上 下
170 / 170

170 エピローグ

しおりを挟む
※この改訂版では、読者数が増えたら宇宙編を付け加えようかと思っていたのですが、悲しいことに……。
この辺でしっぽを巻くことにします。
ご愛読ありがとうございました。

 ◇ ◇ ◇

 夕暮れ時、ライラック、冒険者ギルド。

 パーティを代表し、アリスは討伐報告のため、列に並んでいた。

 パーティの最大火力だった、ジャスミンが抜けたことは、パーティにとって大きな痛手だった。
 それでも、ケーンが与えてくれた装備と、じみ~な特訓の成果で、アリスとマリアは、Bランクモンスターまで、無双可能な実力を身につけていた。
 他のメンバーも、二人に引きずられ、パーティとしてBランク評価を得ることができた。

 今日はオークキングを含む、群れの討伐に成功。ケーンが残してくれた「命の水」や、「エリクサー」までも、一個ずつ消費したが、五十体を越えるオークを全滅させた。

 今日でAランクに届くかもしれない。ドキドキだぜ!

 アリスの順番が回ってきた。

「オークキング一体。ジェネラル二体。雑魚オーク五十体。討伐に成功しました」
 アリスは胸を張って巨乳受付嬢に報告。

「すごいですね!
え~っと、証明できる部位は?」
 受付嬢は、目を輝かせて聞く。アリスさんは、魔法のバッグを持っている。きっとお肉もあるはず。

 以前二束三文で取引されていたオークの肉は、ケーンが公開した調理法の確立で、そこそこの値がつく。
ましてや、キングやジェネラルとなったら、コーベビーフ並みの高級食材。

 ただし、現場から運ぶことに、問題があることは以前と同じ。実力だけでなく、魔法のバッグ持ちであるアリスのパーティは、ギルドにとって超期待の星なのだ。

「ご想像通り、持ち帰ってます。
一応全部出しますから、確認をお願いします」
 アリスは鼻高々で言う。

「そうですよね!
オーク肉は業者からの催促、ひっきりなしなんですよ!
では、解体の方へ」
 巨乳受付嬢は、『準備中』の立札を置いて、解体作業場へ。

「おい! どこへ行くんだよ!」
「俺ら、ずっと並んでたんだぞ!」
 アリスの後に並んでいた、新人冒険者たちはブーイング。

「新人。勉強になっただろ?
アリスの後に並ぶのがバカなんだ」
 ベテラン冒険者たちは、にやにやしながら言った。

 ある程度慣れた冒険者たちは、みんな知っていた。だから、列が短くても、アリスの後ろには並ばない。


 確認の後、アリスはギルドの要望に応えて、とりあえず雑魚オークを十体卸す。
 残りは『オーク肉大量入荷』を、業者に広報し、アリスの魔法のバッグに保管してもらう。
時間経過無視の機能付きだから。容量は、アリスにも正確にはわからないらしい。
 旅立つ前、ケーンが気合を入れて作ったやつだからお察し。

 キングとジェネラルは、入札という形になる。

「アリスさん、しばらくお待ちください。
昇格について、ギルド長と相談します」

 キタ~~~! 多分大丈夫だよね? 

 は~~~、Aランクか……。ケーンさんに、ほめてもらえるかな?
 もうすぐ帰ってくるはずだし。ミレーユさんに教えてもらった。

 アリスは、心躍らせ、仲間が待つお食事処へ。

 アリスは、茫然と突っ立った。マリアさんが抱きついている。

 ケーンさんに……。

 アリスは、一歩一歩、歩みを進めた。マリアさん、公衆の面前で、チューはどうかと思うよ……。

 ベロ絡めてるし。

 アリスは自然と涙がこぼれるのを感じた。でも、拭おうとは思わない。

「ケーンさん、お帰りなさい」
 ケーンの後姿に、かろうじてそう言った。

 ケーンは、アリスを抱きかかえたまま振り返る。

「ただいま」


 おしまい
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...