127 / 170
127 独断専行はケーンのオハコ
しおりを挟む
ケーンは、ピッコロのギルド前に転移。
聖神女のように、地名だけで転移はできないが、もう魔力の心配はない。一度行った場所なら、自由に転移可能となった。
便利は便利だが、堕落してしまいそう。戦闘以外、縛りをつけた方がいいだろう、などということを考えながら、ギルドのドアを開いた。
昼下がりなので、ギルド内は閑散としていた。ジャスミンの居場所を聞こうと、カウンターに。
受付嬢は、どのギルドも巨乳と相場は決まっている。それも、大胆に胸の谷間はさらされている。
うん。悪くはない。
ケーンは、受付嬢の胸の谷間に…受付嬢に向かって歩む。
「ジャスミンに用があるんだけど、どこへ行けば会える?」
ケーンは視線を「落とし気味」にして聞く。
嫁以外のおっぱいは別腹! これ、永遠の真理?
「ジャスミンさんなら……」
受付嬢は、意識的に胸を突き出し、ギルドのお食事コーナーを目で示す。
この少年、強者オーラがはっきり出ている。要チェックや!
ベテランに属する受付嬢は、ケーンとケーンの装備の、ただならぬ気配を、正しく感受していた。
ケーンは受付嬢の谷間から目を外し、彼女の視線を負う。
昼間から飲んでる。心配していた状況かもしれない。
ケーンはジャスミンに歩み寄った。
「よう!」
ケーンは、努めて軽く声をかけた。
「ああ?
ケーンさん!
どうしたの?」
酔いで定まらなかったジャスミンの目が、途端に光を帯びた。
「ドラゴン、討伐完了。
安心してクエストこなしてくれ」
ケーンは、向かいの席に腰を下ろす。
「もうやめようかな、と思ってる。
……冒険者」
ジャスミンは、うなだれてそう言った。
「どうして、あんただけ生き残った?
そんなこと言われた?」
あるいは、と予想していたことを、ケーンがぶつけた。
ジャスミンは、力なくうなずいて、ワインをあおる。
「ジャスミンが生き残ったのは、強かったからだ。
強い者だけが生き残る。
それは冒険者の常識。
でも、遺族には、言い訳にしか聞こえないだろうね」
ケーンの言葉に、ジャスミンは今度もうなずく。
「受け取らなかった? ブラックウルフの代金」
「うん……。ジョイとアランの妹の方は。
どうしたらいい?」
ジャスミンは、すがる目で聞いた。
「ちょっと待ってて。
俺が話をつける」
そう言って、ケーンは、部位換金所へ向かった。
ケーンとジャスミンは、その妹が働いているという服飾店に向かった。
死んだジョイとアラン兄弟は、ジャスミンの、かつてのパーティメンバーの弟。その兄もクエストで亡くなっている。
あとの二人の遺族は、なんにも言わず遺留品とブラックウルフの代金を受け取ったという。
なんにも言われなかったことは、余計につらかったと、ジャスミンはこぼした。
ケーンは「そうか」としか言えなかった。
ケーンとジャスミンは、衣料品店に入った。ジャスミンを見た瞬間、若い売り子の表情は固まった。問題の妹のようだ。
「ミミちゃんだよね?
悪かった。
俺がジャスミンを助けちゃった。
四十二頭のブラックウルフ。
普通ありえない数だ。
ジャスミンは、かろうじて、自分の身を守ることしかできなかった。
傷だらけで、血まみれになってたけどね。
そんなジャスミンを、俺がうっかり助けちゃった。
それが気に食わないんだろ?」
ケーンの言葉に、ミミはこわばった顔をそむけた。
「三人のお兄さん、クエストで亡くしたそうだね。
ジャスミンは『疫病神』なのかな?
『疫病神』を助けた俺は、なんという罪深いことをしたんだろう!
これ、その謝罪金。
お兄さんたちの、命の代価じゃない。
俺の罪のつぐない」
ケーンは、重い金貨袋を差し出した。
「わかってる!
そんなのわかってる!」
ミミは、しゃがみこんで泣きじゃくった。
「ジャスミンさんは、兄さんたちの面倒を見てくれた。
上の兄さんが亡くなって、収入が途絶えた。
下の兄さんたちが、稼げるようになるまで、家計を支えてくれた。
幼かった私にも……、優しくしてくれた。
わかってるのよ!
ジャスミンさんは、ちっとも悪くない。
むしろ大恩人。
だけど……」
ミミは、言葉をつなげられなかった。
「せめてお金だけでも受け取ってくれよ。
ジャスミンが言ってた。
君が八つ当たりしてくれて、少しだけ救われた気分になれたそうだ」
そう言ってケーンは、重い金貨袋を接客用のテーブルに置いた。
ケーンとジャスミンは、衣料品店を出た。
「ジャスミン、俺に雇われないか?
若いパーティの面倒を見てくれ」
ケーンは笑顔でそう言った。
「もう……」
「懲りたんだろ?
だけど、臆病なリーダーがちょうどいい。
そんな感じの、冒険者のひよこたちだ。
行くぞ!」
ケーンは、ためらうジャスミンの手を握り、転移魔法を施した。
その目的地は、言うまでもなくライラック。ジャスミンがパーティに加わったら、嫁候補のアリスも安心!
いっそジャスミンも、嫁にしちゃうか!
