上 下
142 / 170

142 まぶしすぎるうさちゃん着ぐるみ

しおりを挟む
 ケーンはキキョウの家に帰りつく。

 ドアを開けた瞬間、ヒカリちゃんのジャンヌが跳びついてきた。

 ケーンはジャンヌの体を抱き留める。

「ケーン、ありがとう!
正義も本格的に勇者修業が積めそう」
 ヒカリちゃんは、ハラハラしながらケーンと正義の交流を見ていた。

 相当以上に乱暴なやり方だったが、結果オーライと評するしかない。

「まあ、バイオレットとガーネットの特訓と比べたら、超ソフトだったと思うけどね」
 ケーンは、どこか遠い目をして言う。

思い出したくもない。

だが、あの二人は、こちらの世界の人族でありながら、勇者の父ちゃんと共に戦った。
器の限界を突破して、最強勇者のパーティ員であり続けた。

あの無茶苦茶な特訓は、おそらく彼女たちの経験を、反映したものだろう。

「残念なお知らせがあるんだけど」
 ヒカリちゃんのジャンヌが、ケーンから体を離して言う。

「何?」

「結局シャドーも情報をつかみきれなかった。
残りのドラゴン。
私、相当の精度で魔族領以外の様子、わかるんだけど……、人族領で休眠しているとは、思えないという結論に達した」

「つまり、魔族領に潜伏してる可能性大?」

「多分。どうする?」

「どうしよう?」
 ケーンといえど、魔族領をあてのないまま探索することなんてできない。
 それを強行したら、魔族との戦闘は必至。戦う理由がないまま、魔族領を侵すことは、夜空城住人のタブーだ。


「ケーン、あなたに何か、お礼したいんだけど……。
夜空城なら、私が用意できるものと同程度のアイテム、そろってるでしょ?
全然思いつかないの。
お礼の仕方」
 ジャンヌのヒカリちゃんが、申し訳なさそうにつぶやく。

「俺にとっては、嫁の存在自体が何よりのご褒美。
お礼なんていらないよ」
 ケーンはヒカリちゃんのジャンヌをぎゅっとハグ。

『ケーンさん、私のしゅきしゅきホールドが、大好物ですよ!』
 ジャンヌに言われ、ヒカリちゃんは頬を赤らめた。エッチの時は夢中だから、気にならないポジションだが……。

 日常生活で、普通ありえる?

 まあ、いいか……。
 ジャンヌのヒカリちゃんは、ケーンをソファーに誘う。

 ケーンの膝の上に正面からまたがり、
「しゅきしゅき……。ケーン、大しゅき」
 ちゅっ、ちゅっ……。ケーンに顔面キススタンプを施す、ヒカリちゃんだった。
 最高神のおバカキャラアクションに、ケーンは面食らう。

 だがしかし、うさちゃん着ぐるみの最高神だからこそ萌え萌え!
 精神は幼女。肉体はオトナなジャンヌ。さらには、夜の女王と並ぶ英知を誇る光の女神が融合。

理性や知性をかなぐり捨て、チュチュする光の女神。

なんたるギャップ!

 嫁たちは苦笑しながら、静かにテントから出て行った。

うさちゃん着ぐるみは、ジャンヌしか似合わない。
だが、最高神のヒカリちゃんが、うさちゃん着ぐるみに包まれている感じはわかる。

幸せの光でまぶしすぎ、よく見えないけど……。

 ケーンは、光の着ぐるみに包まれ、陶酔していた。着ぐるみのモフモフ感が普通じゃない!

 皮膚的な感覚を超越した、精神的な接触感?
 光の中に溶けている感じ?

 これはエッチの快感以上だ!

「ヒカリちゃん、気持ちいいよ……」
「うん。私も……」
 ヒカリちゃんは、ケーンの頭をぎゅっと胸に抱きしめた。

 ケーンとヒカリちゃんは、心と心で交わっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

処理中です...