナも巻き込んだら、一晩中、なんてこと、あるかも……。
カナと百合的に絡むのも、超いい感じだったし、俊也さん、超張り切った。
カナ、おっぱいやあそこいじったら、超いい声で鳴くんだもん! 立派に若妻の悶えだよ!
いじってる私の無防備な後ろから……、や~ん! またほしくなっちゃった!
琴音のピンク色妄想はふくらむ。
俊也をそれほど経験していない琴音は、彼が超無理をして、睡魔と戦っていたことを知らなかった。
琴ちゃん、俊也君は、体力的に二徹三徹可能なのですが、満足したら眠ってしまう、猫属性はどうしようもないのです。悪しからず。
0
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~
クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。
ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。
下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。
幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない!
「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」
「兵士の武器の質を向上させる!」
「まだ勝てません!」
「ならば兵士に薬物投与するしか」
「いけません! 他の案を!」
くっ、貴族には制約が多すぎる!
貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ!
「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」
「勝てば正義。死ななきゃ安い」
これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる