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120 ネコ耳お持ちかえり

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 ケーンは超ご機嫌で竜王国王宮へ帰還。

もちろんミーちゃんはお持ち帰り!

「ケーン、その子、誰や?」
 ユリが顰蹙の目で言う。

「ミーちゃん!
どうだ! 猫耳としっぽ、超かわいいだろ!」

「そのかわいい猫耳娘、どうするつもりや?」
 ユリは冷たい声で問いただす。

「嫁にするよ。戦闘には全然役立たないだろうけど、みんなでかわいがって」
 ケーンは少年の目で言う。

「どうする?」
 ユリは他の嫁たちに振る。

「しょうがないでしょ?
それがケーン様なのだから」
 正妻キキョウが、あきらめ顔で言う。

 他の嫁たちは、ため息をついてうなずいた。

「ローレン、絶対お仕置きしてやる!」
 メイサは、行き場のない憤りをローレンに向けた。

全く! ケーンをどんな店に連れて行ったんだ!

「ローレンは悪くないよ。
俺が獣人のいる店に、連れてけって頼んだ。
メイサが言ったじゃん。
獣人族が出稼ぎに来てるって。
ミーちゃんを見た瞬間、最後のピースが、はまったって感じなんだよね!」

「あ~、そういうことか……。
ケモミミゲットは、ケーンの悲願やったな?」
 ユリは、これまでのケーンの、嫁さがしを思い起こす。

 まず、聖神女と魔王の娘を狙い、その努力は空振りした。

ケーンのあずかり知らぬ要素で、結果的に両方嫁になったが。

もっとも、夜の女王が、魔王の娘サーシャを嫁に取り込んだこと、ケーンだけはいまだに知らない。

 次にケーンが狙ったのはエルフ。結果は微妙だが、エルフのエミリーはメイサに付き従い、仲間になっている。

 そして、「学校で青春したい!」の願望は、挫折したような、アリスという含みが残ったような……。

 要するに、ケーンはたくさんの嫁を得たが、自らの主体的活動で、すっきりゲットできた、ためしがないのだ。

 そう考えたら、このどや顔も納得できる。

「ケーン、よう頑張った。
ミーちゃん、仲ようしよか。
私は落ちこぼれ勇者の子孫で、一応嫁のまとめ役や。
Sランクの冒険者やっとる。
こちらが、トリプルSの冒険者、キキョウさんや。
ケーンの正妻で最初の嫁。
こちらがメイサさん。竜王の御息女や……」
 ユリはあきらめて、嫁たちを次々と紹介していく。

 王宮へ連れてこられ、場違いにビビりまくっていたミーちゃんは、蒼白になった。

 トリプルSの冒険者? 竜王様の御息女? 元聖神女? 元勇者? 極めつけは、光の女神様?

 ムリ! ムリ! ムリ!

「まあ、庶民派の嫁もおる。
全然気遅れすることないで。
みな、楽しゅう暮らしとる。
メイサさん、新入りと一発決めたって」
 嫁のまとめ役、ユリはメイサに振る。

ミーちゃんは、嫁の超豪華ラインナップに、ビビりまくっている。
竜王国の王女と3Pしたら、コンプレックスも少しは解消されるだろう。

ユリは、まことにできた嫁だった。

 ケーンとミーちゃん、それとメイサは、あてがわれた寝室に消えた。

「キキョウちゃん、ユリちゃん、あなたたち苦労するわね。
じゃ、天上界に帰る。
ずっと仕事さぼってるから、いっぱいたまってるの。
じゃ!」
 そう言って、ヒカリちゃんは、ジャンヌの体から憑依をといた。

「苦労といっても、もう慣れちゃったよね?」
 キキョウはユリにほほえみかける。
「まあ、気立ては良さそうな子や。
これも運命やろ?
ところで、総子ちゃん。あんた、なんや目がキラキラしとるけど?」
 ユリの言葉に、全員が総子に注目。

 たしかに……。お気に入りの女の子に遭遇した、ケーンを思わせるキラキラ具合だ。

「いえ……、あの~、超かわいいかな…って。
ほら、私と全然違う路線でしょ?」
 総子は頬をやや赤らめる。

「ああ、せやな……。総子ちゃんは、地球ではやりのAI生成画像?
そんな感じのパーフェクト美少女。
あの子は、ゆるキャラ的な?」
 ユリはひとつうなずく。

「総子さんは、オートマタさん達の理想だそうですね?
人工美の完成形だとか……」
 総子はジャンヌの評価にぐしゃり。やっぱり盛り過ぎだった……。

「もしかして、総子ちゃん、夜の王宮での修行……」
「オートマタにもてすぎやから、気が進まんかった?」
 キキョウとユリは、どうも合点がいかなかったのだ。総子は夜の王宮での修行に乗り気でないようだ。

 不良ドラゴン討伐プランに、もろ手を挙げて賛成したのは総子だった。

『せっかく異世界転生したんです。バーサスドラゴンは、最高のロマンですよ!』
 てな感じで。

「それもそうなんですが、ケンイチさんが微妙でしょう?
『総子ちゃんみたいな、スタイルと顔がよかった』なんて、オートマタさん達が言うし」
 総子の言葉に、嫁たちは、そう言えばと納得。彼女たちは創造主の気持ちなんて忖度しない。

「それに、私、地球でも……」
「あ~、前にぼやいてたな?
女の子にもてまくりやった?」
 ユリの言葉に、総子は涙目でうなずいた。正確に言えば、「女の子だけ」にはもてまくり、だが。


寝室をのぞけば……、
「あ~ん、ミーちゃん、いいよ! いい!
ホントかわいいんだから!」

「メイサ様、うれしいです!
もっとご奉仕させていただきます!」

「あの~……俺は?」
 
「ケーンは、黙って見てればいいの!
あ~ん、ミーちゃん、そこよ、そこ!」

 メイサのお仕置きは、おいてけぼりケーンにとって地獄だった。

 二人が散々盛り上がったところで、きっちり決めさせていただいたが……。
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