ケーンの独断専行は、こういったケースにおいて、正解であるケースも、…たまには、あるんじゃないかな?
聖神女のように、地名だけで転移はできないが、もう魔力の心配はない。一度行った場所なら、自由に転移可能となった。
便利は便利だが、堕落してしまいそう。戦闘以外、縛りをつけた方がいいだろう、などということを考えながら、ギルドのドアを開いた。
昼下がりなので、ギルド内は閑散としていた。ジャスミンの居場所を聞こうと、カウンターに。
受付嬢は、どのギルドも巨乳と相場は決まっている。それも、大胆に胸の谷間はさらされている。
うん。悪くはない。
ケーンは、受付嬢の胸の谷間に…受付嬢に向かって歩む。
「ジャスミンに用があるんだけど、どこへ行けば会える?」
ケーンは視線を「落とし気味」にして聞く。
嫁以外のおっぱいは別腹! これ、永遠の真理?
「ジャスミンさんなら……」
受付嬢は、意識的に胸を突き出し、ギルドのお食事コーナーを目で示す。
この少年、強者オーラがはっきり出ている。要チェックや!
ベテランに属する受付嬢は、ケーンとケーンの装備の、ただならぬ気配を、正しく感受していた。
ケーンは受付嬢の谷間から目を外し、彼女の視線を負う。
昼間から飲んでる。心配していた状況かもしれない。
ケーンはジャスミンに歩み寄った。
「よう!」
ケーンは、努めて軽く声をかけた。
「ああ?
ケーンさん!
どうしたの?」
酔いで定まらなかったジャスミンの目が、途端に光を帯びた。
「ドラゴン、討伐完了。
安心してクエストこなしてくれ」
ケーンは、向かいの席に腰を下ろす。
「もうやめようかな、と思ってる。
……冒険者」
ジャスミンは、うなだれてそう言った。
「どうして、あんただけ生き残った?
そんなこと言われた?」
あるいは、と予想していたことを、ケーンがぶつけた。
ジャスミンは、力なくうなずいて、ワインをあおる。
「ジャスミンが生き残ったのは、強かったからだ。
強い者だけが生き残る。
それは冒険者の常識。
でも、遺族には、言い訳にしか聞こえないだろうね」
ケーンの言葉に、ジャスミンは今度もうなずく。
「受け取らなかった? ブラックウルフの代金」
「うん……。ジョイとアランの妹の方は。
どうしたらいい?」
ジャスミンは、すがる目で聞いた。
「ちょっと待ってて。
俺が話をつける」
そう言って、ケーンは、部位換金所へ向かった。
ケーンとジャスミンは、その妹が働いているという服飾店に向かった。
死んだジョイとアラン兄弟は、ジャスミンの、かつてのパーティメンバーの弟。その兄もクエストで亡くなっている。
あとの二人の遺族は、なんにも言わず遺留品とブラックウルフの代金を受け取ったという。
なんにも言われなかったことは、余計につらかったと、ジャスミンはこぼした。
ケーンは「そうか」としか言えなかった。
ケーンとジャスミンは、衣料品店に入った。ジャスミンを見た瞬間、若い売り子の表情は固まった。問題の妹のようだ。
「ミミちゃんだよね?
悪かった。
俺がジャスミンを助けちゃった。
四十二頭のブラックウルフ。
普通ありえない数だ。
ジャスミンは、かろうじて、自分の身を守ることしかできなかった。
傷だらけで、血まみれになってたけどね。
そんなジャスミンを、俺がうっかり助けちゃった。
それが気に食わないんだろ?」
ケーンの言葉に、ミミはこわばった顔をそむけた。
「三人のお兄さん、クエストで亡くしたそうだね。
ジャスミンは『疫病神』なのかな?
『疫病神』を助けた俺は、なんという罪深いことをしたんだろう!
これ、その謝罪金。
お兄さんたちの、命の代価じゃない。
俺の罪のつぐない」
ケーンは、重い金貨袋を差し出した。
「わかってる!
そんなのわかってる!」
ミミは、しゃがみこんで泣きじゃくった。
「ジャスミンさんは、兄さんたちの面倒を見てくれた。
上の兄さんが亡くなって、収入が途絶えた。
下の兄さんたちが、稼げるようになるまで、家計を支えてくれた。
幼かった私にも……、優しくしてくれた。
わかってるのよ!
ジャスミンさんは、ちっとも悪くない。
むしろ大恩人。
だけど……」
ミミは、言葉をつなげられなかった。
「せめてお金だけでも受け取ってくれよ。
ジャスミンが言ってた。
君が八つ当たりしてくれて、少しだけ救われた気分になれたそうだ」
そう言ってケーンは、重い金貨袋を接客用のテーブルに置いた。
ケーンとジャスミンは、衣料品店を出た。
「ジャスミン、俺に雇われないか?
若いパーティの面倒を見てくれ」
ケーンは笑顔でそう言った。
「もう……」
「懲りたんだろ?
だけど、臆病なリーダーがちょうどいい。
そんな感じの、冒険者のひよこたちだ。
行くぞ!」
ケーンは、ためらうジャスミンの手を握り、転移魔法を施した。
その目的地は、言うまでもなくライラック。ジャスミンがパーティに加わったら、嫁候補のアリスも安心!
いっそジャスミンも、嫁にしちゃうか!
ケーンの独断専行は、こういったケースにおいて、正解であるケースも、…たまには、あるんじゃないかな?
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる