上 下
153 / 170

153 また? だってどうしても出したかったんだもん! のじゃロリ

しおりを挟む
ケーンとジャスミン、それにミーちゃんは、ライラック冒険者ギルドを訪ねた。
アリスのパーティは、ギルド直営のお食事処で待っていた。

ところが……、黒い魔導服を着た女の子と、なにやら言い合っている感じ。

「わらわが、パーティに入ってやると言っておるのじゃ!
四属性が使える魔法使いじゃぞ!
ここは、『はい、喜んで』であろうが!」

「だから、今はジャスミンさんがいないから……」
 アリスやメンバーは、困惑の気配。

「お主がリーダーであろう!」

「それはそうだけど……」

 ケーンは、プルプルと肩が震えた。

キター! のじゃロリ、しかも丸メガネ! 

あつらえたようなアニメ美少女顔!

魔導服でシルエットは、はっきりしないが、多分おっぱいも案外でかい!

ケーンはジャスミンをうかがう。

「三日前、赤の森で助けたの。
初心者なのに無理して魔力切れ。
クリスティ伯爵家の御令嬢だって」
 ジャスミンが、苦笑を浮かべて応える。

 クリスティ伯爵? たしか、監獄島送りにした伯爵の娘か……。脱税、贈収賄、業務上横領。
経済力と高等財務官の地位にものをいわせ、ずいぶんあこぎなことをやっていた。

爵位は剥奪され、領地も没収されたと聞いている。もちろん、直ちに生活に困らないだろうが、冒険者になって、将来的な生活の方便(たつき)を得ようということだろう。

 まあ、身から出た錆と言うしかないが、家族に責任はない。

「ジャスミン、あの子の父親、俺が御用にした。
可能ならパーティに入れてやって」
 好みの女の子には、とことん弱いケーンだった。

「魔法はそこそこ使えるみたいだけど、体力がね……。
それに性格が、貴族の御令嬢そのもの?」
 ジャスミンは苦笑を深める。

「しばらく俺が面倒をみて様子を見よう。
ミーちゃん、装備ガチガチに固めるから、レベリングやってみる?」

「やってみるにゃ!」
 ご主人様と魔物狩り! ミーちゃんは、トライしてみたいとずっと思っていた。
 
「あっ、ケーンさんにジャスミンさん!」
 アリスが気づいた。

「アリス、その子、俺がしごいてやる。
ものになりそうだったら、パーティに入れてやって」
 幸か不幸か、今はユリがいなかった。

『もう他の女に手を出しなさんな』
というユリの言葉は、きれいさっぱり忘れていた、ことにした。


 ケーンはアリスを別のテーブルに誘い、彼女の意思を確かめることにした。

「というわけで、後一年少々で、俺とジャスミンは、しばらく帰ってこられなくなる。
多分二年ぐらいになると思う」
 アリスは確定嫁になっていないから、ケーンは詳しい事情を話せなかった。単に母親の夜の女王から、重大なクエストを受けたとだけ話した。

「二年も! ケーンさんは、転移魔法が使えるでしょ!」
 アリスは興奮して叫んだ。自分を切る言い訳だとしか思えなかった。

Cランクになったら、嫁にしてくれる口ぶりだったのに……。

「気軽に転移魔法が使えるところじゃないんだ。
はっきり言う。
この星から離れる」

「この星から?
どういうことですか?」

「どういうこと言われても……。
宇宙船に乗って……」

「よくわかりません」
「だろうね……。
詳しい事情は、アリスにも話せない。
だけど、この星の生死にかかわる重大なクエストだ。
それで、どうする?」

「どうするって、どうしたらいいんですか?」
 アリスは涙目で、ケーンをにらむ。

「待ってもらうか、忘れてもらうか。
アリスはパーティリーダーだ。
付いてこられないだろ?
付いてくると言ったら、少し軽蔑するかな」

 アリスはうなだれて考え込んだ。やがて、挑むような目で、こう告げた。

「待ちます。
待ちますから、待てるだけの証をください」

「わかった。
今晩は離さないぞ」

「はい!」
 アリスは、目を輝かせて応えた。

 アリスには、突出した容姿はない。だが、したたかな向上心と、ひたむきに努力できる根性がある。自分の庇護下の下、彼女の資質を伸ばしてやりたい。
 ケーンは、アリスの親になったような気分だった。

 もちろん、手は出すけどね!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

ラック極振り転生者の異世界ライフ

匿名Xさん
ファンタジー
 自他ともに認める不幸体質である薄井幸助。  轢かれそうになっている女子高生を助けて死んだ彼は、神からの提案を受け、異世界ファンタジアへと転生する。  しかし、転生した場所は高レベルの魔物が徘徊する超高難度ダンジョンの最深部だった!  絶体絶命から始まる異世界転生。  頼れるのは最強のステータスでも、伝説の武器でも、高威力の魔法でもなく――運⁉  果たして、幸助は無事ダンジョンを突破できるのか?  【幸運】を頼りに、ラック極振り転生者の異世界ライフが幕を開ける!

処理中です...